【真田広之インタビュー】ハリウッド活躍10年「ようやく初心者マークが取れた」 2ページ目 | RBB TODAY
※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

【真田広之インタビュー】ハリウッド活躍10年「ようやく初心者マークが取れた」

エンタメ 映画・ドラマ
真田広之
  • 真田広之
  • 真田広之
  • 真田広之
  • 真田広之
  • 真田広之
  • 真田広之
  • 『ウルヴァリン:SAMURAI』 (C)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved
  • 『ウルヴァリン:SAMURAI』 (C)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved
 「いつか共演しよう」――。そう約束を交わしたヒュー・ジャックマンの存在も当然、出演を決断する大きな決め手のひとつだった。
「初めて会ったのは8年ほど前の上海での映画祭。その後『ラッシュアワー3』を撮っているとき、彼も隣のスタジオで撮影に入っていて、遊びに来てくれて『いつか一緒に』という話をしました。現場でカメラの前で対峙する時というのが一番、相手のことが分かる瞬間なんですよ。それまでの社交の場で会っているときよりもずっとね。10年来の飲み友達よりも1カットを一緒に撮影した人間の方が分かっちゃうところがあるんです。カメラの前に立って、ここ数年の快進撃を含め、彼の素晴らしさの所以を感じられました」。

 真田が海外進出の原点として挙げるのが1999年から2000年にかけて、英国のロイヤル・シェイクスピア・カンパニーによる「リア王」の公演(演出:蜷川幸雄)に唯一の日本人キャストとして参加した経験である。
 「イギリス人を相手に生でシェイクスピアの英語を話すというとんでもないことをやるハメになって(苦笑)、でもそこに無謀にも飛び込んだ時、必死でもがきつつ、異文化の中で学びながら、見たこともないものを作るということに意義――難しさと楽しさ、今後こういうことが大事になってくるだろうというのを本能的に感じました。その経験があったから、『ラストサムライ』にも飛び込んでみようという気持ちになった」。

 『ラストサムライ』では撮影のみならず、日本の描写の手直しをするポストプロダクションにも携わり「ここで『東西の壁なんて壊せる…いや、むしろ壁なんてない』と感じた」という。もちろん、実際には様々な困難が立ちはだかったが「それを崩して橋を架けるというのが、自分のライフワークになると直感した」という。

 その後、全編北京語による日・中・韓・香港合作の『PROMISE 無極』(チェン・カイコー監督)にも参加したが、そこでは東西以上に大きなアジア間の歴史の壁を実感する。「映画外交じゃないけど、映画の果たす役割の重要性を感じた」。こうした経験を積み重ねて行く中で、本格的に拠点を海外に移すことを決断する。
 「虎穴に入らずんば…ですね。日本にいながらでは垣間見ることしかできない、飛び込んでみないと核心に触れられないと思いノーコネクションで行ってみた。難しい時期はありましたよ。英語も至らないし、そもそも日本人の役も少ない。あったとしても、日本人としてはあまりに受け入れ難い、許せないものも多かった。自分らしさ、日本人らしさを曲げることなく、どこまで行けるのか? それは自分に課したテーマでした。そうやって続けてきて、最近ようやくコーラスラインの手前に立てたという感覚。マーケットに乗って、店頭に自分が並んだかなと感じます」。

 40代のほとんど全てを捧げ辿り着いたスタートライン。見据える先の景色は変わらない。いや、むしろさらに険しい道のりが待っているかもしれないことを自覚している。
「初心者マークが取れた――自分の中でお客さん気分が抜けたと言った方が近いかな? でもそれは同時にゲストとしての甘えが許されなくなるということだし、評価されるほどにハードルが高くなるということ。そこに逃げずに向き合う時期が来たのだと思う。進歩するには高いハードルを課さなきゃ出稽古の意味がないからね。腹を括ってのスタート――そんな今日この頃です(笑)」。

 本能と直感を頼りに誰も進んだことのない道へ。50代を迎えてもまだまだアクセルを緩めるつもりはない。

 『ウルヴァリン:SAMURAI』は全国にて公開中。

《黒豆直樹》
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

page top