【インタビュー】「ビッグデータ」時代の文書管理とは?(後編) | RBB TODAY

【インタビュー】「ビッグデータ」時代の文書管理とは?(後編)

エンタープライズ ソフトウェア・サービス
インタビューの様子
  • インタビューの様子
  • ジャストシステム エンタープライズ事業部 事業部長 菊地修氏
  • ジャストシステム 販売促進部 部長 星野和志人氏
  • アーカイブ情報の画面。退避/復元/廃棄の処理状況を表示し、段階的なファイル整理を促進する
  • 分析条件を設定でき、それら分析条件や絞込み条件に該当するファイルをまとめて表示することで、肥大化の原因を抽出
  • ユーザー側の整理候補ファイルの確認/報告画面。本当に削除してよいファイルかユーザー側で判断し、報告することも可能
  • ユーザー側の整理候補ファイルの確認/報告画面。本当に削除してよいファイルかユーザー側で判断し、報告することも可能
  • 機密文書が機密フォルダにきちんと保管されているか監視できるので、内部統制にも役立つ
■肥大化したファイルサーバを見える化し、不要なファイルを除いてスリム化

 前編では文書管理の要件として、データの中から必要な情報を迅速かつ正確に見つけ出せる検索性を中心に紹介した。文書管理を実施する上で、もう1つ見逃せない点がある。それはデータのライフサイクルを全体を俯瞰しながら、重要度や利用状況に応じて情報を整理し、本当に必要な情報を活用するということだ。

 「社内のファイルサーバには膨大なデータが溜まっています。探したいファイルが何か、それらをいかに活用させるべきか。重要なのに使われなくて、何ヵ月もアクセスされず眠っているファイルがあるかもしれません。逆に内容が重複して存在する無駄なファイルや、名前が類似しているバージョン違いのファイルなど、不要と思われるものが散在していることもあります。そういったファイルをしっかり管理していく必要があります」とジャストシステムの菊地修氏は説明する。

 そこで開発されたのが、同社のファイルサーバ肥大化対策システム「GDMS」(Green Document Management System)だ。肥大化していくファイルサーバに対し、データの“見える化”と“スリム化”を図る目的でつくられたもので、実際にユーザーからの要望が契機となって開発に至ったとのこと。前編でも触れた、大塚商会が提唱する文書管理における4つのフェーズの中では、サーバのスリム化を「廃棄」のフェーズに位置づけており、この「GDMS」システムも取り扱っている。「廃棄」という言葉だけ聞くと、ただ要らないものを処分するだけに聞こえるが、膨大なファイルの中で必要なものだけを見極めることは、非常に困難だ。しかし、そこを見極めて管理することができれば、ビジネスにおいて大きなメリットが生まれる。そのメリットについて、具体的にみていきたい。

■ファイルの詳細分析だけなく、機密文書の管理も可能に!

 同システムを導入するには、社内ネットワーク上に1台のGDMSサーバを設置するだけでよい。そこから複数のファイルサーバに対してスキャニングを行う。各ファイルサーバに対しては、エージェントソフトなどを導入する必要もなく、手間も掛からない。複数台のファイルサーバから収集されたスキャン情報は、管理ツールによって横断的に利用状況を把握できる。また分析ツールで結果を表やグラフとして見える化し、領域の概要や詳細を調べられる。

 ファイルの分析条件としては「陳腐化」(更新から3年経過)、「未アクセス」(1年以上アクセスなし)、「重複」(バイナリレベルで一致するファイル)、「名前類似」(ファイル名が似ているもの)、「巨大」(サイズの大きなもの)、「メディア」(画像、音声、動画)などの分析条件を設定でき、それら分析条件や絞込み条件に該当するファイルをまとめて表示。これらのファイル整理を定期的に自動実行することで、効率的なファイルサーバの運用と品質向上を実現できる。ファイルサーバの容量が減れば、運用コストの削減につながるし、バックアップ時間も短くて済む。データを管理する際に無駄がなくなるため、結果的に検索性にも寄与することになる。

 「もう1つ、ファイルサーバの見える化のメリットとなる点は、アクセス権の設定状態をまとめて監視・検知できる点です」と同社の星野和志人氏は付け加える。たとえば、コピーによって本来の親フォルダと異なるアクセス権が設定されたファイルが散在し、フォルダとファイルの間でアクセス権の不整合が生じることがある。フォルダにはアクセス制限が掛っているのに、一部のファイルは別のアクセス権になっており、誰からも見えてしまうという状況が起こりうる。情シス側にとっては、このような場所を見つけることは手間が掛かる煩わしい作業で、悩みの種になるところだった。

 このようなケースでも、「GDMS」を導入してファイルの見える化を行うことで、アクセス権をチェックし、機密情報や重要文書の適正な管理を行えるようになる。「通常のフォルダに機密文書が含まれている」、あるいは「機密フォルダに通常文書が含まれている」など問題点を見える化するだけなく、「あらかじめ設定した条件に従って、たとえばコンフィデンシャルと書かれた機密文書を判定し、管理フォルダにきちんと管理されているのか一度に監視できるのです」(星野氏)

■シミュレーションでユーザー側の意識も変わる

 「GDMS」でファイルサーバのスリム化を図る際には、管理者側で分析条件と絞り込みで抽出した整理候補ファイルを削除してもよいが、ユーザーに対して確認メールを送ることもできる。ユーザー側では削除対象候補となったファイルをチェックし、もし消されたくないファイルがあった場合には、リストにチェックを入れて管理者にメールを返送する。それに基づいて管理者側でファイルの整理を行うという流れだ。

 菊地氏は「通常では、情シスからファイルを消してくださいと言われても、中々根拠が分からずモチベーションも上がりません。『GDMS』を導入すれば、該当ファイルを削除すると実際にどのくらい削減効果が得られるかシミュレーションで分かるため、全社的な活動としてファイルサーバのスリム化への励みにもなります」と語る。

 このような人的なファイルサーバのスリム化に加え、自動的にファイルのライフサイクルを管理できる点も見逃せないところだ。運用コストの異なるファイルサーバ間で、情報の利用頻度に応じてデータの保存先を使い分けられるのだ。「たとえば設定条件に基づいて、利用頻度が低いと判断されたファイルを、メインの共用サーバから2次保管用のアーカイブサーバに一時的に退避させておくこともできます」(星野氏)。ファイルを退避する際には、ユーザーの利便性も考慮して共有サーバ側に退避先へのショートカットもつくれる。もしファイルを退避して、それでも一定期間利用されることがなければ、そのファイルは不要だと判断できるので、あらかじめ決めたルールに従って自動的に破棄する。逆に必要なものと判断された場合には、アーカイブサーバから復元すればよい。

 このように段階的にファイルを整理することで、利用者の削除に対する抵抗感を和らげながら、業務に必要な情報だけを共有領域に集約できるというわけだ。

 最後に、菊地氏は「今後、企業内のデータ量は増え続けるでしょう。その対応をどうするのか、という問題がますます重要になってきます。スケーラビリティやパフォーマンスは我々にとって永遠の課題です。その一方で、ファイルサーバをきちんと整理した後、実際の現場でいかにデータを活用し、業務改善につなげてもらうのか。社内にある色々な情報をいかに一元管理して、情報インフラ化してお客様へ届けるのか。という部分をやっていきたいですね」と抱負を述べた。文書管理というと企業の内部だけを考えてしまいがちだが、こうして社内に眠る情報を整理・管理してインフラ化し、活用することで、フィールドの業務形態を変化させ、ビジネスを発展させる側面も持っている。
《井上猛雄》

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