ソニーが決算下方修正、問われるスマホ依存の落とし穴とIoT戦略 | RBB TODAY
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ソニーが決算下方修正、問われるスマホ依存の落とし穴とIoT戦略

IT・デジタル エンタープライズ
CES 2016でプレゼンテーションを行ったソニーの平井社長(c) Getty Images
  • CES 2016でプレゼンテーションを行ったソニーの平井社長(c) Getty Images
  • 決算下方修正を発表したソニー(c) Getty Images
  • ソニーの平井社長(IFA 2015にて撮影)
 ソニーは21日、2015年度(2015年4月1日から2016年3月31日まで)連結業績見通しの下方修正を発表した。デバイス分野カメラモジュール事業について長期性資産の評価で、将来的なキャッシュフローの不足懸念から、596億円の減損処理をするというもの。

 発表によると、通期の連結業績では営業利益2900億円、純利益1450億円と黒字決算となる見込みとなっている。同社が1月29日に行った第3四半期の決算会見で、デバイス事業の失速から長期性資産の減損処理を示唆しており、通期決算での厳しさを表明していた。4月28日に予定されている2015年度の通期業績発表を前にして、さらにデバイス事業での減損処理が確定したため、今回の発表となった。

 通期決算の発表前での今回のリリース発表となった理由は、「減損額が確定した時点で適時開示規定に則ったため」(同社広報)。長期性資産の内容は、「カメラモジュール事業全体の設備投資その他の固定資産」(同社広報)とのことだ。

 1月の決算会見でも述べていたことだが、デバイス事業の不調は、昨年からのハイエンドスマートフォンの販売不振の影響といわれている。ソニーはテレビ事業やPC事業を縮小・売却し、IoT時代を見据えたデバイス事業への注力によって業績回復を達成しつつあったが、ここにきて、頼みの綱だったデバイス事業に陰りが露呈した形だ。

 デバイス事業では、付加価値の高いハイエンドモデルにシフトし、グローバルでの価格競争では勝負しない戦略で、第2四半期までは好調に推移していた。好調の理由は、iPhoneなど一部のハイエンドスマートフォンに搭載されるカメラモジュールが売れていたからだ。しかし、ハイエンドスマートフォン市場のグローバルでの飽和、国内では割賦販売への規制といった要因も重なり、世界中でiPhoneが売れなくなった。

 ソニーとしては、選択と集中、付加価値戦略によって赤字決算脱却を実現したが、同時に特定事業(カメラモジュール)への依存度が高まるというリスクも抱えていたわけだ。今回の下方修正は、iPhone販売不振の影響の直撃を受けたという見方も可能だ。構図は異なるが、シャープの液晶「一本足打法」が裏目に出た状況に通じるものがある。

 4月28日には2015年度の通期業績予想が発表される。そこでは、2016年度の業績見込みも発表されるはずだ。IoTという追い風もあるが、熊本地震というマイナス要因もある。ソニーがどのようにデバイス事業の立て直しを図るのかに注目が集まる。
《中尾真二》
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