【中小企業のIT活用術 Vol.5】文書管理で企業はもっと強くなる!(前編) | RBB TODAY
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【中小企業のIT活用術 Vol.5】文書管理で企業はもっと強くなる!(前編)

エンタープライズ ソフトウェア・サービス
大塚商会 共通基盤プロモーション部 ODSプロモーション課 尾上博隆氏
  • 大塚商会 共通基盤プロモーション部 ODSプロモーション課 尾上博隆氏
  • 大塚商会 共通基盤プロモーション部 ODSプロモーション課 榎本貴氏
  • ドキュメントライフサイクル
  • スキャン(電子化)作業のアウトソーシングサービス
  • 「Quick スキャン V2」はスキャン時に直接ファイル名を入力でき、それを指定のフォルダに自動で保存可能で、OCR対応のため全文検索にも対応している
  • 「Quick コンバート」
  • 「楽2(ラクラク)ライブラリ」は実際にキャビネットに納められた状態を再現して保存可能
  • 実際に紙をパラパラめくるように検索できる
 「今、非常に多いのは契約書などの文書が見つからないという声です」。大塚商会 共通基盤プロモーション部 ODSプロモーション課の榎本貴氏は、中小企業の文書管理の現状についてこう話す。これはどういうことだろうか?内部統制を含む新会社法の制定からしばらく経過した現在、電子化・ペーパレス化も随分叫ばれているにもかかわらず、こういう声は後を絶たないという。

 社内に蓄積されている契約書には期限、自動更新、機密保持締結有無、業務委託など確認事項も多く、法務部門は各部署の問い合わせに忙殺されている。企業や部署によってはそれが図面や写真であったりと、文書の形態はさまざまに変化し、問題は複雑化する。また、書類を電子化することで業務効率を上げようとする声は多いが、自社でそこに時間をかけるのも限界があるだろう。電子化されたものと電子化した後の書類(原本)の保管をどのように行っていくかも問題になる。そして、中小企業が意外と頭を抱えているのが書類の廃棄の問題だ。しばらく見ないが必要である書類、いっさい必要のない書類、これらが混在し、書類フォルダから書類を分解するという物理的な作業の手間もばかにならない。

 文書の電子化について規定したJIS Z 6016では「作成(入手)→処理→保管→保存→廃棄」という書類のライフサイクルを提示している。これらをシンプルに「発生」・「管理」・「保存」・「廃棄」という4つのフェーズに整理して、そのすべてをケアするソリューションを提案しているのが大塚商会の「ドキュメント マネジメント サービス」だ。今回は、その「発生」と「管理」というフェーズについて、中小企業の現状と解決策を聞いてみた。

■膨大な時間とプロの技が必要な電子書類の「発生」

 「文書を電子化する」ことは作業効率・コストを削減していくことの第一歩で、ここが「発生」に当たる。だが、そこには様々な困難が伴う。文書の1枚をとってみても、折り目を伸ばし、両面印刷かをチェック、作成されたファイルのリネームとフォルダ分けを行い、傾きが無いかを確認……といった作業がはじまる。これがキャビネット数台分になることが多く、とても自社で処理できるものではない。「書類の形式も同じものばかりではなく、バインダーに入っていたり、縁どめされていたりと様々。それらの文書を外し、(スキャンした後は)今度は元にもどさなければいけない。この一連の作業を行っていかなければなりません」と大塚商会 共通基盤プロモーション部 ODSプロモーション課の尾上博隆氏は解説する。また、電子化した文書の原本は捨てていいものもある一方で、コンプライアンス上の問題からとっておかなければいけないものも多い。

 実は、およそ8割の企業がこれらの作業をアウトソースしているという。「契約書は契印などがあるため、オートシートフィーダーを使えないものも多いです。図面にはA0判などの巨大なものもあり、スキャンするには大型機材が必要ですし。歴史のある会社では古い社報や書籍なども保存されていますが、紙が劣化している場合には、クリアファイルに収納して破損を防ぐなどの処理を行います」というようにプロの手に頼らざるをえないケースも多い。東日本大震災後は学籍簿や社報など、原本が1つしかない書類を紛失しないようにと、電子化するニーズが増えているという。

