【地域WiMAX:機器ベンダーに聞く】専業メーカーの強みとOpen WiMAX戦略とは——アルバリオン | RBB TODAY

【地域WiMAX:機器ベンダーに聞く】専業メーカーの強みとOpen WiMAX戦略とは——アルバリオン

 世界で40を超えるモバイルWiMAXの導入実績があるアルバリオンは、いよいよ動き出した日本の地域WiMAXにおいて、どのような製品・サービスを投入してくるのか。同社の日本法人社長である雨宮利広氏に話を聞いた。

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アルバリオン 日本法人社長 雨宮利広氏
  • アルバリオン 日本法人社長 雨宮利広氏
  • アルバリオンのOpen WiMAX戦略(アルバリオン提供)
  • アルバリオンのエコシステム(アルバリオン提供)
  • NTT西日本─沖縄の無線ブロードバンドサービスのネットワーク構成(アルバリオン提供)
  • 雨宮利広氏
  • BreezeMAX 2500(アルバリオン提供)
 アルバリオン(本社:イスラエル・テルアビブ市)は、無線ブロードバンドに特化してワールドワイドにビジネス展開している無線機器メーカー。WiMAX Forumの設立メンバーであり、現在もボードメンバーを務める同社は、会社の多くのリソースをWiMAXに投入している「WiMAX専業メーカー」だ。

 世界で40を超えるモバイルWiMAXの導入実績があるアルバリオンは、いよいよ動き出した日本の地域WiMAXにおいて、どのような製品・サービスを投入してくるのか。同社の日本法人社長である雨宮利広氏に話を聞いた。

——デジタルデバイド地域に数多くの納入実績があるようですね。

雨宮氏:当社は世界のWiMAXマーケットで56%のシェアをもっていますが、この中にはアラスカやアフリカなど、厳しい気候条件の地域が多く含まれています。デジタルデバイド地域では、そうした課題をクリアし、かつ設置が容易であることが重要です。我々の15年にわたる経験から、極寒の地や灼熱の地でも、少ない設備投資で事業者様がサービス展開できるようなものづくりに注力しています。

——アルバリオンのモバイルWiMAXのビジネス戦略について教えてください。

雨宮氏:15年前の設立以来、当社は無線ブロードバンドに特化してきました。WiMAXに関しても7年前のWiMAX Forum立ち上げ時期から中心メンバーとして活動しています。また社員約1,200名のうち、WiMAX専門のR&Dエンジニアは400名を超えます。WiMAXだけでこれほどのWiMAX専任エンジニアを抱える会社は他にはないのではないでしょうか。

 WiMAXは、オールIPのオープンなアーキテクチャとして展開された画期的な技術です。この技術を用いてアルバリオンが目指すのは、大手ベンダー1社によるワンストップソリューションから事業者様が脱却し、自社サービスのニーズに合わせてベンダーやパートナーを自由に選択して組み合わせていただける「Best of Breedが可能なOpen WiMAX」です。

 事業者様のサービス中心のネットワークづくりを支援するのが我々の役割であり、そのために各WiMAXベンダーとのR&Dを積極的に推進し、機器間のオープンアクセスと相互運用性確保に取り組んでいます。アルバリオンは、各分野に特化した専門ベンダーとのエコシステムを通じて、エンドツーエンドのトータルなモバイルWiMAXソリューションを提供しています。

 このOpen WiMAX戦略のもと、日本においても昨年、日立コミュニケーションテクノロジー様とアライアンスを締結しました。同社のASN-GW(Access Service Network Gateway)と我々の基地局装置間のIOTにより、キャリアグレードのモバイルWiMAXシステムの早期商用化を目指しています。

——日本の地域WiMAXの参考となるような事例はありますか?

