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NTT、低消費・超小型の光ビットメモリを開発〜フォトニック結晶でメモリ時間150ナノ秒を達成

エンタープライズ その他
InGaAsPフォトニック結晶素子の構造
  • InGaAsPフォトニック結晶素子の構造
  • フォトニック結晶共振器素子のバイアス光入力40μWにおける光ビットメモリ動作
 NTTは24日に、あらたな光ビットメモリの開発に成功し、最長150ナノ秒(従来比60倍)のメモリ持続時間を達成したことを発表した。

 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)の委託を受け行われたいたもので、フォトニック結晶と呼ばれる微細な人工周期構造を用いることで開発を実現した。

 光メモリでは、ONとOFFのビットを表す2つの状態を光によって書き込み・読み出し・消去する必要があるが、今回NTTが開発した光メモリでは、光による物質の屈折率変化(光非線形性)により引き起こされる光双安定現象を利用している。フォトニック結晶では、半導体などの材料を微細加工することにより光を数μm(ミクロン:1ミクロンは100万分の1メートル)という波長と同程度の微小な空間に強く閉じ込めることができるため、微弱な光でも屈折率変化を起こし、低光パワーで動作する光メモリを実現することが可能となる。

 NTTではこれまでシリコンを材料としたフォトニック結晶共振器で、光による屈折率変化(光非線形性)を用いた光双安定動作を確認していましたが、持続時間が2.5ナノ秒と極めて短かかったため、今回のフォトニック結晶では、インジウムリン系化合物半導体のInGaAsPを材料として採用した。これにより、メモリ保持に必要なバイアス光のパワーが最低値40μW(従来の半導体レーザの光双安定動作を用いた光メモリに比べ約2桁低減)という、低消費エネルギー動作を実現した。

 また本メモリは、超小型で集積化が可能で低パワーの光で動作することから、デジタル情報を電気信号に変換することなく光のまま伝送・処理する光情報処理により、消費電力や処理速度など電子機器に起因する現在のネットワークの限界を超える可能性を示すものとして注目されているとのこと。

 今後は、光情報処理チップにおけるスイッチやメモリをはじめ、多ビットの光RAMにより構成された大規模光集積回路を実現するために複数技術を開発していきたいとしている。なお本成果は、国際会議「Conference on Lasers and Electro-Optics」(レーザ・電気光学国際会議、米国サンノゼにて5月4日より開催)にて発表される予定。
《冨岡晶》
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