 ここで問題になるのがコストだ。例えば、割印がある、文書の状態が古い……など形状が複雑になるほどアウトソースでのコストはかさむ。同社の「スキャニングサービス」では複数のスキャン代行サービスに見積もりを依頼。価格や機材の対応などを判断した上で発注することで、業務コストを抑えているという。また、既存の文書の電子化は定期的に発生するものだ。新たに作成された書類は、再びスキャンする必要があるが、書類が少量しかない場合には外注に頼るとコストが高くなってしまう。「このようなケースでは、複合機を利用したスキャンサービス『Quickスキャン V2』をご提案しています。スキャン時に直接ファイル名を入力でき、それを指定のフォルダに自動で保存可能で、OCR対応のため全文検索にも対応しています。さらに、『Quickコンバート』というサービスを利用すれば、スキャン時にワードやパワーポイントなどの形式に変換できるため、書類を編集した上で再保存することも可能です」(榎本氏)。同サービスは「やさしく名刺ファイリングPRO」というソフトと連携することもでき、複合機に並べた名刺を一括スキャンして電子化できる。スマートフォンのアプリ等での電子化に比べて1枚1枚撮影する必要がないため、作業を短縮できるのが大きな魅力だ。

■「管理」の効率化が人的コスト削減の切り札に

 文書管理において最もニーズが高いのが検索性の向上だ。尾上氏は、「管理」の手法には大きく2つの方法があると解説する。ひとつは、例えば文書の範囲や公開日などある種のルールを伴いながら文書管理ツールで管理するケース。もうひとつは、検索エンジンを利用するという手法だ。多くの企業ではファイルサーバを持っており、ファイル名などは個々の企業でルール化されているが、目的の文書を検索するのはひと苦労だ。ここに文書管理ツールや検索エンジンを導入することにより、登録した人だけではなく利用する人の利便性も期待できる。

 しかし、2つの方法には一長一短があるという。文書管理ツールでは、「何年から何年までA社と打ち合わせした文書を見つける」ということが可能で、的確に目的の文書データを見つけることができる一方で、日々、日時や参加者などキーワードを付けて登録作業を行っていかなければいけない。一方の検索エンジンでは、このような手間が省ける反面、検索した時に出現するデータが複数になる可能性が高い。

 実際に両社のどちらを選択するかは、企業の事情による。大塚商会が取り扱う「eValue NS」(OSK製)のドキュメント管理であれば、電子化の際に日付や人物名といったキーワードの登録が必要だが、その分だけ検索精度は高い。また、アクセス制御や有効期限も指定できるので、公開ルールがある書類の管理に向いている。一方で「ConceptBase Enterprise Search」(ジャストシステム製)などの検索エンジンは、ファイルをフォルダ分けするだけで良いので、社内のファイルサーバでの運用に最適なサービスと言えるだろう。

 また、文書の電子化や「管理」に進まないケースでは、日常目にしている保存状態がなくなることへの漠然とした不安が原因であるケースも多いという。「年配の方の反対にあって電子化できないところがありました。背表紙に書類名が書かれた状態でキャビネットに保管されていたほうが、慣れているし分かりやすいというものでした」榎本氏は話す。こうしたケースでは、文書管理サービス「楽2(ラクラク)ライブラリ」(PFU製)が便利だ。データファイリングしたバインダーの背表紙にインデックスを記載して、それをキャビネットに納める状態を再現し、グラフィカルなユーザーインターフェースで書類を検索できるようにしている。使い方は簡単だ。画面上に表示されたキャビネットをクリックして開き、必要なバインダーを選択。後はページを次々と開いて、収納された書類を表示することができる。実際に紙をパラパラめくっているような演出もあり、付箋を貼ったり、ラインマーカーを入れるといった操作も可能だ。

 企業の文書管理による効果は数値として表れにくいため、後手にまわりがちだ。しかし、冒頭に挙げた「発生」・「管理」・「保存」・「廃棄」という文書管理のライフサイクルをしっかりと実装していくことで、ひとつひとつが連携しコスト削減と効率アップにつながっていく。次回は「保存」と「廃棄」について見ていきたい。
《丸田》
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