【インタビュー】ホームネットワーク化のためのモバイル対応にも着手……イッツコム・市来社長 2ページ目 | RBB TODAY
※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

【インタビュー】ホームネットワーク化のためのモバイル対応にも着手……イッツコム・市来社長

エンタープライズ 企業
代表取締役社長の市来利之氏
  • 代表取締役社長の市来利之氏
  • 代表取締役社長の市来利之氏
  • カスタマー本部お客様センター統括部長の野木徹氏
  • カスタマー本部お客様センター統括部長の野木徹氏
  • 本社内には社長が読んで欲しい本を集めた「ビー クリエイティブルーム」がある。
  • 書籍は自由に持っていくことができる。なんと返却不要。社外の人も、持って帰ってもいい。
  • サポートスタッフの皆さん
●ホームネットワーク化をにらみ、新サービスを使うためのモバイル対応を進める

――地域サービスなどで何か新しいトピックスはありますか?

■市来 番組作りに関しては、これまでも地域に密着したサービスを提供してきました。東急沿線を中心としたプレミアムチケットを共同購入できるサービス「PONiTS」(ポニッツ)や、地震が来る前に震度と到着時間を音声で知らせる「緊急地震速報」のほか、デジタルサイネージ関係の運用事業なども相当やってきました。電車内や駅中デジタルサイネージはもちろん、二子玉川ライズの16面マルチディスプレイ、武蔵小杉東急スクェアのモーションキャプチャデバイス式デジタルサイネージ、渋谷のスクランブル交差点にあるビル壁面の大型サイネージ「Q'S EYE」、渋谷ヒカリエに付けられた大画面広告の「マルチリングサイネージ」や「ヒカリクロック」など、東急グループを中心にトータルで5000面以上もの広告運用を担当しています。

最近では無線LANインターネット接続サービスの取り組みも重視しています(同社は2012年4月にケーブルテレビ事業者として初めて総務省から公衆無線LANサービス実施の事業認定を受けた)。渋谷ヒカリエの公衆無線LANサービスを皮切りに、東急沿線各駅や、みなとみらい線全駅の快適なインターネット環境を整備しているところです。ただし、我々がこうしたサービスで直接儲けられるかというとそうでもありません。今後は業界全体としてもホームネットワークをきちんと構築していく方向になっていくと思います。

――新サービスを使うためのモバイル対応は進んでいるのですか?

■市来 今年の3月から家庭内のWi-Fi化を進めており、2.4G/5GHzのWi-Fi機能を内蔵したケーブルモデムを提供しています。近い将来、テレビ録画機能と同じようにWi-Fi機能が当たり前の時代になっていくと思います。モバイル化によって、さまざまな機器をコントロールしたり、テレビ録画以外のコンテンツを別の部屋で観たり、続きを外で見たりすることもIPの世界で可能になるでしょう。こうした施策は、どの通信事業者がやってもよいという話ではなく、ケーブルテレビ事業者こそが頑張っていくべき分野だと考えています。

大手通信事業者は無線で何でもできる世界を目指す一方で、回線自体が目一杯になっており、固定回線へどうやって逃がすかということにも追われています。まず家がベースにあって、そこに安定した固定回線が引かれ、その上でさまざまなサービスを提供できるようにする。それは本来、ケーブルテレビ事業者で最も期待されるところだと思います。単にタブレットを配って終わりではなく、家に完全に入り込んだものでなければなりません。たとえば我々は、太陽光発電システムの販売も行なっています。太陽光パネルや蓄電をするバッテリなどがあって、家電製品がスマート化されて、さらにいろいろな情報が絡んでくるわけです。電力の見える化などのソリューションの開発も予定されています。

米国でもテレビ、インターネット、電話の次は、セキュリティというように新しいサービスが登場しています。そのようなこともあり、地域密着型(東急沿線20市区限定)のホームセキュリティサービスとの連携も始めています。宅内に各種センサーを取り付けて、緊急時には警備員がすぐに駆けつけてくれます。グループ企業には東急セキュリティや東急カードなどもありますので、これも大きな強みになっていくでしょう。このように今後はトータルな家庭内ネットワークが必要になってきます。

――法人向けのクラウドサービスなどの進展はいかがでしょうか?

クラウドサービスは、もともと自分たちが欲しいシステムをつくりたい、ということで始めたものです。我々は、自社のデータセンターで、東急グループや沿線の企業を中心にサーバホスティングやサーバハウジングサービスの提供をしています。これまで培ってきたIT技術を活かし、ケーブルテレビ局業界の発展につなげたいという想いがありました。
業界では、新しいシステムを導入したくても、投資コストが掛かりすぎて、なかなか実現できないという事情がありました。そこで顧客管理システム(CRM)だけでなく、ケーブルモデムの設定・管理サービス(DPM)や、課金システム(Billing)、自動登録システム(SMP)などを含めて、クラウドで一元的に管理できるサービスを始めたわけです。専門サービスなので、個々の企業に対して特化すべき部分も多くあります。そのため、いま数社のお客様とともに一歩一歩、着実に進めているところです。ならばクラウドにする必要もないという意見もありますが、クラウドによってアップデートも容易になり、最新技術に対応できるというメリットがあります。

また東日本大震災を受けて始めた「BCP」(Business Continuity Plan)についても引き続き進めています。事業継続の戦略を重要業務ごとに設定し、この戦略の中で特に協力会社や同業他社などの経営資源を出し合うことに注目しました。災害時だけに限定せずに、企業成長の実現を目指すような連携戦略です。これらのBCPは「東京商工会議所版BCP策定ガイド」に準拠したBCP策定の第一号にも選ばれました。BCPについては、お客様や企業の皆様にご安心をいただけるように、今後も社会的な責任として進めていくつもりです。
《井上猛雄》
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

page top