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アジア発の訪日客をつかむ!

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ジェイティービー代表取締役会長 田川博己氏
  • ジェイティービー代表取締役会長 田川博己氏
  • インバウンドにおけるキーワード、一つのフィルターとして今回の話を受け止めてほしいと話す田川氏。
  • 会場ではほかにもDMOやおもてなしなど、インバウンドに関わるさまざまなテーマでセミナーが行われた
【記事のポイント】
▼中国を含めたアジア圏の海外旅行客は増え続ける
▼世界遺産やお祭りをからめ、生活文化を資源とした観光開発を
▼地域インフラの優先順位はWi-Fi、多言語化の順番


■中国、そしてアジアの成長を見据えた戦略を

 インバウンドの今後を知るには、世界の動向、そしてその中における日本の立ち位置を知る必要がある。今後客数はどのように伸び、どのような消費が生まれるか。東京オリンピックをマイルストーンに、将来的なインバウンド戦略を立てるには欠かせない情報だ。

 東京ビックサイトでは22日から3日間にかけて、B to B専門展示会「INBOUND JAPAN 2016」を開催。会場ではジェイティービー代表取締役会長 田川博己氏が、「ツーリズムの世界の潮流と日本のインバウンドの課題に対する提言」というテーマでセミナーを行った。

 この中で田川氏は、東南アジア圏で伸びている観光客数について話している。このまま経済成長が進めば、30年にはアジアの国際観光到達人数は、今の欧米と同じ規模に。ここ数年は中国の景気が停滞しているが、これについても大きな影響は無いと見ている。

「日本ではバブルが弾けた後も、10年間に渡って毎年70万人ずつ海外旅行客は増え続けました。目的地に日本が選ばれるかは別の話ですが、多少の景気の悪化は海外旅行に影響を与えません」

 では、世界に選ばれる観光地になるには、日本は何を武器にすべきだろう?

■重要なのは観光コンテンツとPRの継続性

 観光分野における国際競争力ランキングでは、15年に日本は9位にランク付けされている。ここで評価されているのは「テロ発生率の低さ」「企業の顧客対応」「鉄道インフラの質」など。その中でも田川氏が注目すべきと話すのが、世界遺産や無形文化財への評価だ。

「日本の遺産には長い歴史の中で受け継がれた、生活文化の象徴といえるものが多いです。付随する習慣などの生活文化を体験できるのが、インバウンド観光における重要な要素。ヨーロッパではこうした魅力が高いレベルで提案されていて、日本でもこういう機能が必要になります」


 近年では訪日観光客が地方へと流入する動きがあるが、受け入れ先の現状については「日本は観光地=温泉地なので、言い方は悪いが『金太郎あめ』ばかり」という。

「マーケットが豊かになると、コンテンツを作ることに一生懸命なところが多いですが、それでは一過性にしかならないので、もって5年。唯一長続きするのがお祭りですが、それも商品化できていない部分があります。これには、旅行会社と連携した、地域のプロモーション強化が必要です」

 その、プロモーション活動についても、複数年に渡って継続することが重要だという。何年にもわたって続けなければ、観光客は定着しない。一方、目先ではまず“大都市+1”としての観光ルートが求められるとのことだが、そこで注目すべきは旅館における稼働率の悪さだ。

 これについては、洋の東西における畳文化への対応も一因となっているようだ。欧米では畳に対する理解があるが、アジア圏では文化的な要素から床に眠ることは受け入れがたい。旅館ではベッドを提供する部屋を増やす必要があるという。

 なお、政府では訪日外国人観光客数目標として、20年に4000万人、30年に6000万人を掲げている。このうち前者を実現するには、空と海の便の両方で相当なインフラの整備が必要になるとのこと。また、来日後のインフラについては、多言語化よりもまず、Wi-Fiの充実を重視すべきだという。地方都市のホテルにはWi-Fiを使えないところもあるが、これでは何かの大会を誘致することもできない。

「Wi-Fiは海外旅行におけるガイド役です。一方でフランスにいっても、郊外に日本語の表記はありません。でも、ミュージアムでは必ず日本語のパンフレットが置いてあるので、そういう多言語化が先ですね」

 観光コンテンツ、インフラ、宿泊施設の3つについて、インバウンドが求めるもの。田川氏の講義はその原点として、振り返るべき一つの指針になるだろう。訪日観光客のビジネスに関わるならば、常に意識しておきたい。

【INBOUND JAPAN 2016】アジア発の訪日客をつかむ!

《丸田鉄平/H14》
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