SaaSを包含するS+S戦略——スティーブ・バルマー氏日本のパートナー企業に向けて講演 | RBB TODAY

SaaSを包含するS+S戦略——スティーブ・バルマー氏日本のパートナー企業に向けて講演

 マイクロソフトは8日、都内ホテルで販売パートナー向けに2008年の戦略と方針を説明する「マイクロソフト ジャパン パートナー カンファレンス2007」を開催した。

エンタープライズ その他
マイクロソフト株式会社社長 ダレン・ヒューストン氏
  • マイクロソフト株式会社社長 ダレン・ヒューストン氏
  • 日本におけるITトレンド
  • 国内IT市場投資額予測
  • People Ready ビジネスのコンセプト
  • People Ready ビジネスを実現する製品群
  • マイクロソフト米国本社CEOスティーブ・バルマー氏
  • 2008会計年度の新製品一覧
  • Software+Serviceの4分野
 マイクロソフトは8日、都内ホテルで販売パートナー向けに2008年の戦略と方針を説明する「マイクロソフト ジャパン パートナー カンファレンス2007」を開催した。その席で米国本社CEOのスティーブ・バルマー氏が今後のビジネスの方向性を示唆した。

 バルマー氏の登壇に先立ち、マイクロソフト株式会社社長 ダレン・ヒューストン氏が挨拶に立った。ヒューストン氏は来場しているビジネスパートナー各社に感謝しつつ、マイクロソフトの日本市場の取り組み“Plan-J”が順調に進展していると説明した。具体的には「多くの地方自治体、教育・研究機関との連携や密接な協力関係、IT業界における深い結びつきにより、“Win-Win”のパートナーシップが拡大している」とし、「お客様とパートナー様の満足度が向上し、日本市場に合わせたビジネスの革新やデジタルインクルージョン(IT技術による日本社会全体の活性化や、地域経済の発展)の促進、ビジネスの成長のすべてに成果が現れた」と自信を見せた。その根拠としてMicrosoft SQL Serverの前年比売上成長率は18.3パーセント、国内WindowsRDBMS市場で43.3パーセントとトップシェアとなったこと、さらに、Microsoft Exchange Serverは前年比売上成長率は17.2パーセント、国内シェアは36.6パーセントでトップであることを挙げた。

 ヒューストン氏は次に、日本市場の課題とそこにある機会について見解を示した。日本市場の課題は人口問題、旧来の設備を温存し拡張してきたことによるコスト増と複雑化、日本版SOX法で強化される企業の社会的責任、セキュリティーとプライバシー、事業継続性である。そして、これらの課題を解決するためにはデジタルなワークスタイルのブレイクスルーが必要であり、そこから生まれる機会として、生産性の向上、コスト削減、社員力の強化、境界を越えたビジネスチャンスがあると語った。国内IT市場の投資予測は2005年から2011までの見通しで右肩上がりとなっており、その内訳はITサービスが約7割、ソフトウェアが約3割になるという。

 日本におけるビジネスチャンスを喚起するために、マイクロソフトが掲げる標語が「People Ready ビジネス 社員力を経営力に」だ。企業に成功をもたらす最大の原動力は社員であるという考え方の元で、社員の知識を活用し、能力を最大限に発揮させるシステムを提供する。その結果、個人の実力を十分に発揮できる環境が整えば、新しいチームワークが生まれ、企業全体のチカラを高めることになる。ヒューストン氏は実例として「私が日本に来たときは多くの企業でFAXを使っていた。しかし、アメリカでは文書の共有方法としてFAXはほとんど使われなくなった」と語った。また「アメリカではオフィスワークの生産性は3パーセント上昇しているが、日本では1パーセントだ」と具体的な数字を挙げた。多くの来場者にとって、これは日本のビジネスが遅れているという指摘というよりも、このビジネススタイルの差にチャンスがある、という前向きなメッセージに受け取れたことだろう。

 この後、ヒューストン氏は「People Ready ビジネスを実現させるためには4つのソリューションがある」と、「セキュアな管理基盤」「ビジネス生産性基盤」「アプリケーション プラットフォーム」「ビジネスアプリケーション」の4点を挙げ、各部門に置けるマイクロソフト社の製品群を紹介した。その上でパートナー企業に「これらの製品群を自社捏ヵってください。そしてエンジニアのスキルを向上させてください。マイクロソフトが語るPeople Ready ビジネスを、どうか顧客に伝えてください。そして共に勝利を勝ち取りましょう」と結んだ。

