野球で最も重要なポジションを挙げるとすれば、それは“先発投手”だ。試合を始める選手であり、良いピッチングをしてこそチームも勝つことができる。しかし、今の韓国野球にはその人材が不足している。
今回の侍ジャパンとの強化試合を通じて、目を背けてはならない現実がありありと露呈した。“薄紙のようなデプス”と表現しても過言ではない。
韓国代表の強化試合4連戦が終わった。チェコ、日本とそれぞれ2試合を行ったが、より注目されたのは日本戦だった。
結果は1分1敗。確かな可能性は見えた。東京ドームを経験できたという貴重な収穫もあったが、指摘すべき点も多い。
最も重要なのは、「先発投手がいない」という現実だ。2026年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の1次ラウンドで、韓国は3月5日から9日の間に4試合を戦う。そのため、少なくとも4人の先発が必要だ。それで終わりではなく、各試合で「1+1」を組めるだけの準備が必要になる。1次ラウンドでは投手の球数制限が65球と定められているからだ。
韓国代表のリュ・ジヒョン監督は「WBC本戦では先発投手が2人ずつ入れなければならない。1人が投げられるのは長くても4回だ。追加の準備もしなければならない。今の国内リーグは外国籍の先発投手が中心で、韓国人投手が不足している」と語った。
今回の強化試合では、先発候補としてクァク・ビン、ウォン・テイン、ムン・ドンジュ、ソン・ジュヨン、オ・ウォンソクらが招集された。広く見れば他にも候補はいるが、まずはこの程度だ。このうちウォン・テイン、ムン・ドンジュ、ソン・ジュヨンの登板はなかった。
深刻な問題は、もし彼らが再び“投げられない状況”に置かれた場合、それに代わる明確な選択肢が乏しいという点だ。先発の人材がまったくいないわけではないが、さまざまな面で少しずつ物足りなさがある。

今回の強化試合で、リュ・ジヒョン監督とコーチ陣は“リリーフ総動員”をテーマに掲げた。しかし、思うようにはいかなかった。KBOリーグで勝ちパターンや守護神として投げている投手たちでさえ、強化試合では四球を量産する場面が目立った。
代表の戦いは2026年WBCで終わるわけではない。その後も国際大会は続いていく。そのたびに先発不足が課題になる可能性が高い。
加えて、KBOリーグには構造的な問題もある。現在も多くのチームで外国籍投手が先発ローテーションの1~2番手を務めており、この状況でアジア枠制度も来季より新設。LGツインズは昨季キウム・ヒーローズに所属したラクラン・ウェルズの獲得発表を残すのみで、SSGランダースは武田翔太、KTウィズは杉本幸基と日本人選手を迎えた。ハンファ・イーグルスも、前楽天の王彦程(ワン・イェンチェン)を獲得した。彼らの共通点は、いずれも「先発登板できる投手」であることだ。
彼らが先発で投げるのであれば、その分だけ韓国人投手が先発として登板する機会は減る。これはかなり深刻に受け止めるべき問題だ。先はまだまだ長いのに、前途には次々と壁が立ちはだかる。
多くの野球関係者が「球の速い若手をすぐにリリーフで使いすぎる。時間をかけて鍛え、先発として育成すべきだ」と口を揃える。それほど先発が不足しているということだ。
今回の韓国代表でも、その現状が改めて確認された。必ず育てなければならない。それこそが、KBOリーグを超えて韓国野球が生き残るための道である。



