老舗百貨店×ファッション誌が挑むファッションクラウドファンディング | RBB TODAY
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老舗百貨店×ファッション誌が挑むファッションクラウドファンディング

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プロレスとヒーローをモチーフにしたデザインを手掛けるユキヒーロープロレス
  • プロレスとヒーローをモチーフにしたデザインを手掛けるユキヒーロープロレス
  • プロレスとヒーローをモチーフにしたデザインを手掛けるユキヒーロープロレス
  • 文化服装学院出身の2人のデザイナーによるブランド、アーチェロ
  • 文化服装学院出身の2人のデザイナーによるブランド、アーチェロ
28日、三越伊勢丹とファッション誌『装苑』が、ファッションに特化したクラウドファンディング「TOKYO DESIGN COMMIT(トーキョーデザインコミット)」のリリースを発表した。日本のファッションビジネスの中長期的な成長を見据えて、業界が抱える“新人ファッションデザイナーの育成”という課題に挑む。次世代クリエイターの育成に先陣を切って取り組んできた両社が、これまで培ってきた資産に、世界でトレンドとなりつつあるクラウドファンディングの仕組みが掛け合わされることとなる。

クラウドファンディングは、ここ数年で世界でも注目されるITトレンドの一つとなった。インターネットを使って広く支援を呼びかけ、プロジェクトの実現に必要な資金を“Crowd”(群衆)から集める仕組みを指す。昨年、これらのプラットフォームを通じて資金調達に成功したプロジェクト数は100万件を超える。メジャーなクラウドファンディングサービスの「Kickstarter」では、テクノロジーからゲームまで幅広いジャンルのプロジェクトが展開されるが、ファッション分野における導入は最も少ないと言われる。

海外では、BycoやIAmLaModeなどファッションに特化したクラウドファンディングも存在するが、これといった決定的なサービスはまだ現れていない。2009年にサービスを開始し、著名なインキュベーターから出資を受けるなど注目されたファッションのクラウドファンディング「LOOKK」は残念ながら今年幕を閉じている。新鋭のスタートアップによるチャレンジも素晴らしいが、そういう意味で今回の三越伊勢丹と装苑のタッグはこれまでとはひと味違うのではないか。企業やビジネスとしての歴史はもちろんのこと、両社はこれまでも新人デザイナーの発掘や輩出に貢献してきた。

1994年、三越伊勢丹は、新人ファッションデザイナーをインキュベートする場としての“解放区”を開始。老舗ブランドの先行販売がされる伊勢丹の一等地で、新人デザイナーが育って行く土壌をつくった。装苑は創刊以来77年の歴史を持ち、日本における新人デザイナーの登竜門である、装苑賞などのデザインインキュベーションを手掛けてきた。集客やプロモーション、ストアパワー、キュレート力などを必要とするファッションのクラウドファンディングだが、TOKYO DESIGN COMMITは両社のこれまでの活動をいっそう後押しすることになりそうだ。

今回のTOKYO DESIGN COMMITのサイトには、三越伊勢丹と装苑が共同で選定したデザイナーやクリエイターのプロジェクトが並ぶ。それぞれに目標金額、支援者に対するリワード(商品やサービスなどのお返しのアイテム)などが設定される。現在ファンドを募るプロジェクトでは、500円から高額だと30万円の支援が可能だ。支援金額に応じて複数のリワードが用意されるため、支援したい動機や欲しいリワードに応じて支援の度合いを選ぶことができる。プロジェクトを選んだら、まずは会員登録。送られてきた仮登録メールのURLで本登録を行う。あとは、支援金額を選んでクレジットカードで支援額を支払うだけ。デザイナーへのコメントを記入することもできる。

現在、TOKYO DESIGN COMMITでファンドを募るのは、新人デザイナー「ユキヒーロープロレス」と「アーチェロ」の2名だ。ユキヒーロープロレスは、その名の通り、プロレスとヒーローをモチーフにしたデザインを手掛ける手嶋幸弘氏のブランド。東北の子ども達と共にヒーローのコスチュームをデザインし、強いヒーローにも重なる現役プロレスラーに着てもらうという。

繊細なドレスが美しいアーチェロは、文化服装学院出身の2人のデザイナーによるブランド。見る・着るを超えて、アーチェロの洋服の世界観が感じられるイベント開催が目的だ。既に準備が進む第2弾では、リトゥンアフターワーズの山縣良和氏が選んだ一押しデザイナー、やなぎありさんのプロジェクトが予定されている。

ファッションにおける新しいモノの“誕生”は、それがデザイナーであれ、新作アイテムであれ、その多くがあくまで一部のテイストメーカーにだけに解放されていた。でも、時代は変わる。仕掛人のヒストリーと、最先端テクノロジーを掛け合わせたTOKYO DESIGN COMMITによって、ファッションがより広く「みんなのもの」になっていく流れを見守りたい。

老舗百貨店×ファッション誌が挑むファッションクラウドファンディングの新鋭「TOKYO DESIGN COMMIT」

《三橋ゆか里》
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