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【インタビュー】楽天によるISP事業参入の狙い

エンタープライズ その他
楽天 電話事業BU兼フュージョン・コミュニケーションズ 全社プロジェクト推進本部長の相木孝仁氏
  • 楽天 電話事業BU兼フュージョン・コミュニケーションズ 全社プロジェクト推進本部長の相木孝仁氏
  • フュージョン・コミュニケーションズ 全社プロジェクト推進本部 小田祐己
  • GOL事業本部 副本部長マーケティング部部長 岡健司氏
 楽天は3月24日に、コンシューマ向けISP事業「楽天ブロードバンド ADSL10M」を開始した。今回、編集部では同社がISP事業を始めた狙いについて、インタビューを試みた。

 回答したのは楽天 電話事業BU兼フュージョン・コミュニケーションズ 全社プロジェクト推進本部長の相木孝仁氏、全社プロジェクト推進本部 小田祐己氏、GOL事業本部 副本部長 マーケティング部部長 岡健司氏。同サービスの詳細はすでに記事でお知らせしているが、月額利用料金は2,000円(税込み)で、ISPサービス料金、モデムレンタル料金、NTT回線使用料を含まれるもの。また特典として、“楽天スーパーポイント”を毎月100ポイント付与、サービス開始記念キャンペーンとして、4月30日申込分まで入会時にも楽天スーパーポイントが3,000ポイント付与される。ネットワーク、スタッフ、カスタマーセンターなどはフュージョン・ネットワークサービスがサポートを行う。メールサービスは、インフォシーク(@infoseek.jp、ウェブメール、容量50MB)またはGOL(@gol.com、POP/IMAP対応、容量20MB)の利用が可能となっているというものだ。

——今回のISP事業参入の狙いは?

楽天では、ショッピングだけではなく証券、トラベルなど購買行動に必要なさまざまな機能を提供していますが、インターネット接続サービスというのはありませんでした。これは、代表取締役会長兼社長の三木谷が前からやりたいと思っていたことでもあります。一方で、昨年の8月にフュージョンコミュニケーションズを傘下に収めましたが、フュージョンが培ってきたISPのノウハウを生かしてサービスを展開していきたいという考えもありました。楽天は集客力、媒体力、会員基盤を、フュージョンGOLはISPの運営ノウハウを提供できます。両者のシナジーで、大きなサービスを早期に立ち上げることができると判断しました。

——直近ではどういうところを目指しているのですか?

ISPの収益化と楽天会員の購買の活性化です。

——楽天市場の出店者に対する戦略はあるのでしょうか?

楽天市場の出展企業は約2万店、トラベルが約4万件。これらの方々に対しても、楽天ブロードバンドサービスを提供するような仕組みをつくっていきたいと思っています。

——今回はADSL10Mということで、何故ADSLという気もしますが?

ADSLの市場はなくなることはないと考えています。現在の利用者1,300万が1,000万、800万と減っていくかも知れませんが、そもそも今回のサービスはすべてのネットユーザーに提供する商品コンセプトではないんです。そこそこスピードが出て欲しくて、月々の支出をセーブしたいと考えている人。このようなお客様は楽天の会員基盤にも相当数いると考えています。それらの方々へのサービスを充実させながら、(この先の話なんですが)楽天の会員のために幅広い選択肢を用意するのもミッションだと思っています。ご想像のとおり、光もデータカードもありと思っています。例えば、トラベルのお客様であればビジネスユーザーが多いですから、当然データカード、モバイルPCで使えるようなニーズが高いでしょうし、楽天の動画コンテンツをご覧になっているお客様についてはFTTHが好まれるのではないかかと思っています。かなり早い段階で、そのようなサービスを拡充していきたいと考えています。イメージとしては、半年以内にも……と思ってます。

——ADSLだけではなく、それ以外のサービスも年内に立ち上げていくということですね。

はい。今回は、3月、4月の引越し需要期を逃したくなかったというのもあります。

——そうすると、ADSLサービスは乗り換えを狙っているんですか?

はい。楽天をよくお使いになるお客様で、現在月々4,000円を接続サービスに払ってる人は、これ高いと思っているかもしれません。そこに、楽天が2,000円でサービスを提供し、しかも3,000ポイントもらえると。さらに月々100ポイントもらえる。しかも面倒くさくないとなると、乗り換えてくれる人は沢山いると思います。

——目標は?

現在、4,400万人の会員がいます。ユニークユーザーで考えてみると、過去3ヶ月に買い物をした方が500万人、過去1年間では1,000万人もいます。ですから1万とかそういう数ではないですね。楽天ブランドを使うからには、少なくともその上のケタは狙わないとと考えています。グループ全体で盛り上げていくつもりです

——今回のADSLは底上げになっていくだろうということですね

そうですね。新しいネタをどんどん勉強していかないと続かないので、どんどんだしていきます。

——フュージョンGOLとのシナジーについて、もう少し教えてください

フュージョンGOLは、以前は個人向けのプロバイダーをやっていました。ですから、そのへんのサポートの経験も十分持っています。実は、アイデアはいっぱいでてきたんです。SNSとかブログとか……。しかし、やはり自分たちが強いのは接続のところだろうということになりました。

——フュージョンGOLの顧客で楽天に参画していない企業さんもいらっしゃいますが、そこも狙っていくという考えは?

グループ内で顧客が移動したとしても、トータルでパイが増えないと意味がないですよね。ただ、とれていない中堅中小は積極的に狙っていきたいと思っています。

——今回の発表は瞬間風速としてはインパクトがあります。ただ、それを持続させていくには長期的な戦略になると思いますが?

2つの軸で考えていて、ひとつは接続のパターン(データカードであったり、光であったりといった接続形態)の幅とそのバリーエーション、もうひとつは楽天グループとのサービスの連携です。例えばクレジットカードの楽天KCカードは、今300万人以上の方にお使いいただいてるんですが、これのアクティブ率を高めたい。楽天KCカードとブロードバンドに一緒に入会した場合には、さらにポイントを付与したり、いろんなキャンペーンが考えられます。また、楽天ダウンロードというサービスがありますが、今回の製品コンセプトには、安心・安全・セキュリティーという特徴があげられます。その第一弾として、入会者限定でウィルスバスターを(定価4,980円)2,980円で提供しています。こんな値段で販売しているところはほとんどないですよ。

——もうひとつ挙げるとすれば?

今ショッピングでしか使っていないポイントを、月々の支払いに使えるようにするという仕組みも考えられます。

——4月30日までに申し込むと3,000ポイントという特典があります。やはりポイントは魅力なんですか?

安易に思えるでしょうが、結局、ちょっとしたコンテンツであればあまり差別化にはなっていないんですね。ユーザーが欲しいものは、ひとつはポイント。楽天のロイヤルユーザーであれば、金券よりもポイントが高く評価されます。もうひとつは、セキュリティーニーズが高いということ。子供がインターネットを何かに使ったときにウィルスなどに感染したりしないかといった不安を抱えている人もいます。そのための対策として、月々いくらか払ってもいいという声が結構ありますね。

——新規会員を獲得したいというところですか?

結果的には2次的につながると思っています。今回の商品設計は楽天会員でなくても入会できるのですが、月々のポイントをもらうには楽天会員にならなければいけません。ただ、今回のサービスの露出はすべて楽天のトップページを使ってやっているのですが、楽天のトップをよく見るお客様の多くは楽天会員だと思っています。

——SaaS的なサービスは考えていますか?

収益体質のいいISPを目指していきたいと思ってます。2重開発は意味がないですね。

——ありがとうございました。
《RBB TODAY》
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