編集部はインターネット回線の速度計測サービス「RBB SPEED TEST」(アプリ版)の2026年5月のログ(87,211計測)を集計し、10G回線サービスに絞ってその実態を分析した。
10G回線サービスに限定したランキング(下り速度平均の集計)をみてみると、オプテージの「eo光シンプルプラン(戸建て) 10ギガコース」が下り532.05Mbpsで1位となった。2位も同じくオプテージの「eo光(ホームタイプ)10ギガコース」。514.39Mbpsを記録しており、関西圏を中心に展開するオプテージの10Gサービスが好成績を示しているといえる。3位には「ビッグローブ光 マンション10ギガタイプ」が465.97Mbpsで続いた。なお、今回分析するのはスマートフォンアプリ(iOS/Android)による測定結果のため、ほぼ全てがWi-Fi接続での結果と推測される点に注意が必要。
※表中の速度はすべて下り速度
※対象は30以上の計測があるもの
Wi-Fi接続時の固定回線サービス(10G回線サービス)
順位 | サービス名(プラン名) | 事業者名 | 速度(Mbps) | 計測数 |
1位 | eo光シンプルプラン(戸建て) 10ギガコース | オプテージ | 532.05 | 31 |
2位 | eo光(ホームタイプ)10ギガコース | オプテージ | 514.39 | 198 |
3位 | ビッグローブ光 マンション10ギガタイプ | ビッグローブ | 465.97 | 50 |
4位 | コミュファ光(ホーム 10G) | 中部テレコミュニケーション(コミュファ) | 412.36 | 321 |
5位 | NURO 光 10ギガ(戸建て) | ソニーネットワークコミュニケーションズ | 402.68 | 179 |
6位 | NURO 光 10ギガ(マンション向け) | ソニーネットワークコミュニケーションズ | 401.26 | 55 |
7位 | ドコモ光10ギガ(マンション) | NTTドコモ | 389.07 | 187 |
8位 | KDDI auひかり ホーム10ギガ | KDDI(auひかり) | 365.66 | 109 |
9位 | NTT西日本 フレッツ 光クロス(最大10Gbps)戸建て | NTT西日本 | 328.91 | 302 |
10位 | So-net光10ギガ(戸建て) | ソニーネットワークコミュニケーションズ | 288.57 | 56 |
上位10サービスをみてみると、地域限定サービスが健闘している点が特徴だ。特に関西圏のオプテージ、東海圏の中部テレコミュニケーション(コミュファ)が上位にランクインしており、地域密着型の事業者が高速サービスを提供している状況がうかがえる。
一方、全国展開しているNTT東日本・西日本のフレッツ光クロスは、計測数が多いものの速度面では中位にとどまっている。NTT東日本の戸建て向けサービスは795計測と10Gサービスの中で最も多くの計測数を記録しているが、下り速度は200.98Mbpsで16位。計測数の多さで提供エリアの広さと契約者数の多さがうかがえるが、速度のばらつきや混雑の影響も考えられる。
ソフトバンク光やドコモ光といった光コラボレーションサービスの10Gプランも中位に位置しており、下り速度は200~400Mbps台となっている。ソニーネットワークコミュニケーションズが展開する「NURO 光」の10ギガサービスは戸建て・マンション向けともに400Mbps超えの高速を記録し、5位と6位にランクインした。
10G回線サービス全体の平均下り速度は293.34Mbpsとなっており、最高速度と最低速度の差は約350Mbpsに開いている。高速通信への需要が高まる中、各事業者のサービス品質の差が明確になってきており、今後の競争がさらに激化していくものと思われる。
【Wi-Fi接続時】中央値で見る10G回線サービスの実態は?
今回の集計では、各サービスの平均速度に加えて、より実態に近い指標である中央値も算出した。中央値とは、全計測データを速い順に並べた際に総計測者数の中心となる値で、平均値のように一部の突出して速い計測や遅い計測の影響を受けにくく、「典型的なユーザーが体験する速度」を表す指標である。
10G回線サービス全体の中央値は210.17Mbpsで、平均値293.34Mbpsを83.17Mbps下回る結果となっている。
順位 | サービス名(プラン名) | 事業者名 | 速度(Mbps) | 計測数 |
1位 | eo光シンプルプラン(戸建て) 10ギガコース | オプテージ | 615.77 | 31 |
2位 | ビッグローブ光 マンション10ギガタイプ | ビッグローブ | 543.01 | 50 |
3位 | ドコモ光10ギガ(マンション) | NTTドコモ | 424.98 | 187 |
4位 | eo光(ホームタイプ)10ギガコース | オプテージ | 414.05 | 198 |
5位 | NURO 光 10ギガ(戸建て) | ソニーネットワークコミュニケーションズ | 387.05 | 179 |
注目すべきは、ドコモ光10ギガ(マンション)が平均値ランキングでは7位だが、中央値では3位に浮上している点だ。平均389.07Mbpsに対し中央値424.98Mbpsと、中央値が平均を上回っている。「典型的なユーザーが体験する速度」が非常に高く、サービスとしての安定性が高いことを意味しており、実際の利用実感としては上位サービスと遜色ない性能を持っているといえる。
一方、計測数795回と最多のNTT東日本 フレッツ光クロス(戸建て)は、平均200.98Mbpsだが中央値は94.61Mbpsと、平均の半分以下。速度のばらつきが非常に大きく、利用環境による当たり外れが大きい場合があるといえるだろう。
【事業者別分析】10Gサービスの実力、関西・東海勢が圧倒
