Web2.0時代のNet映像はハイレベル〜東京ネットムービーフェスティバル | RBB TODAY

Web2.0時代のNet映像はハイレベル〜東京ネットムービーフェスティバル

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 いよいよ終盤にさしかかった第19回東京国際映画祭。ハリウッドメジャーの監督やタレント達も多数来日して、おおいに盛り上がっているが、もちろん日本も負けていない。昨日28日は、「東京ネットムービーフェスティバル」の上映会と表彰式が開催された。

 一般から寄せられた273作品の中から選ばれた秀作10作品。すでにネットでも配信中だが、映像祭ではスクリーン上映となる。この10作品から、グランプリ、審査委員賞、ネット・オーディエンス賞(ネット視聴者選定)、スクリーニング・オーディエンス賞(当日視聴者選定)などが決定する。ほかにも、昨年グランプリを受賞した監督の最新作品上映などが予定されている。作品自体はいずれも20分以内だが、全上映作品数は13本。表彰式も含め午後1時から夜7時半までの上映会という、なかなかにハードなスケジュールだ。

 会場となったのは、六本木ヒルズ内テレビ朝日の多目的スペース「umu」。フラットなスペースに椅子が並べられ、スクリーンが正面に配置されている。応募者多数により、会場に入れたのは当選者および関係者のみ。ぎっしりと人が詰まった会場は、若い才能への期待感でいっぱいだ。女性MCによるガイダンスのあと、上映会がスタートした。

 まず昨年(2005年度)一般部門グランプリ受賞者である、中山勇樹監督の最新作「モダンレコーディング!」が特別企画作品として上映、その完成度とシュールな笑いで会場を圧倒。一気に場は、映画祭らしくなる。

 続いて、東京国際映画祭とも馴染みの深い篠崎誠監督の特別招待作品「留守番ビデオ」が上映、日常にスルリと入り込んでくる恐怖を描いた淡々としたホラーだ。

 続いて、2006年度ブランドコーポレート部門のグランプリ作品「It's your CHOICE“主人公は君だ!”」(河瀬直美監督)が上映される。「It’s your CHOICE!」は総務省・財団法人 明るい選挙推進協会によるオムニバス映画で、河瀬直美をはじめ、林海象、飯田譲治、金子修介、山田英治の5監督がメガホンをとった作品。ブランドコーポレート部門は、企業発のネットムービーのコンペティションで、今回は、総務省・財団法人 明るい選挙推進協会の受賞となった。

 ここで小休憩をはさんで、いよいよ本年度の一般部門作品の上映会。ネットで見るのとスクリーンで見るのとでは、また違った雰囲気となるのは当然のため、当日のオーディエンス賞の行方も気になるところだ。

 上映されたのは、以下の10作品。

・「私の半径200めーとる」陣内天飛監督
・「Daybreak Garden」荻野夏生監督
・「Mademoiselle Audrey」井上都紀監督
・「ちくしょうべん」大石勝敏監督
・「奈落迦」高野雄宇監督
・「ミサイル刑事」スパイシーマック監督
・「愛の情」青松タクマ監督
・「八年目の女二人」石井裕也監督
・「Sister Moonlight」HAMU監督
・「Clears」池田圭監督

 「私の半径200めーとる」は、ローティーンの熱気が凝縮された青春群像劇、「Daybreak Garden」は恐竜親子の情愛をCGで描いた作品、「Mademoiselle Audrey」は全編フランス語の鮮烈な幕間劇、「ちくしょうべん」はドキュメンタリータッチながら審査員で賛否まっぷたつとなった異色作、「奈落迦」はシチュエーションを絞り込んだホラー、「ミサイル刑事」はCGを駆使したスラップスティック、「愛の情」は手書きタッチのアニメと楽曲が作り手の意志を感じさせる意欲作、「八年目の女二人」は愛憎哀笑が入り交じったほろ苦い友情ドラマ、「Sister Moonlight」は 両親のいない兄妹の日常とその変化をていねいに描いた作品、「Clears」は男女2人だけの瞬間の交錯を切り取った静謐な作品。

 CGアニメからホラー、コメディ、ドキュメンタリーまでバラエティに富んでいるが、いずれも映画として高水準な作品ばかりだ。脚本、撮影技術、出演者、編集、CGなど、商業映画として公開されてもおかしくない作品ばかりだった。

 そんな全作品の上映が終了すると、いよいよ最終審査員たちが登場した。特別ゲストの角川グループホールディングス代表取締役会長兼CEOの角川歴彦氏をはじめ、東京大学大学院教授の浜野保樹教授、「ローレライ」「日本沈没」の樋口真嗣監督、ドキュメンタリー映画「ディア・ピョンヤン」の梁英姫(ヤン・ヨンヒ)監督、角川クロスメディア ウォーカー事業部 首都圏推進部 統括編集長の重信裕之氏が席につく。

 まず本年度ブランド・コーポレート部門の表彰ということで、トロフィーが総務省関係者と河瀬直美監督の代理人に手渡される。

 続いて角川歴彦氏が「Webも2.0時代になり、新しいネットムービーの誕生を予感させた」と挨拶。そして、ついに、一般部門の審査結果の発表となった。

 当日の鑑賞者が選ぶスクリーニングオーディエンス賞は「Clears」池田圭監督、ネット視聴者が選ぶネットオーディエンス賞は「ミサイル刑事」スパイシーマック監督、梁英姫(ヤン・ヨンヒ)審査員賞は「Daybreak Garden」荻野夏生監督、樋口真嗣審査員賞は「私の半径200めーとる」陣内天飛監督と「Clears」池田圭監督がダブル受賞、審査員特別賞は「ちくしょうべん」大石勝敏監督に贈られることとなった。

 そして栄えあるグランプリは、「Sister Moonlight」のHAMU監督。小林重昭(撮影、編集担当)、本多真人(脚本担当)の2人組でHAMUという監督名で活動とのことで、当日は小林氏のみが参加。トロフィーと100万円のパネルを受け取り、満場の拍手を浴びた。

 最後に総評を述べた東京大学大学院教授の浜野保樹教授は、「時代も変わり、いまやYouTubeで映像を手軽に見られるようになった。そのぶん、たった数年で作品の質も大幅にアップした。ここまで来ると、作品の技術やクオリティにはほとんど差がない。10人に10万円ずつ賞金をあげたかった」として、ファイナリストたち全員を讃えた。

 たしかに、玉石混淆なことが多いネットムービー系のコンペだが、さすがに東京国際映画祭協賛企画ということで、非常にクオリティの高い作品ばかりだった。いずれ、短編映画祭などで鑑賞できるだろうが、スクリーンにこだわらなければ現在も全作品がネットで視聴できる。新たな才能の誕生をぜひその目で確かめてほしい。
《冨岡晶》

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