 続いて米国本社CEOスティーブ・バルマー氏が登壇した。バルマー氏はまず、マイクロソフトにもっとも貢献したパートナーとして大塚商会とサードウェーブ(両社は、同日発表されたMicrosoft Partner of the Year 2007 Worldwide Awardを受賞している)に感謝の言葉を述べた。続いて2008年度にマイクロソフトが投入する製品群のリストを発表した。オペレーティングシステム、セキュリティ、IT運用管理、コラボレーション、エンターテイメント、ビジネスプラットフォーム、アプリケーションプラットフォームまで多岐にわたる製品群。このうち、バルマー氏がもっとも重要視するプロダクトは「Windows Server2008」「SQL Server2008」「Visual Studio2008」である。

 バルマー氏がこの3つを選んだ理由は「10年後にほとんどのシステムはインターネットクラウドに移行する」という予想があるからだ。現在、ほとんどの企業は自社でサーバーを持ち、運営管理している。しかし、個々の企業のIT管理者やコストには限度がある。そこで、自社で社内のデータリソースを管理するか、インターネット上のソリューションに移行するか、どちらが良いかという選択肢になる。セキュリティコストの負担、日本版SOX法に対処するためのデータセンターの維持を、自社ではなく、これらのプロフェッショナルに依託し、インターネットでいつでも任意の場所からアクセスできるほうが効率が良い。「もちろんこれらの革新は緩やかだろうし、必ずこうなるとは言えない」とバルマー氏は言う。しかし、11月6日に米国マイクロソフトはアイルランドに5億ドルを投じてデータセンターを建設すると発表している。データセンターのプロフェッショナルが企業のデータをインターネット上で保管し、提供する。その布石を打ったとも言えるのだ。

 バルマー氏はこの予測を見据えた上で、日本に特に重要なテーマは「Software+Service」だと強調した。これはソフトウェアをインターネット上で提供しサービスとして料金を課する「SaaS」の考え方に近いが、「Software+Service」はこれを包括するスタイルだ。つまり、ソフトウェアを販売し、さらにそれを運用するオンラインサービスを提供するという仕組みである。デスクトップ分野ではリッチUX、オンラインアクセス、パーソナルインテグレーション。エンタープライズ分野では管理、コンプライアンス、セキュリティ。Web分野ではClik-to-run、検索&コラボ ビルトイン、Anywareアクセス、大規模運用。デバイス分野ではフォーム要素とモビリティ。これらが「Software+Service」のターゲットとなる。

 これだけ網羅されてもピンと来ないが、バルマー氏は身近な例として、Microsoft Exchange Server2007とコミュニケーションクライアントのMicrosoft Office Outlookの運用を紹介した。Outlookのメールやアドレスのデータをサーバー上に保管することで、メッセージのセキュリティを高め、アドレスを共有しつつ、それをWebブラウザでアクセスしたり、携帯電話からアクセスしたり、電話を使ったボイスアクセスに使用したりという活用が可能になる。これらはデータをインターネット上に置くからこそできるサービスだ。

 バルマー氏は「ビシネスソリューションがインターネットクラウドに移行することにより、従来のパッケージソフトによるアプリケーションなどいくつかの古いビジネスは衰退する。しかし、その代わりに新しい多くのビジネスが立ち上がってくる」と説明した。つまり、今後10年でビジネスは少しずつインターネットクラウドに移行するから、パートナー各社もそれに対応して新しいビジネスを進めてほしい、というメッセージだ。バルマー氏はそのために「マイクロソフトはパートナー企業に“パーソナルサービス”、“ビジネスサービス”、“開発サービス”、“サービス実現要素”の4分野のメニューを提供する」と約束した。

 また、古いサービスは衰退すると明言したことについて、バルマー氏は「15年前までマイクロソフトはTCP/IPプロトコルに対応していなかった。それはパートナー企業の仕事だった。10年前にWindowsがTCP/IPをサポートしたとき、パートナー企業には自分たちの仕事が奪われるという懸念があったと思う。しかし実際には、WindowsがTCP/IPを採用したことで、パートナー企業にはもっと多くのビジネスチャンスが訪れたのです」と説明した。その上で、「ここに集まったパートナー企業のみなさんは、マイクロソフトが新しい戦略を持っているのか関心があるでしょう。新しい戦略や商材がなければ、別のソリューションにそれを求めることも私たちは理解できます。マクロソフトとパートナーのみなさんとで、共にSoftware+Serviceを推進し、共に勝利していきましょう」と呼びかけた。
《杉山淳一》

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