韓国Kリーグ1(1部)で前年度王者ながら降格危機に瀕し、成績不振でシーズン途中に2度の監督解任を断行した蔚山(ウルサン)HD FCが、ユースダイレクターによる監督代行体制の初戦で8試合ぶりのリーグ戦勝利を挙げた。
蔚山は10月18日、ホームの蔚山文殊サッカー競技場で行われた光州(クァンジュ)FCとのKリーグ1第33節で2-0と勝利した。
前半にスウェーデン人MFグスタフ・ルドヴィグソンのゴールで先制し、後半に元韓国代表MFイ・チョンヨンのPKで追加点を挙げる完勝だった。

イ・チョンヨンの“フルスイング”パフォも
蔚山のリーグ戦勝利は約2カ月ぶり。シン・テヨン前監督就任初戦である8月9日の済州(チェジュ)SK FC戦(1-0勝利)以来だ。以降、AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)では2試合で1勝1分の無敗も、リーグ戦では7試合では3分4敗と未勝利が続き、順位も第33節前まで入れ替え戦圏内に沈んでいた。
今年8月にキム・パンゴン前監督を解任し、後任として元インドネシア代表指揮官のシン・テヨン氏を招へいした蔚山。だが、前出の成績不振に加えて監督と選手の不和が報じられるなどチーム内で混乱が続き、1シーズンで監督2人を解任する事態となった。
昨季はクラブ初のリーグ3連覇を達成したが、今季はクラブ初の2部降格危機。絶体絶命のピンチに、蔚山は監督代行にユースダイレクターのノ・サンレ氏を据え、彼にチームの命運を託した。その結果、初陣で見事に白星スタートを切ることに成功した。
これで蔚山は10勝10分13敗の勝ち点40とし、順位を12チーム中10位から9位へ上げた。一方、この試合に勝てばファイナルラウンドでの上位グループ進出の可能性もあった光州は、11勝9分13敗の勝ち点42で8位にとどまり、残り5試合を下位グループで戦うことになった。

試合は蔚山が序盤から積極的なプレーを展開。前半20分、左サイドバックのDFパク・ミンソのクロスをブラジル人FWエリックが競り、こぼれ球をルドヴィグソンが右足で押し込み先制点を奪った。
後半は光州の反撃を抑えつつ、途中出場のイ・チョンヨンが終了間際には勝負を決定づける一発。ペナルティエリア内でMFイ・ヒギュンが倒され得たPKを冷静に決め、蔚山に2-0の勝利を導いた。
話題を呼んだのは得点直後のゴールパフォーマンスだ。イ・チョンヨンは蔚山サポーターのいるゴール裏に向かって、ゴルフクラブをフルスイングするかのように両腕を振り抜き、ショットの行方を見守るかのように額に手を当てるジェスチャーを披露したのだ。


蔚山を解任されたシン・テヨン前監督は、複数の韓国メディアに「練習中の暴言・暴行」や「アウェイゲーム期間中のゴルフ」など、蔚山の選手側が主張したとされる疑惑に強く反論した。さらに、「特定のベテラン選手がチームに不当な影響力を及ぼしている」とも主張していた。
その後、蔚山の選手たちの間では、シン・テヨン前監督の主張に対する反論を出すという話も出ていた。ただ、降格危機にあえぐチーム状況を考慮して沈黙を選び、光州戦の準備に集中した。
それだけに、今回イ・チョンヨンが見せた“ゴルフスイング”セレモニーは、シン・テヨン前監督の発言を意識したものと見られている。
なお、蔚山は光州戦から中2日の10月21日に、ホームの蔚山文殊サッカー競技場でサンフレッチェ広島とのACLEリーグフェーズ第3節を戦う。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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