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アジアから世界にイノベーションを発信する……LINE森川社長、ジェリー・ヤン氏らとトークセッション

エンタープライズ 企業
LINE 代表取締役社長の森川亮氏
  • LINE 代表取締役社長の森川亮氏
  • 森川氏はアジアからアメリカ、世界へイノベーションを発信していくと宣言
  • :新経済サミット2014トークセッションの様子
  • 4月1日に世界の登録ユーザー数が4億人を突破
  • :AME Cloud Venturesのジェリー・ヤン氏
  • 起業家のマット・ウィルシー氏
  • 司会の夏野剛氏
  • 新経済連盟理事の平井康文氏がイベント2日目の開会を宣言
■失敗も次のイノベーションの糧になる

 マット・ウィルシー氏は米シリコンバレーで起業家/投資家/アドバイザーとして活躍する人物。一般消費財やサービス関連企業、生物医学の研究、医薬品開発やDNAシークエンシング技術を中心に積極的な投資・支援活動を行っている。

 そんなウィルシー氏は起業家としての心構えについて「失敗を冷静に評価して、次のアクションのための糧としていくことが大切」と述べながら、「失敗の正統評価というものは自然にできることではない。一方で、起業家として成功するためには多くの失敗を重ねることも大事。大きな失敗を経験した起業家は、大成功も招き入れることができる。問題視すべきは失敗することよりも、努力しないことではないだろうか。アイデアを掴んだら、リスクを歓迎して突っ走るべき」と持論を展開した。

 ウィルシー氏によるスピーチのあと、「大企業が革新的なアイデアを生み出すことの難しさ」について議論が交わされた。ヤン氏は「ゼネラル・エレクトリック社を例に挙げれば、同社はインターネットとクラウドを活用しながら社内でのエコシステムをつくることに本格的な投資をして、サンフランシスコにイノベーションセンターを立ち上げた。大企業からベンチャーまで共通して言えることは、組織の中でイノベーションを実現するためには“危機感を持つこと”が大事であるということ。スタートアップ企業の中には危機感と緊張感をもっているところも多いが、大手企業の場合は経営が安定してくるほど危機感が薄まりがちだ。大手企業が成長するためにも危機感が必要。私は日本の企業には希望があると思っている。多くの企業がシリコンバレーを訪れているが、彼らの中にはイノベーションに対して真剣に取り組んでいる方が多い。現在自動産業はイノベーションが実現できる好条件なプラットフォームの一つになっているが、自動車産業をリードしてきた日本の企業には多くのチャンスがあるだろう」と述べた。

 続いて森川氏も、会社組織の中でイノベーションを実現していくために必要な条件についてコメント。「組織の中には賢い人とクレイジーな人がいる。クレイジーな人は多くいるものではないが、何か大きなことが動くときにはクレイジーな人が集まって生まれるもの。一方で、彼らが集まると衝突も起こりがちだが、それを受け入れられる土壌が組織の中につくられていることがイノベーション誕生のキーになる。賢い人たちが、そのイノベーションに対してどう向き合えるか、また賢い人たちが何かを動かした時に得する環境をつくることも大切だ。単一の仕組みでなく、それぞれの環境に合わせた評価システムを持つべきだと思う。元々色々な国籍や文化を持つスタッフが集まっているLINEならではの価値観なのかもしれない」とした。

 トークショー後にはイベントの参加者からパネリストへ幾つかの質問が投げかけられた。

 投資家が日本企業への投資を考える際「地域差」とイノベーションとの関係をどう見るべきかという問いに対して、ヤン氏は「例えばいま、日本では社会的な課題である人口減少の問題について、地域が独自にコミュニティをつくって克服しようと試みている。集団の多様性を認めていくことも大事だが、地域ならでは強みに目を向けながら、それぞれ独自の価値に支援を投じていくことも必要」と述べた。

 またウィルシー氏のスピーチに対して、失敗する前にどう心構えを持つべきかという質問も寄せられた。ウィルシー氏は「失敗するかもしれない、あるいは失敗してもしょうがないと思ってスタートするのではなく、もちろん成功することをゴールにするべき。私が述べたかったことは“絶対に成功をしなくてもいいという自由”があるということ。結果が全てになってしまうと、物事を取り組む際に縮こまってしまう。起業家は成功する心づもりで物事に取り組むべきだが、時にはどうにもならない問題が目の前に立ち塞がる時もある。そこから教訓を得て、周りの人々と体験を分かち合いながら、次に失敗しないようにすればいいというポジティブな考え方を持って欲しい」と答えた。
《山本 敦》
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