注目のメコン経済圏ビジネス、タイとCLMのICT戦略……NTTコミュニケーションズ | RBB TODAY
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注目のメコン経済圏ビジネス、タイとCLMのICT戦略……NTTコミュニケーションズ

エンタープライズ 企業
メコン経済圏の地理的つながり
  • メコン経済圏の地理的つながり
  • メコン経済圏の中心タイの産業集積
  • 進出企業
  • タイとCLM各国の通信規制
  • タイとCLM各国の通信事業者
  • タイの事例。工場のITインフラや拠点間ネットワークを構築し、運用サービスを実施したケース
  • カンボジアの事例。すでにタイ拠点にサービスを導入済みの企業がプノンペンに進出。バンコクを経由して、同一ネットワークで拠点間の高速・安定運用を実現
  • ミャンマーの事例。サクラタワーにあるNTTコミュニケーションズから、企業のITインフラ構築とIT全般の運用をサポート
●メコン経済圏のタイとCLM(カンボジア・ラオス・ミャンマー)の通信事情

 NTTコミュニケーションズが、ザ・プリンス パークタワー東京で開催したプライベートイベント「NTT Communications Forum 2013」では、同社が進めるグローバル戦略などが発表された。NTT Communications (Thailand) Co., Ltd. Directorの宮崎 一氏は「注目のタイプラスワン、タイとCLM(カンボジア・ラオス・ミャンマー)3ヵ国のICT戦略」に関するセッションで登壇した。ここではその様子を紹介する。

 メコン経済圏は日系企業の投資先として注目を集めているが、特に産業の集積地になっているタイは人気が高い。NTTコミュニケーションズもタイをメコン地域のハブに位置づけ、近隣諸国CLM(カンボジア・ラオス・ミャンマー)に積極的なアプローチを掛けているところだ。

 メコン地域の中心となるタイは、日本からの直接投資額が2012年に5,500億円、2013年には1兆円を超えており、アセアン諸国の中でダントツの1位となっている。2013年には一人当たりのGDPも6,000ドルを超え、2020年頃までには1万ドルの大台に乗ると予想されており、中進国として最上位の水準になるという。現在タイでは、自動車産業の投資が特に加速している。GDPが3,500ドルを超えると、自動車が普及を始める。タイの自動車生産台数をみると、2011年には150万台程度だったが、2013年には250万台に跳ね上がった。この3年で生産台数は2.5倍まで急増している。

 以前までは、タイの工場が洪水で被害を被る天災のリスクが懸念されていたが、現在では洪水のないタイ東南部地域(チョンブリ県、ラヨーン県)へと既存企業や工場建設のシフトが顕著になっているそうだ。こちらはレムチャバン港を基点として物流が便利な側面もある。NTTコミュニケーションズは、タイに大きなデータセンター拠点を2つ(合計4つ)持っている。

 1つは2007年から開設したバンナー・データセンターで、もう1つは2012年に開設したアマタコン・データセンターだ。いずれもT.C.C.テクノロジーが運営している。そして今回、同社は国内通信事業者として初めてアマタコン(工業団地第8区)に新たなデータセンターを建設中である。こちらは来年の秋ごろ(3Q)を目処にオープンする予定だという。

 実はタイ国内で外資規制の一部が解除されたのは3年前のことだ。しかし、これまで誰もタイにデータセンターを建設しなかった。それには理由があった。タイの投資委員会のガイドラインが非常に厳しく、敷地面積が5,000平米以上、1,600ラック以上に相当するデータセンターの建設が求められていたからだ。そこまでの規模で事業を展開することは日系企業にとっても大きなチャレンジであり、なかなか手を出せなかったのだ。

 NTTコミュニケーションズは現在、耐震性・信頼性に優れた新データセンターを一から構築し、タイを近隣諸国への展開の足がかりにしたい意向だ。新データセンターが完成すれば、ラックの数も自由に設定でき、好きな区画を売ることができる。同社のタイにおけるシェアは日系企業がほとんどを占めているが、今後は現地の大手企業やファイナンス企業、欧米系のIT企業などもターゲットに取り込んでいきたいという。

 もともとタイは700万もの固定回線があるためADSLが進んでいるが、WiMAXについては流行っていない。逆にそのほかの周辺CLM3ヵ国は、固定回線がほとんどないという状況。カンボジアやラオスは携帯電話のほうが普及しているぐらいだ。そのため同国ではWiMAXのほうが利用されているという面白い現象が起きている。

 たとえばカンボジアではオープン市場で外資の過当競争が進んいる。人口1,340万人に対し、すでに携帯電話会社は7社もある。NTTコミュニケーションズは2010年から進出を開始し、プノンペンに12拠点を構えている。いまは需要に大きな伸びはないものの、安定した拠点となっているそうだ。同社はカンボジアにてISPライセンスを取得しており、日系企業100社程度のうち9割がインターネットサービスを利用している。

