【インタビュー】乗り換えユーザーの需要を捉えて高評価……楽天ブロードバンド | RBB TODAY
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【インタビュー】乗り換えユーザーの需要を捉えて高評価……楽天ブロードバンド

エンタープライズ 企業
事業推進部 コンシューマービジネスグループ リーダー有村茂隆氏
  • 事業推進部 コンシューマービジネスグループ リーダー有村茂隆氏
  • コンシューマービジネスグループ 大堀剛氏
  • 例年受賞する大手ISPを退けての最優秀賞
 2013年度のブロードバンドアワード ISP部門は、フュージョンコミュニケーションズの「楽天ブロードバンド」がベストISPを獲得した。例年、大手ISPが獲得するこの賞だが、今回は比較的新しいブランドといえる同サービスが最優秀賞に選ばれた。

 編集部ではこれを機会に同社の事業推進部 コンシューマービジネスグループ 大堀剛氏、同グループ リーダー 有村茂隆氏にインタビューした。同社の受賞の背景に人々の生活スタイルの変化や業界に求められる役割の変化も見えてきた。

――今回の受賞についての感想を教えてください。

有村氏:「楽天ブロードバンド」は6年ほど前にサービスを開始したのですが、当初はブロードバンドアワードの対象サービスに入ってなかったくらいです。それが、アワードにエントリーされるようになって早い段階での受賞にびっくりしています。とくに利用者の声によって選ばれたことはうれしいですね。

――選ばれた理由についてはどのように分析されていますか。

有村氏:ひとつは月額500円というスペシャルプライスのキャンペーンが大きかったと思います。フレッツ光のISPサービスでは破格といえるこの料金設定が、新規ユーザーにうまくアピールできたのではないでしょうか。スペシャルプライスキャンペーンの戦略では、新規ユーザーだけではなく、他社ISPからの乗り換えを広げる狙いもあります。12ヵ月無料といったキャンペーンも展開しています。これらが、功を奏した形で、回線契約はのこしたままプロバイダー部分の契約だけ楽天ブロードバンドに切り替えるユーザーが増えています。

大堀氏:契約の切り替えは、タイミングが非常に重要です。その人の契約更新の時期にうまくキャンペーンを告知したいのですが、楽天ブロードバンドでは、楽天会員に対して楽天市場やダイレクトメールで広く告知ができます。定期的にキャンペーンのバナーを表示したり全体的な認知度アップなどができたことも、受賞の要因のひとつかもしれません。

――プロバイダーを乗り換えるユーザー層が増えているとのことですが、具体的にはどのようなユーザーなのでしょうか。

有村氏:最近ではGmailのようなクラウドのメールサービスの利用者が増えていると思います。普段、メインで使うメールアドレスもクラウドメールのアドレスがあれば十分という人も少なくありません。そういった人たちは、プロバイダードメインのメールアドレスである必要はあまりなく、固定回線の契約としてフレッツ光やauひかりのサービスを利用して、プロバイダー契約をなるべく安く、という考え方のようです。ホームページやブログのサービスもTwitterやFacebookなどのサービスにシフトしているので、従来からのプロバイダーサービスや機能が市場で評価されにくくなっているのかもしれません。

――そのような状況で、楽天ブロードバンドを選択するメリットは、料金以外ではどんなところにありますか。

大堀氏:大きいのは楽天ポイントが毎月100ポイント付与されることでしょうか。このポイントは会員ランクの計算の対象となるポイントでもあります。また、ISPのメールサービスとしての基本的な機能や品質は維持していますので、メールアカウントは10コ提供し、容量が少ないといったことはありません。メールサーバーの運用や管理についても、法人向けソリューションを提供している技術の他、楽天グループとしてのリソースも使え、品質やサポート体制などにも自信があります。フレッツ光、auひかりの固定回線のサポートとしては、出張によるルータの設定サポートといったサービスも好評ですね。

――ユーザー数を多く獲得してARPUを上げていくという戦略についてどう考えていますか。

有村氏:そうですね、固定系のユーザーを土台とするISPのビジネスモデルが基本にあることは変わりないと思います。その中でオプションや周辺サービスでARPUを上げていくという手法も有効であると考えています。しかし、グループ全体でみたときには、楽天ブロードバンドユーザーも「楽天経済圏」に取り込んで、生活に密着したサービスや付加価値を提供していきたいですね。先ほどのポイント付与サービスもそうですが、他にも楽天での買い物の延長修理補償する「あんしんケアオプション」といったサービスも展開しています。ISP事業としては6年とまだ新参者ですが、新規ユーザー、乗り換えユーザーともに数字を伸ばしています。今後は、既存ユーザーへのメリットやサービスを改善し、サービスへのリテンション、顧客のロイヤリティ向上のための施策にも力を入れていきます。

――固定回線やISPメールの需要はなくならないとはいえ、先ほどの話にあったように、これからのネット利用のスタイルを考えるとモバイルデバイスやクラウドサービスの利用は無視できないと思います。この層への訴求や戦略はどうなっていますか。

有村氏:モバイル回線はLTEのSIMとWiMAXの2種類をMVNOによるネットワークで提供しています。どちらのユーザーも近年増えている層ですね。LTE SIMの利用者は、30~40代の男性がメインで、PCだけでなくスマートフォン、携帯電話、タブレットとモバイルデバイスを複数台所有しているようなユーザーが多いです。固定系は家族など世帯での契約が多いので、これらのユーザーは属性が重ならず市場も分かれています。WiMAXは、一人暮らしの比較的若い世代での利用が増えています。アパートやマンションだと固定回線の工事や契約に制約がありますが、ルーターを持ち歩けるWiMAXなら家でも出先でもネットワーク環境を手に入れることができます。面倒な工事も必要ないので引っ越し先でも圏内ならすぐに使えます。いわば、固定回線の代わりにWiMAXを利用するようなイメージです。

――ARPUの考え方もネットワークサービスだけでなく、ポイントやECなど生活に密着したサービスにシフトしつつあり、回線の選択肢、プロバイダーの選び方も変わってきているようですね。

有村氏:昔は回線もメールもなるべく1社でまとめたほうが安く契約できました。しかし、選択肢が増えることで、回線、プロバイダー、クラウド(メール、ソーシャルメディアなど)と分けたほうが安く使い勝手がよくなることはありますね。料金だけを考えたら、今でも固定回線で最安のADSLという選択肢もあります。

――スマートフォンやタブレットなどがメインで、PCなど固定回線はあまり使わないという場合は、その選択肢もありそうですね。最後に、今後のサービス展開についてなにかお話できるものがあれば教えてください。

有村氏:3月18日から、6周年記念の春のキャンペーンを展開します。好評だったワンコインのプランも再開しますし、WiMAXの初期費用&月額料金3カ月無料やLTEで500MBから1GBへの容量アップや.、帯域制限時の速度を256kbpsから300kbpsにするなどスペック的な改良も行われます。
《中尾真二》
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