バンコク中心部から電車で約20分のプンナウィティ駅周辺は、地元では「スクンビット101」の愛称で親しまれるエリア。近年は新しいビルやカフェが増え、再開発が進むエリアとして注目されているが、一歩路地に入ればいまもローカルな空気が色濃く残り、地元の人々の暮らしを感じられる風景が広がっている。

今回は、YouTubeチャンネル「JaPhai~ジャパイ~」を運営し、日本とタイの架け橋となる情報発信を行う田中資恵(ともえ)さん(通称・田中D)と、日本生まれ・日本育ちのタイ人リポーター・MOMOさんが、プンナウィティの路地裏で出会った“おすすめグルメ”を紹介する。

1本10バーツ!地元客に愛される路地裏の串焼き

BTSプンナウィティ駅からほど近い路地に入ると、目に飛び込んできたのが、煙突が目を引く屋台だ。にこやかな店主に話を聞くと、ここで販売されているのは牛肉の串焼き「ヌアヤーン」。価格はなんと1本10バーツ(約50円)と、驚くほど手頃な逸品。


人気のため早い時間に売り切れることも多いようで、この日もすでにほぼ完売。その様子からも、地域にしっかりと根付いた、地元客に長く親しまれている存在であることがうかがえた。もし売り切れる前に出会えたら、ぜひ味わってみたい一品だ。
観光地では出会えない 希少な赤バナナ「クルアイ・ナーク」

散策を続ける二人が次に足を止めたのは、ローカルな雰囲気が漂う果物店の前。店先に並んでいたのは、ひときわ目を引く“赤いバナナ”だった。

その正体は「クルアイ・ナーク」と呼ばれる在来種のバナナ。熟す前は深い緑色で、熟すと皮が赤くなるという特徴を持ち、MOMOさんも「初めて見た!」という、タイでも日常的にはあまり見かけない希少な品種だ。

やや硬めの皮をむくと、中はほんのり茶色がかった黄色。早速口にしたMOMOさんは「めっちゃおいしい!」と声を上げ、さらに「バナナの中で最強の味かも」とそのおいしさに驚きの表情を見せた。
1房35バーツ(約175円)という手頃な価格ながら、香りは強く、ほんのりとした渋みがあり、「モンキーバナナと普通のバナナがミックスされた味」とも表現される独特の風味が楽しめる。

観光地ではなかなか見かけないこうした果物も、ローカルな街を歩く中で出会えるもの。何気ない路地にこそ新しい発見が潜んでいるのも、この街歩きの醍醐味だ。
カリカリ食感がクセになる!地元で親しまれるラートナーの名店

今回の旅の目的地として訪れたのは、創業16年を誇るラートナー(タイ風あんかけ麺)の名店「ラートナー・クンティップ101」。MOMOさんが「ずっと気になっていた」と語る一軒。


一般的に中華麺(バミー)を使うことが多いラートナーだが、この店では米粉の太麺「センヤイ」を使用。看板メニューの「クリスピー・ラートナー」は、そのセンヤイを卵と絡めてから油で揚げるという、独自性あふれる調理法が特徴だ。

「豚肉入りラートナー(60バーツ、約300円)」は、揚げた麺とあんが別々に提供されるスタイル。まずは表面が香ばしく揚がった麺が目の前に運ばれ、そこへ熱々のあんを自分でかけて仕上げる。大きくカットされた柔らかな豚肉と、とろみのあるあんが絡み合い、揚げ麺ならではの食感とあんが絶妙に調和する一皿だ。


ひと口食べたMOMOさんは、口いっぱいに頬張ったまま美味しさに驚いた様子を見せ、田中Dから感想を聞かれると、「すごいカリカリ!」と興奮気味に食感の驚きを伝えた。


さらに、この店でもう一つ外せないのが「卵を絡めて揚げたセンヤイのガパオかけ(セン・トート・ラーッ・ドゥーイ・ガプラオ)(70バーツ、約350円)」だ。先ほどの揚げ麺の上に、タイ料理の定番であるガパオ炒めを豪快に乗せた一皿。


続いて口にしたMOMOさんは、「めちゃめちゃ美味しい!」と満面の笑顔を見せる。田中Dもひと口味わい、「美味しい、これ食感がいいね!油揚げをトースターでカリカリに焼いた上にガパオをかけた感じ」と語り、軽やかな食感とコクのある味わいに驚いた様子を見せた。
TikTokなどのSNSでも話題となり、遠方から訪れる客も多いという同店。ローカルエリアにありながら、ひと味違うラートナーが楽しめる注目の一軒だ。
路地裏に佇む日本愛あふれるカフェでひと休み

絶品グルメを堪能した二人は、プンナウィティ34にあるカフェ「KuK」でひと休み。こちらは、リタイアしたアメリカ人のご主人とタイ人の奥さまが営む、自宅を改装したカフェ。


「日本が大好き」だというオーナー夫妻のこだわりが詰まった店内は、日本愛あふれる雰囲気。大きな招き猫が置かれど、こか懐かしさも感じられる穏やかな空気が広がっている。

リーズナブルな価格も魅力で、アイスコーヒー(40バーツ、約200円)やアイスミルクティー(35バーツ、約150円)を注文。ローカルらしい気軽さの中で、ゆったりとした時間が流れる。
カフェでひと息つくなか、MOMOさんは自身のルーツについても語った。タイ人でありながら、日本で生まれ育ち、日本の文化や生活の中で幼少期を過ごしてきたMOMOさん。10歳の時に両親とともにタイへ戻ったが、当時は日本語しか話せず、タイでの言葉や文化の違いに戸惑うことも多かったという。それでも、タイの人々の大らかさや、ありのままを受け入れる空気に支えられ、今ではこの地での生活を楽しんでいると、穏やかな笑顔を見せた。

華やかな観光地とは異なり、プンナウィティ(スクンビット101)には地元の人々の暮らしに根付いた食文化が残っている。観光地では味わえない“日常のバンコク”を感じながらグルメを楽しみたい人にとって、訪れる価値のあるエリアといえるだろう。













