関西のケイ・オプティコム、FTTH大幅値下げはADSLユーザからの乗り換え需要が目的 | RBB TODAY
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関西のケイ・オプティコム、FTTH大幅値下げはADSLユーザからの乗り換え需要が目的

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関西のケイ・オプティコム、FTTH大幅値下げはADSLユーザからの乗り換え需要が目的
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ケイ・オプティコム代表取締役 社長 田邉忠夫氏
ケイ・オプティコム代表取締役 社長 田邉忠夫氏
 光ファイバインターネットサービスで、ケイ・オプティコムが勝負に出た。光ファイバインターネット「eoホームファイバー」の利用料を1,400円も下げる大幅な値下げに踏み切ったのである(2年間継続利用を申し込むことで適用される「即割」利用時)。

 この値下げによって、eoホームファイバーの利用料はFTTHの中で最安値となる。そればかりか、ADSLやCATVなど他のブロードバンドサービスを含めた価格競争においても十分に対抗できる金額となった。

 料金値下げと同時に、同社は光ファイバを使った新しいIP電話サービス「eo光電話」や、テレビも視聴できるビデオオンデマンド(VOD)を投入する。トリプルプレイサービスに参入することで、光を使ったトータルサービスを提供する。

 特にeo光電話は、従来のIP電話サービスと一線を画したまったく新しいサービスだ。現在のIP電話が非対応の特定電話番号(110や119番などの緊急通報)やフリーダイアルが利用できるうえ、割込電話や転送電話、発信者番号表示など固定電話で利用できるオプションが使えるのである。しかも、電話番号は固定電話のまま変更しなくてもよい。

 料金的にも、アダプタのレンタル料が月額300円かかるだけで基本料は無料、通話料も関西圏の固定電話には3分7.77円、Yahoo! BBやDTI、フュージョン、他の電力系など提携事業者にも3分8.4円でかけられる(※)。もちろん、同社会員間は無料となる。

 eoホームファイバーとeo光電話を組み合わせた利用料は月額5,200円。実はこれは「戦略的な価格」だったのだ。ケイ・オプティコム代表取締役 社長の田邉忠夫氏は、価格決定の経緯を次のように説明する。

「利用料を4,000円台にするというのが大前提でした。そのうえでYahoo! BBの12Mbpsサービスの利用料を詳しく調べてみると、ADSL利用料・NTT回線使用料・NTT固定電話の基本料金(3級局住宅用)など、その合計金額が月額5,547円になることがわかったんです。そこでFTTHを4,900円、IP電話の基本料を無料、IP電話のアダプタのレンタル料を300円にすれば、ADSLよりも安い5,200円になるということでこの価格になったのです。ですから、この価格はADSLからの乗り換えを意識した、非常に戦略的なものなんです」

 ところで2001年6月からサービス開始したeoホームファイバーは、近畿2府4県の92%の世帯をカバーする。このサービスエリアの広さは、電力系通信事業者の中でも随一だろう。加入者数は、2004年8月時点で戸建が約92,000人、集合住宅が約35,000人。2004年6月末時点におけるFTTH総加入者(1,417,483加入)の約1割を占める。

 全国比1.5倍のペースで光ファイバが浸透している近畿において、「NTT西日本との競争は激化しています。現在の近畿におけるシェアは、NTT西日本が6割、弊社が4割です。この時期に値下げを実施したのは、このシェアを逆転させるためです」(田邉氏)と、シェア拡大への意欲を見せる。

 なお、同社は今回の値下げに伴い今年度の加入者獲得目標を合計25万加入に上方修正した。この数値目標についてケイ・オプティコム企画室 経営戦略グループ 経営企画チーム マネージャー 曽我武司氏は次のように説明する。

「当初の目標は戸建15万、集合住宅5万の合計20万でした。しかし、この値下げと光IP電話の投入によって、戸建を5万加入ほど引き上げ、合計25万加入に変更しました」

 一方、NTT西日本も9月1日から集合住宅の利用料を大幅に値下げすることで、ケイ・オプティコムに対抗する(プラン1は月額3,255円、プラン2は月額2,730円。2年以上の契約を前提にした「フレッツ・あっと割引」を適用すると、プラン1は月額2,929.5円、プラン2は月額2,457円)。この値下げ合戦からも明らかなように、NTT西日本は集合住宅を、ケイ・オプティコムは戸建をそれぞれメインターゲットと定めたようだ。

 収益面では手堅い戸建、まるごと1棟導入できれば一気に加入者を増やせる集合住宅。戸建を狙うケイ・オプティコムと、集合住宅をターゲットとするNTT西日本のどちらに軍配が上がるか、今後の動向に注目したい。

[お詫びと訂正]
(※)初出では、提携事業者への通話料を無料と記載しましたが、実際には3分8.4円の誤りでした。読者ならびに関係者各位にお詫び申し上げるとともに記事を訂正いたします。
《北島友和》
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