現在、韓国社会を揺るがしている“テレグラム麻薬王”ことパク・ワンヨルの国内送還。
単なる犯罪者の枠を超え、国家的な麻薬スキャンダルの盛大な幕開けを予感させている。
3月25日、フィリピンからパク・ワンヨルが韓国へと強制送還された。その背後に政財界や芸能界をも巻き込む薬物汚染の巨大な相関図が隠されているとされるなか、特筆すべきは、南陽乳業創業者の孫であり、パク・ユチョンの元恋人として知られる“ミルク姫”ことファン・ハナとの接点だ。
最新の捜査資料や韓国メディアの報道によると、ファン・ハナはパク・ワンヨル組織の“重要顧客”だったという線が濃厚となっている。彼女は、パク・ワンヨルがフィリピンの刑務所内からテレグラムを通じて指示を出していた韓国最大級の供給役、通称“バチカン・キングダム”通じて、薬物を受け取っていたとされる。ファン・ハナ自身、2025年12月に自首する形で入国した際に拘束されたが、彼女が手にしていた薬物の元締めが、この国際的な麻薬組織であったことが裏付けられつつある。
このパク・ワンヨルという人物は、韓国の人気作品のモデルにもなったほどの“怪物”だ。映画『犯罪都市 THE ROUND UP』でソン・ソックが演じた残忍な悪役や、ドラマ『カジノ』のエピソードの多くは、彼が2016年にフィリピンで引き起こした凄惨な殺人事件がモチーフとなっている。

しかし、真に恐ろしいのは、その後の動きだ。パク・ワンヨルは収監後も現地の刑務所内で賄賂を使い、スマートフォンを自由に操るVIP生活を謳歌。これは日本を震撼させた「ルフィ事件」の首謀者らが、フィリピンの収容所から指示を出していた手口と完全に一致する。彼は“安全圏”からテレグラムを駆使して、月間最大60kg、約30億円相当、122万人分の薬物を流通させ続けていたのだ。
今回の摘発によって、未だ多くの謎が残る「バーニングサン事件」の再捜査にも一気に期待がかかっている。ファン・ハナは、元BIGBANGのV.I(スンリ)がオーナーを務めたクラブ「バーニングサン」の元VIP客。麻薬王、供給役、そして顧客ファン・ハナ。この線が繋がったことで、当時の薬物の“源流”がパクの組織であった可能性が極めて濃厚になった。
捜査当局が解析を進めるパクの携帯電話。その中にはファン・ハナ以外にも、多くの有名芸能人や政治家、富豪の名前が含まれているという見方が強い。もしこの「顧客リスト」が白日の下に晒されれば、かつての事件以上の衝撃が韓国を襲うことになるだろう。
『犯罪都市』シリーズでは、どんな凶悪犯が現れようとも、最後はマ・ドンソク演じる剛腕刑事が“拳”でねじ伏せ、観客にカタルシスを与えてくれる。しかし、現実の事件はより複雑で根深い。

フィリピンの収容所から指先一つで母国を汚染し、莫大な富を築いてきた男が、日本の「ルフィ」と同様、法の網をあざ笑うかのように君臨していた事実はあまりに重い。
今、韓国の法廷でこの“怪物”がどのような裁きを受けるのか。そして、そこから芋づる式に暴かれるであろう顧客リストが、再び韓国社会を凍りつかせようとしている。この事件は単なる麻薬犯罪にとどまらない。腐敗と闇の連鎖を断ち切れるのか、その真価が問われている。



