【社長の悩み】利益がでてるのにお金がある気がしない! | RBB TODAY
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【社長の悩み】利益がでてるのにお金がある気がしない!

エンタープライズ その他
高橋昌也 税理士・AFP(フィナンシャルプランナー
  • 高橋昌也 税理士・AFP(フィナンシャルプランナー
回答者:高橋昌也 税理士・AFP(フィナンシャルプランナー)

質問:
先日、顧問税理士から「現在500万円の利益が出ている」という報告を受けました。しかし自分の実感として、そんなに利益が出ているように思えません。何より手元のお金には余裕がなく、毎月社員への賃金支払いで右往左往するような状態です。どうして当社には利益があるのにお金がないのでしょうか?(52歳:建設会社経営)

回答:
 税理士という仕事をしていてお客様から一番言われる感想は「そんなに儲かっている気はしないんですけどね~」かもしれません。ご質問にあるような利益はあるのにお金は増えていない状態を「勘定あって銭足らず」といいます。それには主に次のような理由が考えられます。

■売上はあるが代金の回収がまだ
 会計処理において、売上は相手に対して請求権が確立した時点で計上されます。請求はしているけれども代金を回収していない状態を会計用語で「売掛金(うりかけきん)」と呼びます。

 ご存じのように、会計における利益の計算は、大まかに言えば

  利益 = 売上 ー 経費

で計算されます。代金の回収が済んでいるか、あるいは売掛金の状態なのかは利益の計算には関係がないのです。売掛金が沢山溜まっているような状態だと、手元のお金は全然増えていない(代金の回収が済んでいない)のに利益は計上されているということがよくあります。

 また取引先が沢山あるような会社の場合、売上代金の回収がおろそかになっていると売掛金が溜まっていることがあります。このような状態にならないよう、決済業務をしっかりと行う必要があります。

 売掛金と同じような項目に受取手形があります。こちらも売掛金と同様、まだ現金化されていない売上代金です。受取手形、売掛金がどれくらい残っているのか、常に注意しましょう。

■借入金元本の返済が多い
 事業を拡大していくに当たって借りた借入金がある場合、その返済がどれくらいあるのかよく注意してみましょう。借入金の元本返済は、借りたお金を返しただけですから経費ではありません。もし借入金の元本返済が経費になるとしたら、借入をしたときに売上が計上されないとおかしいと考えて頂くと分かりやすいかもしれません。

 事業を続けていると、このような経費にならない支出が増えてきます。以前の借金、車のローンなど、これまでの事業で蓄積されてきた負債の支払いが会社の資金繰りを圧迫しているのです。

 問題は社長さんの体感的に「お金が出て行っているのだから経費なんじゃないの?」と思ってしまうことです。確かにお金が出て行っているのだから、気分的には経費だと考えたくなるのは人情的にはわかります。

 しかし負債の支払いは確かにお金が減りますが経費ではありません。支出ではあるが経費ではない。そういう取引が事業活動のなかでは沢山あるのです。

■実は社長がお給料以上の生活をしている
 中小零細事業主の資金繰りを考える上で、社長さんの私生活はとても重要です。実際、多くの社長さんが本来もらうはずのお給料を超える水準の生活を送っています。

「そんなことはない、自分はそれほど贅沢をしていない!」と多くの社長さんが言います。しかしよくよくきくと「実は車が好きで、色々と部品を買って…」「お酒に目がなくて…」「やっぱり食事くらいは良いものが…」という例がよくあります。

 この点について、注目する数字は次の2つです。

・会社の現金:
社長さんが生活費で使い込んでいると、会社の現金が名目上だけすごく増えていくことがあります。呑み屋でつかった現金は会社の経理で処理ができないため、行き場をなくした現金項目がどんどん蓄積していくのです。

・社長さんと会社間での貸し借り:
多くの中小零細企業では社長さんが生活費から事業にお金を投じています。その残高を社長借入と呼びます。

 社長借入が大きく減っていたり、逆にマイナスの状態(社長貸付)の状態になっているということは、社長さんが会社のお金をそれだけ沢山引っ張りだしていることを意味します。

 他にも大きな設備投資をした直後などは利益と現金収支が大きくずれることがあります。利益の金額と現金収支のズレは必ず起こります。そのズレが起こっている原因をしっかりと把握しておかないと、気がついたら会社にお金が残っていない状態になりやすいです。

 「現金がない」というのは、基本的に「使っているから」です。それでも身に覚えがないということであれば、売掛金や設備投資などをチェックしみてください。

<回答者のプロフィール>
高橋昌也:税理士・AFP。神奈川県川崎市に事務所を構える。
中小零細法人や個人事業主に関する仕事に特化。 顧客との定期的な面談等を通じて、税務、経理その他経営上の課題について話し合うことをモットーとしている。 趣味はアカペラ、立廻剣術ほか。地域の非営利活動にも従事。

【解決!社長の悩み相談センター】第1回:利益がでてるのにお金がある気がしない! なぜ?

《高橋昌也》
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