雨宮氏:最新では先月、リトアニアのBalicam TV社に、モバイルWiMAXネットワークを納入しました。Balicam TV社は、8万世帯以上にトリプルプレイサービスを提供しているCATV事業者で、特にHDTVを始めとする高品質サービスの提供を戦略としています。モバイルWiMAXによって同社は、これまでケーブルを敷設できなかったエリアでの新たなビジネスチャンスの機会を得ています。

 また、WiMAXではありませんが日本においては、NTT西日本様が提供する沖縄県の離島を対象としたブロードバンドサービスに、4.9GHz帯を使った当社のOFDMA(直交周波数分割多元接続)方式の装置が採用されています。これは、渡嘉敷島、座間味島、西表島などに最大20Mbpsの高速接続を提供するというもので、(1)10kmを超える長距離伝送、(2)時には鏡のようになる海の電波干渉、(3)フラットな加入者エリアに建物や樹木が隣接する見通し外通信、という3つの大きな課題をクリアしました。電柱が倒れるほどの大きな台風が直撃し、有線ブロードバンドの島ではネットワークが停止した時も、我々の装置は停止することなくサービスを提供できました。導入後は、世界有数の素晴らしいダイビングスポットの情報が島外へいち早く情報発信されるようになったり、情報格差が解消されたりと、様々な効果が出ていると聞きます。

——アルバリオンのWiMAX技術の強みは何ですか?

雨宮氏:沖縄県の離島に導入したOFDMA装置は、当社の第5世代にあたります。長年のR&Dによって高い信頼性に到達している製品がモバイルWiMAXにおいてもそのまま受け継がれていますので、安心してお使いいただけることが当社製品の最大の強みとなっています。

 アルバリオンのWiMAX製品は、「SentieM」技術によって、カバレッジ、ユーザー収容数、およびQoS向上を実現しています。MIMOやビームフォーミング、SDMAといったモバイルWiMAX技術のメリットを組み合わせることにより、当社製品は標準規格を上回る性能をもち、QoSに関しては有線に匹敵する音声サービスを可能にしています。

 このように、基地局側に高機能な技術を導入していますが、これらすべては標準に準拠した技術であり、オープンな技術のため、あらゆる端末が接続して、その高機能を享受できるものです。

 さらに、台湾の無線機器メーカーAccton社と我々はAccton Wireless Broadband(AWB)を共同で設立しました。これにより我々は、様々な装置とつながるWiMAX加入者向け製品の開発が可能になりました。

——日本の地域WiMAXに何を期待しますか? また、アルバリオンは何を目指しますか?

雨宮氏:当社はこの7年間、多くのリソースをWiMAXに投じてきており、ぜひとも地域WiMAXマーケットには立ち上がってもらいたい。地域WiMAXにこそ、アルバリオンが目指すOpen WiMAXのソリューションが必要だと考えています。

 マーケットが立ち上がるために、ものづくり側にいる我々に何が必要かと考えると、やはり質の高い製品・サービスです。しかしこれは我々だけでは実現できないため、このたび、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)様とともに、日本におけるモバイルWiMAXのエコシステム「CTC WiMAX Ecosystem」を全7社で設立しました。

 CTC WiMAX Ecosystemは、各分野に特化した国内のベンダー同士が手を組むことにより、信頼性の高いシステムを短期間で構築し、システムの設計・構築から保守・運用までをパッケージ化して事業者様にご提供します。すでに専任エンジニアの教育や各ベンダー製品間の相互接続性試験(IOT)を実施しており、7月からはセミナーやデモなどのプロモーション活動も積極的に展開していきます。

——ありがとうございました。

◆アルバリオンのWiMAX製品(2008年6月現在)
 WiMAX Forumの認定に関して、Wave2(2.5GHz帯)は申請済み。

・WiMAXプラットフォーム「BreezeMAX 2500」
 IEEE802.16eおよびETSIのHiperMAN仕様に準拠。Intel製WiMAXチップセットを採用し、10MHzで最大25Mbpsが可能。OFDMA、NLOS(見通し外通信)、QAM64までの適応変調等を実現。CPEはセルフインストール機能を搭載。
《柏木由美子》

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