【インタビュー】大河ドラマ『鎌倉殿の13人』北条義時を演じ切った小栗旬「本当に納得のいくラストでした」 | RBB TODAY
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【インタビュー】大河ドラマ『鎌倉殿の13人』北条義時を演じ切った小栗旬「本当に納得のいくラストでした」

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 小栗旬が演じる武士の頂点に立った北条義時が、朝廷との最後の戦いに挑む姿が描かれている大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)。11月20日放送の第44回から物語はクライマックスの序曲「実朝暗殺計画」に突入し、12月18日の第48回でいよいよ最終回を迎える。1年5ヵ月にわたる撮影で義時を演じ切った小栗が、大河主演を務めた思いやクランクアップを迎えた心境、脚本家の三谷幸喜や共演者とのエピソード、40代の展望などを語った。

――約1年半の撮影、お疲れさまでした。クランクアップを迎えた瞬間はどんな気持ちでしたか。

今まで経験してきたクランクアップとはまた違う、何とも言えない感じでした。まだまだ続けていきたい気持ちもありましたし、それと同時にやっと終わったんだなとホッとする気持ちもあって、ひと言では言い難い心境でした。

――脚本の三谷幸喜さんとのやり取りで印象に残っていることはありますか。

最終日の前日にものすごくソワソワしてしまって、三谷さんに「眠れません」というメールを送ったら「完璧な義時だったから、安心して明日を迎えてください」という返事をいただきました。「素敵なメッセージですね」と返したら「寝起きにしては、なかなか気の利いたことを書いたでしょ?」というメッセージが来て(笑)。撮影が終わったあとは、すぐに「全部やり切って来ました」と連絡をして、三谷さんからは「ご苦労様でした」という言葉をいただきました。

――三谷さんは、小栗さんが演じる義時を見て脚本に肉付けしていったそうですが、三谷脚本の面白さや巧妙さについて教えてください。

全ての回を通して、こんなに説明せりふが少なくて済む脚本はなかなかないので、そこが三谷さんのすごく優れているところだなと感じています。起きている物事と、それぞれの人が言う言葉によって世界観が見えてくる脚本で、演じていて感情にそぐわないせりふを言わなければならないこともなかったので、俳優としてありがたいことだなと思いました。僕が偉そうなこというのは何ですが、今回は最終回の展開も含めて、本当に神がかっているんじゃないかなというくらい毎回本を読むのが楽しみでしたし、三谷さんが大河ドラマをこよなく愛している方なんだろうなということが伝わる脚本でした。

――ラストが近くなっても、山本耕史さんが演じる義時の盟友・三浦義村との関係性が不思議だなと感じます。義時は義村のことをどう思っていると解釈して演じたのでしょうか。

義村はつかみどころがないのですが、基本的には絶対に自分を裏切ることはない男だと思って過ごしてきました。あの鎌倉の世界でいえば、うまく立ち回った方が生き残れますし、死んでしまったらお終いじゃないかという彼の考え方は非常に理解できましたし…。義時としては幼い頃から共に生きてきたので、非常に信頼を寄せていて、いつになっても幼なじみという感情は抜けないままいたなと思います。

――義時にとって北条家を守っていく上で、姉の政子は欠かせない存在だったと思います。小池栄子さんが演じる政子との関係をどのようにとらえて演じましたか。

政子のおかげで北条家の人々は人生が変わってしまっているので、そこには思うことがいろいろあるのですが、義時としてはずっと一緒に過ごしているのに、良いことは良い、悪いことは悪いという基準が昔の頃から変わっていない政子というのは、最後の最後まで守りたいものの一つだったのかなと思います。それが自分の中で肝になっていましたし、真っすぐに政子を演じてくれる小池さんとの撮影は非常に楽しかったです。

――山本耕史さんや小池栄子さんと対峙した感想を教えてください。

お二人のお芝居には非常に救われました。お二人共、僕がこういうふうに考えているんだろうなということを理解したうえで、僕が的確に自分のキャラクターを表現するためのリアクションを取ってくれていましたし、そういう相手役とお芝居をすると無理しなくていいんだよなと感じる瞬間が非常に多くありました。お二人共、しっかりしたリアクションを取ってくれるので、自分が怖い芝居をしたり、自分の中で大きくキャラクターを見せたりする必要がなくて、非常に助けていただいたなと思います。

――今後のクライマックスでは義時が最後に大きな選択をすることになります。その義時の選択について、小栗さんはどのような解釈をして演じましたか。

あくまでこの物語上の話ですけれども、官軍と戦うことになってからは自分は鎌倉で待っていて、総大将として出て行った泰時を祈ることしかできなかったのですが、それが歴史上勝って初めて義時が朝廷を裁くことになって…。この辺りは本当に、この時代の人たちの中にある「あとは神のみぞ知る」とか、そういうところに委ねていたんだろうなと思います。

――ラストの展開には、小栗さん自身はどんな思いを抱きましたか。

本当に納得のいくラストでした。いざ自分が演じてみたら、本当に「あの日で全部終わった」という気持ちになりましたし、すごく納得のいく終わり方をさせてもらったぶん、自分の中で引きずるような感覚もなく、スパッと終わることができました。

――大河主演としての1年5ヶ月を振り返って、ご自身が成長したと感じる部分はありますか。

1年5ヶ月間、若い頃から晩年まで一人の人間を生き抜いたことで、一人の人物を作るときは、ここまで深堀りしておかないといけないんだなと感じて俳優として反省するばかりです。義時を長く演じれば演じるほど自分の中で(演技の)選択肢が増えていったので、通常の映画やドラマに入るときも、初日の段階でそのくらいの自分でいなくてはいけないんだなと痛感しましたし、それを知ることができただけでも、今後作品に参加するときにグラデーションを付けることができるようになったのかなと思います。

――小栗さんは12月に40歳の誕生日を迎えますが、『鎌倉殿』を経て40代の展望を教えてください。

『鎌倉殿』のクランクアップ後も、舞台の稽古に入るので、一度舞台が終わったら本当の意味で自分の今後を考える時間を作りたいなと思っています。すごく興味をそそられるお話を何本かいただいている環境でもあるので、そういう作品も含めて、今後どういうかたちで役者として生きていくのかというところを決めていきたいです。

――40代にもう一度、大河ドラマのオファーがあればやってみたいですか。

大河ドラマの主演は、またいつかやりたいなと思っています。今回ある種の成功体験をさせていただきましたし、どんなに大変でも、今の日本の環境では1年5ヶ月の間、1人の人物を演じて48回をノンストップで撮影して描いていくような環境はほかにないので、また機会があれば挑戦したいです。できることなら、今回の義時のように皆さんの先入観がない人物を演じられたらいいなと思います。
《小宮山あきの》
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