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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第35回 タクシー配車アプリ、徐々に地方にも浸透?!

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筆者の住む青森でもタクシー配車アプリの導入が進む
  • 筆者の住む青森でもタクシー配車アプリの導入が進む
  • 「タクシー三八五」アプリ起動画面。
  • タクシー配車アプリを起動すると、位置情報をもとに自分の居場所が表示される。地図を拡大してタクシーを停めたい場所を指定する。
  • 「注文」をタップすれば配車依頼完了。
  • 到着予定時刻などが確認できる。
  • 注文したタクシーが、今どこを走っているかも地図上で確認できる。
  • タクシー車内には専用カーナビゲーションや情報端末等が装備され、アプリからタクシーを注文すると最寄の空車にダイレクトに配車指示が飛ぶ。
  • 提供するタクシー会社によって異なるが、このアプリでは周囲を流している空車を表示する機能なども備わっていた。
 筆者の場合、出張も多い上に移動の手段にタクシーを利用する機会がとても多い。流しのタクシーがいくらでも走っている都心部ならともかく、住宅地や郊外などタクシーを見かけない場所で迅速にタクシーを呼ぶにはタクシー配車アプリがとても重宝する。

 タクシー配車アプリは、起動すると位置情報をもとに今自分が居る場所を表す地図が表示され、地図を拡大させながらタクシーを停めたい場所を確定し「ココに呼ぶ」をタップするだけ。これで最寄の空車に配車情報が送信され、数分でタクシーがやってくる。アプリでは、タクシーの到着予想時間や迎車中のタクシーの走行位置などが確認できる(写真参照)。このほかにも提供されているアプリによって付加機能が多少異なるが、タクシー料金のシミュレーションができたり、周辺を流している空車を地図上で確認できたりする。

 こうしたタクシー配車アプリは、地方のタクシー会社にまで浸透しはじめている。筆者の住む青森県でも、青森市の珍田タクシー、一番タクシー、および八戸市の八戸タクシーが『全国タクシー配車』アプリに対応、また八戸市の三八五交通が『タクシー三八五』アプリの配信をはじめている。こうした配車アプリを日々利用する中で、アプリによるタクシー配車システムがどのように行われているのか知りたくなってきた。そこで、この6月より新たにタクシー配車アプリを導入した三八五交通(青森県八戸市)にお話を聞いた。

 三八五グループは、地域では非常に認知度が高い総合物流企業で、青森県を中心に貨物運送や倉庫業、引越し、バス、タクシーなどを手がけている。このグループの中で、八戸市内でタクシー業を手がけているのが三八五交通で、小型タクシー202台、中型タクシー4台、ジャンボタクシー6台、小型観光バス7台を保有している。このほか介護保険適用の介護タクシーも運行している。

 同社取締役総務本部長・豊巻俊彦氏によれば「今春に実施したタクシー無線設備の入れ替えを機にスマートフォン向け配車アプリの導入を決めた」という。配車誘導用に利用されるタクシー無線は、総務省による電波法基準改正を皮切りに2003年よりデジタル化の方針が打ち出され、2016年6月までにデジタル化移行を完了させることになっている。すでに大都市圏のタクシー無線はデジタル化しているが、地方都市のタクシー会社などではまだアナログ方式の無線設備が残っているところも少なくない。こうした地方のタクシー会社も、あと3年以内にデジタル化を進めなくてはならないという。

 デジタル化によって、音声による誘導以外にも様々なアプリケーションとの組み合わせで付加情報の送受信が可能となった。たとえばGPSを用いて、配車センター側でタクシー車両の動態を正確に把握できるようになったほか、タクシー車両に設置したGPSナビゲーションと連動させ、配車先への誘導を視覚的に表示できるようになった。さらに、今回紹介するようなスマートフォン向けアプリとの連携で、タクシーを利用するユーザーとの双方向のコミュニケーション(ユーザーからの配車指示や配車センター側からの迎車の位置情報提供など)も可能となった。

 こうしたタクシー無線のデジタル化推進と同時に、ケータイ等との連携も模索され続けてきた。かつてはケータイ向けのタクシー配車サービスも存在したが、入力等が煩雑で利用は伸びなかった。しかしスマートフォンの普及によって改めてタクシー配車アプリが脚光を浴びることに。画面を数回タップするだけという簡単な操作でタクシーを呼ぶことができるということで、急速に利用が増えているという。

 タクシー配車アプリの先陣を切ったのは日本交通だ。同社のシステム部門である日交データサービスが開発を担当し、2011年1月に『日本交通タクシー配車』アプリの提供を開始。さらに2011年12月には日本マイクロソフトとの協業により『全国タクシー配車』アプリをリリース、全国のタクシー会社との提携を進めることで、1つのアプリで提携タクシー会社の配車を全国で利用できるようにした。これを追うように、東京無線協同組合は富士通テンとメイテツコムとの共同開発で、2012年3月より『タクシー東京無線』アプリをスタート。タクシー業界では、この2勢力をアプリ配車の先行組としている。

 東京ではその後、東都自動車グループ、帝都自動車交通・東京私鉄自動車協同組合の共同事業が追随。個人タクシーでも、東京都個人タクシー協同組合(でんでん虫系)がすでに運用を開始するなど、アプリ配車サービスが次々に立ち上がっている。また2013年2月には業界団体である一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会(旧称:東京乗用旅客自動車協会)がアプリを活用した配車システムを業界共通の基盤として整備するための「スマホdeタッくん活性化特別委員会」を正式に発足させるなどの動きもあった。

《木暮祐一》
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