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勝てないことより深刻? 高校球児の品性のないヤジ、W杯敗退後の異常な監督叩き…韓国スポーツの現在地

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勝てないことより深刻? 高校球児の品性のないヤジ、W杯敗退後の異常な監督叩き…韓国スポーツの現在地
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韓国スポーツ界で、結果そのもの以上に後味の悪い出来事が相次いでいる。

高校野球では、相手校に向けて歴史的な悲劇を揶揄するようなヤジが飛び、物議を醸した。

【画像】不適切なヤジを飛ばす高校球児たち

一方、サッカーでは北中米ワールドカップでグループステージ敗退に終わった韓国代表をめぐり、辞任したホン・ミョンボ前監督への批判が異常な過熱を見せている。

競技で勝てないことへの失望は、スポーツにつきものだ。采配批判も、協会批判も、結果責任を問う声も当然ある。ただ、最近の韓国スポーツをめぐる空気を見ると、問題は勝敗だけではないように見える。

問われているのは、負けたときに何が起きるのか、あるいは相手をどう扱うのかという、スポーツ文化そのものなのかもしれない。

高校球児のヤジが社会問題に

高校野球で起きた騒動は、その象徴的な出来事だった。

韓国で最も長い歴史を持つ高校野球大会「青龍旗全国高校野球選手権大会」で、培材(ペジェ)高校の選手たちが光州(クァンジュ)第一高校に向けて「スターバックスに行かなきゃ」「タンクデー」などのヤジを飛ばしたとされる。

問題となったヤジが飛んだ試合
(画像=オンラインコミュニティ)問題となったヤジが飛んだ試合

問題視されたのは、それが単なる相手校への冷やかしでは済まなかったからだ。

「タンクデー」は、1980年5月に光州で発生した5・18民主化運動を想起させる言葉として受け止められた。当時、民主化を求めた市民や学生に対して戒厳軍が投入され、多くの死傷者が出た。現在の韓国では、民主化の歴史を語るうえで欠かせない出来事として記憶されている。

今年5月には、スターバックスコリアが「タンクデー」という名称を使ったイベントを展開し、5・18民主化運動を連想させるとして大きな批判を浴びたばかりだった。そうした騒動を想起させる言葉が、相手校へのヤジとして使われたことになる。

光州第一高校側は、選手たちが大きな衝撃を受け、練習やプレーにも影響が出ていると明かした。培材高校は「倫理意識と歴史認識の欠如から生じた重大な問題」と謝罪し、校長や教職員、野球部員全員による光州第一高校への訪問謝罪も検討された。

しかし、光州第一高校側は「学生たちが謝罪を受け入れられる心の準備がまだできていない」として、訪問の延期を要請したという。被害を受けた側の生徒たちの心理的安定を優先した形だ。

騒動の余波は学校の外にも広がっている。培材高校の校門前には、「民主化運動を侮辱する国民に民主主義は過分だ」といった趣旨の文言が書かれた弔花まで届けられたと報じられた。さらに、培材高校は反省の意味で残り試合を棄権する案まで慎重に検討しているという。

培材高校に送られた弔花
(画像=MBC)培材高校に送られた弔花

不適切なヤジを飛ばした側の責任は重い。だが、その一方で、謝罪訪問、懲戒、棄権検討、弔花の送付にまで波紋が広がっていることには、韓国社会における5・18民主化運動の重みを踏まえても、異様な空気がにじんでいる。

異様なホン・ミョンボ叩き

一方、サッカーでは負けた側への怒りが、危険な領域にまで流れ込んでいる。

2026年北中米ワールドカップで、韓国代表はグループステージ敗退に終わった。1勝2敗でA組3位となり、3位チーム同士の争いでも及ばず、32強トーナメント進出を逃した。ホン・ミョンボ監督は現地で辞任を表明したが、批判はそこで収まらなかった。

ホン・ミョンボ監督
(写真提供=OSEN)ホン・ミョンボ監督

韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領はSNSで、韓国代表の敗退について「予想外の結果に当惑を超えて荒唐無稽さを感じる」とし、「能力よりも、味方かどうかを重視して無能な人物を指揮官に選べば、結果は火を見るより明らかだ」と厳しく批判した。国家元首が代表監督を「無能」と名指しする異例の事態だった。

こうした空気は、街やネットにも一気に広がった。韓国各地では「ホン・ミョンボ出入禁止」といった趣旨の張り紙やパロディ画像が出回り、飲食店やカフェが実際に出入り禁止を掲げたケースも報じられた。会社員コミュニティでは、能力のある部下を使いこなせない上司を「うちのチーム長がまさにホン・ミョンボだ」とたとえる投稿まで注目を集めた。

もはやホン・ミョンボという名前は、サッカーの采配批判を超え、韓国社会で“失敗したリーダー”を揶揄する記号のように使われ始めている。

さらに深刻なのは、怒りが脅迫にまで及んだことだ。韓国のオンラインコミュニティには、ホン前監督の帰国時期に合わせて仁川空港で危害を加える趣旨の殺害予告性投稿が上がったと報じられた。警察も投稿者の追跡に乗り出したという。

代表監督が結果責任を問われるのは当然だ。とはいえ、大統領の名指し批判、街中の“出入り禁止”掲示、会社員社会での揶揄、そして殺害予告性投稿まで重なれば、それはもはや単なるサッカー批判ではない。敗戦の怒りが、ひとりの人物を社会的に吊るし上げる空気へと変わっている。

貼り紙
(写真=オンラインコミュニティ)「ホン・ミョンボ立ち入り禁止!」と書かれた貼り紙

その後も、ホン前監督がAI生成映像のなかで暴行される動画が1000万回以上も再生され、韓国代表の試合前に流される愛国歌の映像から、2002年日韓ワールドカップでホン前監督が見せたセレモニーの場面を削除すべきだとの声が上がるなど、過熱した批判は収まっていない。

もちろん、今回のW杯の結果への失望は大きい。だが、検証と吊るし上げは違う。負けた理由を考えることと、怒りのはけ口を探すこともまた違うはずだ。

高校野球の5・18揶揄と、ホン・ミョンボ前監督への過剰な批判は、一見するとまったく別の問題に見える。片方は若い選手たちによる不適切なヤジであり、もう片方は代表チームの失敗に対する世論の暴走だ。

しかし、そこには共通するものがある。スポーツの場で、相手への敬意や敗者への節度が後回しにされているという点だ。

スポーツの勝負は感情を動かす。勝てば熱狂し、負ければ怒りや失望が生まれる。ただ、その感情が、歴史的悲劇をからかう言葉になったり、失敗した人物を笑いものにする暴力的なコンテンツになったりするなら、スポーツは人を育てる場ではなく、人を傷つける場になってしまう。

近年、思ったような結果が出ていない場面が目立つ韓国スポーツに必要なのは、負けたときに、誰かを笑いものにせず、相手を傷つけず、検証すべきことを冷静に検証できる空気を取り戻すことではないだろうか。

高校野球の不適切ヤジと、W杯敗退後の異常な監督叩き。韓国スポーツの現在地を映す2つの出来事は、勝敗以前に守るべきものが何かを問いかけている。

【画像】監督暴行AI動画が1000万回超再生の異常事態…ホン・ミョンボへの批判

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