事業者別に10Gサービスの中央値を比較したところ、地域限定事業者の優位性が明確になった。オプテージ(関西)は中央値456.32Mbpsで首位、中部テレコミュニケーション(東海)も368.60Mbpsと、全国平均の210.17Mbpsを大きく上回っている。
順位 | 事業者名 | サービス数 | 総計測数 | 中央値(Mbps) |
|---|---|---|---|---|
1位 | オプテージ | 2種類 | 229回 | 456.32 |
2位 | 中部テレコミュニケーション(コミュファ) | 2種類 | 326回 | 368.60 |
3位 | ソニーネットワークコミュニケーションズ | 5種類 | 303回 | 363.45 |
4位 | ビッグローブ | 2種類 | 139回 | 326.42 |
5位 | NTT西日本 | 2種類 | 444回 | 247.75 |
6位 | KDDI(auひかり) | 1種類 | 109回 | 212.28 |
- | 全国平均 | - | 4,051回 | 210.17 |
7位 | NTTドコモ | 2種類 | 773回 | 209.56 |
8位 | ソフトバンク | 2種類 | 741回 | 173.13 |
9位 | ニフティ | 2種類 | 45回 | 130.21 |
10位 | NTT東日本 | 2種類 | 885回 | 93.44 |
関西のオプテージは「eo光シンプルプラン(戸建て) 10ギガコース」と「eo光(ホームタイプ)10ギガコース」の2種類の10Gサービスで総計測数229回ながら、中央値456.32Mbpsとトップの実力を発揮。東海のコミュファも「コミュファ光(ホーム 10G)」を中心に326回の計測で368.60Mbpsを記録した。
一方、計測数が多い全国展開事業者では、NTT東日本が885回の計測を集めながらも中央値93.44Mbpsと全国平均の半分以下にとどまっている。これは提供エリアが広く利用環境のばらつきが大きいことが影響していると考えられる。ソフトバンクも741回の計測で中央値173.13Mbpsと、地域限定事業者との差が顕著だ。
NTT西日本(444回)は全国平均を上回る中央値を維持しており、全国展開事業者の中では比較的安定したサービスを提供しているといえる。一方、NTTドコモ(773回)は中央値209.56Mbpsと全国平均をわずかに下回る結果となった。
【Wi-Fi接続時】平均値・中央値・最頻値が示す10G回線の実態
10Gサービスの速度を評価する際、平均値だけでは実際のユーザー体験が見えにくいケースがある。今回は平均値・中央値・最頻値の3つの代表値を算出し、10G回線の速度実態を分析した。
10Gサービス全体の速度分布

10Gサービス全体の統計を見ると、平均値293.3Mbps、中央値210.2Mbpsに対し、最頻値帯は50-100Mbpsと著しく低い結果となった。
この差が生まれる理由は、速度が出ないユーザーの多くが同じような問題を抱えていることにある。
宅内環境のボトルネック(Wi-Fi 5以下、1Gbps対応ルーター、CAT5eケーブルなど)により、多くのユーザーが70-80Mbps帯に集中。つまり、「10G回線を契約しているのに速度が出ない」という人はかなり多く、その層が70-80Mbps帯に留まっているといえるだろう。
一方、適切な環境を整備したユーザーは500Mbps以上を実現しているが、その速度は500Mbps-2000Mbps超まで広範囲に分散しており、特定の速度帯に集中していない。
つまり、「遅い理由」は共通しているため特定の速度帯に集中する一方、「速い理由」は多様なため広く分散する結果、最頻値は低速帯に留まり、平均値・中央値はより高い値になっている。
なお、中央値については視覚的には500Mbps付近が中央に見えるかもしれない。しかし中央値は「グラフの横軸の真ん中」ではなく、「縦軸が示す人数(計測数)で数えたときの真ん中の値」を意味する。今回のデータは低速側に人数が偏っているため、人数で半分に分けると10G回線サービス全体では210.2Mbpsが中央値となっている。
NTT東日本 フレッツ光クロス(戸建て)の速度分布

計測数795回と最も多くのデータが集まったNTT東日本 フレッツ光クロス(戸建て)について、詳細に分析した。
10G全体の最頻値帯が50-100Mbpsだったのに対し、NTT東日本では0-50Mbps帯に全体の28.8%(229件)が集中している。10G全体と比較しても、さらに低速側に偏っていることが分かる。
この要因として、全国広域サービスであるフレッツ光クロスは、地域や建物の配線状況、集合住宅の共用設備などの影響を受けやすく、環境による速度差が極めて大きいことが挙げられる。
今回のデータの重要な特徴として、計測の86.8%がiOS(iPhone/iPad)、13.2%がAndroid端末によるものだ。つまり、ほぼ全てがWi-Fi接続での測定結果と考えられる。つまり、10G回線の実力そのものというより、一般的な家庭のWi-Fi環境における実効速度を示していると言えるだろう。
最頻値帯が50-100Mbps、あるいは0-50Mbps帯に集中している背景には、Wi-Fi規格やルーター性能といったボトルネックが存在していることが大きな要因と考えられる。
今後、Wi-Fi 7(802.11be)対応ルーターの普及が進めば、スマートフォンでもより高速な測定結果が得られるようになるだろう。現状では、10Gサービスの真の実力を測るには、有線LAN接続(10GBASE-T)での測定が必要といえる。
今回考えさせられたのは、10Gサービスでありながら速度が低いユーザーが多いという点だ。アプリの計測結果は、WiFi接続時の速度となるため、ある程度の遅さは仕方ないが、WiFi5以前の規格などを使っているユーザーも多いのも原因ではないかと推測される。



