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【Interop 2013 Vol.72】「IX」の進むべき道は?日本が情報拠点であり続けるために……JPIX

ブロードバンド 回線・サービス
JPIX 代表取締役社長 石田慶樹氏
  • JPIX 代表取締役社長 石田慶樹氏
  • JPIXが展開する8サイト
  • サッカー日本代表戦はインターネット トラヒックにも大きな影響を与えた
  • 著作権法改正の影響などが見て取れるが、全体としては伸び続けている
  • トラフィック傾向の2分化
  • IXのメリット
  • IXの基本機能
  • JPIX 構成図

■DRだけでなく、アクティブな動機でIXの分散化・冗長化を検討する

 その一方、集中が過ぎるとデメリットがあることも認めており、そのため、「分散のことも常に考えている」とする。仮に、東京一極集中のインターネットが機能不全に陥った場合、ローカルなコミュニケーションを確保するディザスタリカバリ(DR)の重要性から、IXの分散化・冗長化が必要になってくる。しかし、東日本大震災を受けてDRの意識は高まっているものの、「DRのためだけにコストを割くには限度がある」と言うように、中々コスト面の課題を越えられず、DRが地方に進んでいかないのが現状である。

 そこで石田氏は、「もう少しアクティブに考えてほしい。ローカルトラフィックを、ネットワーク的に近い所で交換することで、品質とコストメリットを出す。この考え方が、IXの分散化・冗長化には必要」と、単に災害に備えるという意味ではなく、コストや品質面でメリットを出す積極的な姿勢でIXを考えてほしいとした。そうした考えから、JPIXでは大阪と名古屋のサイト間連携をこれまで以上に強化し、首都圏・東京とつないでいく方針。IXのスイッチ群を、首都圏側と大阪側で大きく2つのセグメントに分け、大阪は西日本におけるDRの拠点とし、ローカルトラフィック交換を促進する。特に西日本はFTTHの事業者が多く、顧客開拓の余地が大きい。また、コンテンツ事業者は東京だけではリスクが高いため、セカンダリーで大阪に拠点を置くことも考えられる。中間地点である名古屋は、周辺のアクセス事業者の接続拠点として存在感を発揮。こうして、冗長化も含めて東名阪をつないでいくことが、「分散化・冗長化の第一段階」とした。

■IPv6時代への移行

 IPv6問題に関しては、「まだまだIPv4は、最低でも5年くらいは生存するだろう。ただ、v4が枯渇しているのは事実で、アドレスを共有することが必須。一つのアドレスを一つのアクセスユーザー/家庭で使うのではなく、複数のユーザー/家庭で使う仕組みが必要になる」と分析し、「IPv4 over IPv6テクノロジーを一つのキーテクノロジーと考え、積極的に進めてきた」とのこと。同社では、「IPv4 over IPv6テクノロジー」を、孤立しているIPv4ネットワーク同士をIPv6ネットワーク経由で橋渡しする技術としている。

 サービスグレードの観点からみた時、「今あるブロードバンドサービスで行われている、IPv4グローバルを動的に割り当てるサービスを基準とすると、単にIPv4アドレスを共有するだけのサービスは明らかにグレードが落ちる」「IPv4+IPv6、いわゆるデュアルスタックが現状で最もグレードが良いが、中々簡単には提供できない」といった問題がある。そのため、「IPv4アドレス共有をIPv6で行い、かつIPv6も提供するというのが有効。サービスグレードでみても、これまでのブロードバンドサービスと遜色のないものがほぼ提供できる」という。「IPv4 over IPv6」技術で鍵となるのが、エッジの部分。つまりホームルータにどういった機能を追加し、それに対してどのようにプロビジョニング(開通作業)を行うか、ということだそうだ。この点について、若干ハードルは高いが、解決の目途は立っているとのこと。「困難なポイントは多いが、v4アドレス枯渇後にアドレス共有が必要であり、『IPv4 over IPv6』がそのスマートな解決法である限り、それに向かって邁進する」としている。

《白石 雄太》
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