多様化が進むK-POP界。日本人アイドルが韓国語で歌うことも珍しくなくなってきた。
その一方で、存在感を見せているのがタイ勢だ。
3月27日、公共放送局のKBSで放送されていたドラマ『マリと変わったお父さんたち』(原題)が最終回を迎えた。そのラストを飾るOST(挿入歌)『By Your Side』を歌ったのは、アイディアという名の13歳のタイ人少女だった。
デビュー前の新人が、計120話に及ぶ長編ドラマの最後を締めくくる。この一見すると異例な大抜擢も、現在の勢力図を見ると、決しておかしくはない。約20年にわたり先人たちが紡いできた「タイ出身K-POPアーティスト」という、唯一無二のブランド力があるからだ。

K-POPにおけるタイ人スターの歴史を語るうえで、最初の大きな転換点として、2008年にデビューしたニックン(2PM)の存在は欠かせない。アメリカ育ちのタイ人という国際的な背景と柔らかなイメージを武器に、韓国のバラエティ番組や広告に多数出演。「タイの王子様」と称され人気を確立し、外国人メンバーでも韓国の大衆スターになれることを証明した存在だった。
この成功は、韓国の大手事務所が東南アジア、特にタイに本格的に目を向ける契機にもなったと言える。その後、K-POPの世界には実力と市場性を兼ね備えたタイ出身アイドルが次々と登場する。
たとえばベンベン(GOT7)はタイ国内で圧倒的な広告価値を持つスターとなり、テン(NCT/WayV)は卓越したダンススキルで世界的アイドルとしての地位を確立している。そして決定的な存在が、リサ(BLACKPINK)だ。
彼女はK-POPの枠を越えた世界的ポップスターとなり、タイ観光庁のプロモーションにも起用されるなど、自国でも絶大な人気を誇る存在となった。現在はハリウッドで女優としての活動も始めており、LVMH会長の子息、フレデリック・アルノー氏との交際が報じられるなど、その動向は常に世界の注目を集めている。

このようにして存在感を増しているタイ出身アイドルだが、現在は役割もさらに多様化している。音楽一家に生まれたミンニ(i-dle)は、ボーカリストとしての評価に加え、楽曲制作にも関わるプロデューサーとしての存在感も示している。K-POPグループにおけるタイ人メンバーは、もはや外国人メンバーという“おまけ”的な立場ではなく、グループの個性やブランド価値を担う中心的な存在へと変化しているのだ。
直近ではBABYMONSTERのタイ出身メンバー・チキータが、14歳でのデビューで注目を集めた。この文脈で見ると、デビューもしていない13歳のアイディアが抜擢されたという事実は、決して異例とは言えないのかもしれない。

K-POPの外国籍メンバーといえば、日本や中国、欧米など多様な地域から集まるが、その中でもタイ出身アイドルの存在感は独特だ。人数では決して多いわけではないが、それでもニックンからリサ、そしてミンニ、チキータへと続くスターの連なりは、K-POPの国際化を象徴する系譜の一つと言えるだろう。



