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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第35回 タクシー配車アプリ、徐々に地方にも浸透?!

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筆者の住む青森でもタクシー配車アプリの導入が進む
  • 筆者の住む青森でもタクシー配車アプリの導入が進む
  • 「タクシー三八五」アプリ起動画面。
  • タクシー配車アプリを起動すると、位置情報をもとに自分の居場所が表示される。地図を拡大してタクシーを停めたい場所を指定する。
  • 「注文」をタップすれば配車依頼完了。
  • 到着予定時刻などが確認できる。
  • 注文したタクシーが、今どこを走っているかも地図上で確認できる。
  • タクシー車内には専用カーナビゲーションや情報端末等が装備され、アプリからタクシーを注文すると最寄の空車にダイレクトに配車指示が飛ぶ。
  • 提供するタクシー会社によって異なるが、このアプリでは周囲を流している空車を表示する機能なども備わっていた。

 一方、タクシー業界側が提供するもののほかに、非タクシー事業者が提供するものも現れた。ロンドン発祥で日本法人設立においてはKDDIが資本提携したヘイロー・ネットワーク・ジャパン株式会社がアプリ提供の準備を進めているほか、ITベンチャー系のアプリも一部供用が始まっている。タクシー乗務員とユーザーをアプリを通じてダイレクトに結び付けるアプリも見受けられるようだが、タクシー業界側はこうしたアプリに警戒感を漂わせている。日本の法規では、非タクシー事業者による配車アプリについてはどんなに短距離でも「第三者が旅客運送事業者に利用者を斡旋する」ことになるため、「旅行業に該当する」として、観光庁が旅行業法に基づく事業登録を行わせるよう指導する方針を明らかにしている。

 日本交通によれば、『全国タクシー配車』アプリ経由のタクシー売上は15億円(全国のタクシー提携会社合算)を突破するに至っているという(6月29日発表)。こうしたアプリを通じた売上は今後も加速していくであろうし、タクシー利用率の向上にも寄与していくと考えられる。とくに、一定数のタクシー利用者が期待できる大都市部は「流し営業」が主体となっているが、人口が少なく「無線配車」による利用者比率が高い地方都市では、アプリ経由の配車需要の伸びが大いに期待されるところであろう。

 地方のタクシー会社がこうした配車アプリを導入する場合、独自にシステムを開発するのでは割が合わず、またユーザーが他地域で利用する場合の利便性などの配慮から、すでに営業展開されている日本交通や東京無線のシステムを導入して相互乗り入れを行うようだ。すでに全国のタクシー会社のポータルのように発展している『全国タクシー配車』を採用するタクシー会社も多いが、前述の三八五交通はあえて東京無線のシステムを採用した。

 前出の豊巻氏は、「両方のシステムを検討してみたが、独自ブランドでアプリを提供できる東京無線のシステムを採用した」という。

「『全国タクシー配車』では、すでに八戸市の別のタクシー会社が採用していることもあって、利用者がタクシーを手配する際にはタクシー会社を選択して利用することになる。地域の方により親しみを持って配車アプリを使っていただくためにも、自社ブランドでのアプリ提供を目指したかった」(豊巻氏)

 この『タクシー三八五』アプリを利用しているユーザーが東京に行った際は、このアプリで八戸市内で利用する場合と同じ操作で東京無線のタクシーを呼ぶことができる。また、同じ東京無線のシステムを採用している他の都市のタクシー会社についても、相互にそれぞれの地域で配車手配が可能となる。(この相互乗り入れは9月より開始され、タクシーチケットも相互に利用できるようになる)

 東京在住者で全国各地に出張が多いようなケースであれば、タクシー会社のポータルサイトでもある『全国タクシー配車』アプリは大変重宝する。一方、地方在住者の場合、タクシーを利用するシチュエーションは、基本的にはその地域での利用が大半になる。仮に出張が多いとしても行き先のほとんどは企業の本社が集中する東京ということになろう。そう考えると、地方在住者であればホームエリアと東京で確実にタクシーを呼ぶことができるアプリがあればそれで十分といえそう。東京出張時も使い慣れたそのアプリで、余計な設定や選択を伴わずに現地のタクシーを呼び出せたほうが便利ということだろう。

 タクシー無線デジタル化の期限が迫る中で、地方都市のタクシー会社各社の無線設備リプレースが今後急速に進んでいく。同時にタクシー配車アプリの導入も増えていくと思われる。タクシー無線がデジタル化しても、従来からの電話によるタクシー依頼ではオペレーターが対応し、配車システムを通じてタクシー車両に配車指示を出すというオペレーション作業は大きく変わらない。しかし、アプリを通じたタクシー配車では、システム側で最寄の空車を検知し、オペレーターを一切介さずにダイレクトにタクシー車両に指示を出せる。
「アプリを通じたタクシー配車が増えれば、オペレーションのコスト(人件費)も抑えることが可能になってくる」(豊巻氏)

 こうしたタクシー配車アプリは、ユーザーにとっても流しタクシーで事足りてしまう都心部より地方でメリットを感じるはず。地方都市ではスマートフォンの普及も同時進行中といった状況の中で、タクシー無線システムのリプレイスと同時に配車アプリの導入も急速に増えていきそうだ。
《木暮祐一》
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