ICTとの関連と言う点では、パーソナルコンピュータの父と呼ばれる、ゼロックスPARC(Palo Alto Research Center)でダイナブック構想を打ち出したアラン・ケイ博士は、マクルーハンの著作を一時期読みふけっていたと言われています。実際、1977年に発表された、ダイナブック構想を解説した論文“Personal Dynamic Media”の中でマクルーハンの“Medium is the message”が引用されています。そしてケイはノートと同じくらいの大きさで、インタラクティブに操作できるコンピュータを個人のための新しいメディアと考え、ダイナブックと名付けました。彼はマクルーハンのメッセージをポジティブに捉え、ダイナブックという新しいメディアが、人類の知力を飛躍的に増強するものと位置付けていました。そして、私見ですが、このマクルーハンからケイのダイナブックに繋がった思想は、その後スティーブジョブスに受け継がれ、アップルから発売されたiPadに結実することになります。