【インタビュー】ホームネットワーク化のためのモバイル対応にも着手……イッツコム・市来社長 | RBB TODAY
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【インタビュー】ホームネットワーク化のためのモバイル対応にも着手……イッツコム・市来社長

エンタープライズ 企業
代表取締役社長の市来利之氏
  • 代表取締役社長の市来利之氏
  • 代表取締役社長の市来利之氏
  • カスタマー本部お客様センター統括部長の野木徹氏
  • カスタマー本部お客様センター統括部長の野木徹氏
  • 本社内には社長が読んで欲しい本を集めた「ビー クリエイティブルーム」がある。
  • 書籍は自由に持っていくことができる。なんと返却不要。社外の人も、持って帰ってもいい。
  • サポートスタッフの皆さん
 RBB TODAY主催の「ブロードバンドアワード2012」において、5年連続で関東地域のベストキャリアに選出されたイッツ・コミュニケーションズ(以下、イッツコム)。地域に密着したケーブルテレビ事業者として、圧倒的な顧客満足度を誇る同社の現状とサービスの強みなどについて、同社代表取締役社長の市来利之氏とカスタマー本部お客様センター統括部長の野木徹氏に話を聞いた。

●営業体制の倍増とサポート部隊の新体制

――昨年と比べて、どのような部分が伸びましたか? また、その理由は何でしょうか?

■市来 まず収支面ですが、トリプルプレー以外にもB2B分野など、セカンドドメインの売上げもあり、トータルで増収・増益を続けています(営業収支:196億9300万円、営業利益:14億2500万円、2013年6月初旬)。営業としては、ひと昔前の根性論は現実的でなくなっていますので、現状を把握しながら、物件や手法別に十数チームに分かれて活動しているところです。たとえば、新築の高層マンション、集合アパート、戸建てというように、エリア・賃貸形態などによってターゲット別に異なるサービスをお勧めしています。

ケーブルテレビの場合、加入者を増やすには結構コストが掛かりますから、短期的に営業力を上げると経営が厳しくなります。そこで、2009年から経費削減対策とセットで計画を組み、2010年には人や金の掛けかたを含めて体制をほぼ倍増、地デジ需要に応えつつペースを維持しながら現在までやってきたということですね。

――貴社のサービスは顧客満足度で高い評価を受けています。サービス品質を高めるために取り組んできたことは?

■市来 「お客様センター」を新たに一元化しました。これまでの「お客様センター」は、コールセンターと契約事務センターで構成されていました。それをコールセンターとサポート部隊に集約したのです。「お客様と電話で応対するのか」、あるいは「出掛けて行ってお客様と相対するのか」という違いはありますが、いずれにしてもお客様と接する重要な部門だと考えています。この部門のミッションは、顧客の解約率を下げることです。

契約者を獲得するには、何か投資をすれば結果が返ってきます。しかし解約については、どこから手をつければよいのか分からないところもあります。何か手を打っても、すぐに効果が現れるものではありません。社内的に、誰が責任を持つのか、いつまで、どこまで、という具体策も出しにくい。そのため解約対策に関しては、ついつい先送りしたくなる分野です。しかし、そこをしっかりしないと何も始まらないという思いがありました。新規のお客様を増やすことも大事ですが、お客様との長いお付き合いを大切にするという方針を掲げて体制を整えました。

――実際にどのようなことを行なっていますか?

■野木 コールセンターにサポート部隊が集約されたことで、現場への対応が迅速になりました。サポート部隊が一緒なので、すぐにお客様のところに行けるわけです。サポート部隊では、いろいろなことを行なっています。たとえば多チャンネル化が進むケーブルテレビでは、逆にチャンネルがたくさんありすぎて、どうやって観ればよいのか分からないという声もあります。そこで時代劇など好きなチャンネルをお客様に選んでいただき、我々のほうでリモコンに「お好みチャネル」として設定し、簡単に視聴できるようにサポートしています。

また先ほど話に出たように、我々の部隊には「解約抑止」という大きなミッションがあります。これまでも加入から1ヶ月程度のお客様に対して「サンキューコール」を実施していたのですが、このタイミングを早めて1週間後に電話をすることにしました。ちょうどその頃合に、お客様のほうで分からないことやお困りのことなどが出てくるため、まずはお電話でご相談を承り、場合によってはその日に訪問して改めて操作方法をご案内するケースもあります。

――それでも解約されるお客様がいる理由は何でしょうか?

■野木 まず他社に乗り換えられるケースがあります。それ以外に番組を観る時間がない、面白い番組を訴求できていない、という理由もあるかもしれません。いまは加入いただいてから1週間目の「サンキューコール」だけですが、今後はお勧めコンテンツをアピールしたり、イベント情報などをお知らせするコールなどもお届けしたいと考えています。解約率については、まだ初期段階のため目に見える効果とまでは言えませんが、新体制によって確実に下がってきているという実感があります。現段階では加入後早期のお客様にフォーカスしていますが、10年以上ご利用いただいているロイヤルカスタマーの方への特別な対応など、ターゲット別に対策を施していく必要があると考えています。

――ARPUを上げていくための課題はありますか?

■市来 基本的にはサービス内容によってARPUを上げていくことになりますが、単純にそれだけではないと考えています。どちらかというと最近ではテレビをあまり観ない傾向もありますし、インターネット利用の料金もどんどん下がってきています。チャネル数を増やして料金を上げるといっても、お客様には納得していただけないでしょう。ARPUは、従来どおり同じことをやるだけでは必ず下がってしまうものです。何とか無理やり高くしようと手を打っても仕方ありません。そこで先ほどお話したように、解約抑止によって長いお付き合いをさせていただくということがベースにあるわけです。あとは本来、我々がサポートする範囲のものでなくても、地域の窓口となって取次ぎ的にサービスを行うなど、さまざまな可能性が残されていると思いますね。いまの時代は、いろいろなサービスがありすぎて、お客様もどのように対応していけばよいのか分からないことも多いと思います。もし何かトラブルが起きても、最終的にたらい回しになってしまうこともあります。お客様の困っている点をしっかりとサポートしていくことが、我々にとって重要なことだと考えています。
《井上猛雄》
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