6月21日のMBSテレビ『住人十色』では、「主役は緑! 4つの庭と5つの箱の平屋」が放送される。

今回舞台となるのは愛知県豊田市。住人(アルジ)は子どもが1人いる3人家族で、2年前に建築家の夫の地元に新居を構えた。

「森のようにしたかった」という家は、住宅街に建つ緑あふれる平屋で、外観からは分からないが、異なる高さの5つの箱で構成されている。山登りが趣味の一家は、緑が好きすぎるあまり、5つの箱の家には4つの庭をレイアウトしているという。

家を建てるにあたり、最優先したのが緑を主役にすること。そこで建築家の夫が導き出したのが大地との距離感が近い平屋だった。しかし、平屋には家の中心が暗くなってしまうというデメリットが。それを解決したのが家の中央に設けた中庭で、中庭を囲むように箱を配置することで、家全体に光が行き渡るようにした。

また、平屋のもうひとつのデメリットが、ワンフロアなので単調な空間になりやすいということ。そこで1つの大きな箱ではなく、形の異なる小さな5つの箱にすることで、空間に変化と広がりを感じられるようにしたのだった。

緑のトンネルをくぐるようにして家に入ると、1つ目の箱と2つ目の箱の間に玄関が。玄関を入って左側の箱は、夫の設計事務所。右側が住居スペースになっている。
最も天井が高い箱は、明るく開放的なリビング。平屋で大きな窓を設けると外からの視線が気になるが、土地自体の高低差と緑のカーテンを利用して問題を解消した。そんな窓はフルオープンでき、リビングから直接庭に出ることができる。山と同じ景色になるよう、高価なシンボルツリーではなく、あえてどんぐりの木など雑木と呼ばれる自然の山に植わっている木で庭をつくったという。
3つ目の箱は、リビングよりも天井高を抑えたダイニングキッチン。他のスペースとの間にガラスの建具を入れることで、光を採り込みながら空調効率を良くし、食事のにおいも広がらないようにしている。そんなダイニングキッチンでも主役は緑で、どの方向からも大きな窓越しに庭の緑を見ることができる。
アイランドキッチンで特に自慢なのが、天板からせり出す昇降式の換気扇。一般的な吊り下げ式のレンジフードはせっかくの緑の景色が遮られてしまうので、昇降式を採用した。しかもお値打ちの日本製で、海外メーカーの5分の1の値段で手に入れたとか。
5つ目の箱には、平屋のはずなのになぜか階段が。実は、子どもに2階の部屋を要望されたため、小上がりを作って2階に上がった気分になるスペースを作ったのだという。子どもの夢を叶えただけではなく、小上がりにした分、部屋の床下が収納に。スペースが不足しがちな平屋で大容量の収納を確保できた。
どの箱にいても、庭や大きな窓があることで家族の存在を感じられる平屋。設計した夫は、「とにかく緑を主役にしようっていうコンセプトで計画したので、建物はもう脇役です」と満足げに語る。