 ラオスのほうも競争が激しくなってきている国で、政府系を中心に市場が開拓されている。NTTコミュニケーションズはラオスに駐在事務所を開設している。同国のメリットは電気料金が東南アジアで最安値であることだ。

 ミャンマーについては携帯電話さえ浸透しておらず、速報値でも9%程度だ。人口600万人のうち500万人しか携帯電話を持っていない計算になる。ミャンマーは未開拓という意味で大きな伸びシロがあり注目されている。長い間、軍事政権だったこともあり、通信事業も国営1社の独占状態。インフラもほとんど整備されておらず、インターネット環境も遅れていた。しかし1年前に規制緩和が始まり、海外企業が投資を始め(来年から外資系2社が入る予定)、近い将来はIT化が急ピッチで進むものと見られている。ミャンマー最大級のオフィスビルであるサクラタワーには、NTTコミュニケーションズのオフィスがある。

●未開拓のミャンマーは伸びシロが大きく、ビジネスチャンスも!

 ではNTTコミュニケーションズは、これらの地域に対して、どのようなサービスを提供しているのだろうか? 地域別にICT責任者の悩みを見ると、まずタイでは「投資コストの効率化、資産や運用コストを削減したい」「拡張を繰り返したため、継ぎ接ぎになったネットワークやシステムの運用の複雑さを解消したい」「災害・障害時の事業継続、セキュリティ対策を急ぎたい」という点が挙げられるという。

 一方、CLM3ヵ国での悩みは「現地への進出を検討しているが、オフィスIT環境の準備方法が分からない」「日本と現地に通信手段を確立したいが、通信事情や回線の手配方法が分からない」「現地にIT担当者を置かないで、オフィスITの運用を外部に任せたい」といったものがあるそうだ。

 このような悩みに対し、NTTコミュニケーションズでは、コスト対効果が出るようにインターネット/国際ネットワーク接続を集約し、業務効率化に向けてネットワーク構成の最適化・簡素化・安定化や、クラウドによるサーバ集約、運用・セキュリティの一元管理などを実現できる環境を提供。また信頼性/BCPでは、高品質なデータセンターやBCPオフィスを用意している。サービスカバレッジに関しても、タイとCLM各国でのワンストップ対応やサービス展開を図っているところだ。

 タイでは、具体的なメニューとして、ネットワークサービス(グローバルネットワーク、インターネット接続)、データセンター(コロケーション、BCPオフィス、マネージドサービス)、クラウドサービス(サーバ、メール、ホスティング、リモートアクセス、ファイル転送)、国内ネットワーク再販・運用(MPLS/Ethernet/LL)、工場/オフィスIT構築・運用(PC、サーバ、PBX、RT/SW、FW)という6つのサービスを用意

 これらの事例として、タイでITインフラ・拠点間ネットワーク構築・運用サービスを実施したケースを紹介していた。某企業の工場では、インターネット接続の出口を1つに集約し、各拠点間をMPLS網で多地点接続した。さらに異なるキャリアで回線を冗長化することで信頼性も高めた。またクラウドによってサーバを集約化することで、拠点やユーザーの変化にも柔軟に対応できる体制を整えたそうだ。

 カンボジアの事例では、ある企業がプノンペンに進出する際に、すでにサービス導入済みのタイ拠点を経由して、同一ネットワークで拠点間の高速・安定運用を実現。導入後も、機器の運用・保守やオンサイトサービスなどを提供している。現在、カンボジアにおける工場・オフィスITの構築実績は50社以上もあり、インターネットサービスは80社が利用しているとのことだ。

 ミャンマーでは、昨年から最大のオフィスビルである「サクラタワー」にNTTコミュニケーションズのオフィスが入居している。ある企業がヤンゴンにオフィスを開設するにあたり、高品質なITインフラとIT全般のサポートを求め、NTTコミュニケーションズのサービスを採用したという。

 新興国ではインフラが不安定だということもあり、最近では既存のマシンルームを改良し、システムを安定運用させたいという要望も強くなった。NTTコミュニケーションズは、バンコクでデータセンター構築の専門チームを編成し、電源系や耐火性、セキュリティを考慮したリノベーション設計・構築から、プロジェクトマネジメントまでを実施している。カンボジアではアジア系の大手銀行がマシンルームを改良したり、ラオスでは政府系機関がデータセンタを改良しているという。

 これからアセアン地域は、さらにモノづくり拠点として発展が見込まれ、日系企業の進出も加速されるため、IT関係のビジネスチャンスが大いに広がりそうだ。
《井上猛雄》
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