盛り上がりを見せるエネルギーマネジメント・ソリューション! エコオフィス/エコ工場EXPOレポート(後編) | RBB TODAY

盛り上がりを見せるエネルギーマネジメント・ソリューション! エコオフィス/エコ工場EXPOレポート(後編)

エンタープライズ ソフトウェア・サービス

宇宙技術開発のブースで展示されていた環境&設備モニター「E2Moni」の全景
  • 宇宙技術開発のブースで展示されていた環境&設備モニター「E2Moni」の全景
  • 電力センサーと温度センサーの取り付け事例。正面の右側が専用PC、左側が警報灯。
  • 漏電電流をリアルタイムにモニタリングする装置。これと見える化の機能をl組み合わせて利用することも可能だ
  • 電力ピークを予測して電気料金を抑えられる大陽工業のデマンドコントローラー「NaCoa」を展示。1台で52台までの室外機などを制御
  • NaCoaのモニタリング画面。現在の電力値が表示されている。SDカードに取得したデータを記録し、PC側でグラフ化を簡単に行える
  • インテリジェントなデマンド・レスポンスによってシステムが自動的に作動し、照明・空調・コンセント電力などのピーク消費を自動制御できる
  • KAJIMAスマート電力マネジメントシステム。ピーク電力を抑えるデマンド・レスポンスモードと、年間にわたる消費電力を抑える省エネ節電モードに切り替えて運用できる
  • 既存ビルをZEB改修し、CO2排出量50%削減を目標に実証実験を行った空調・照明・電力管理・ワークスタイルを工夫して、エネルギー消費量を50%削減
 規模の大きな設備に対応できるソリューションについても紹介しよう。

■宇宙・衛星関連技術の応用/室外機に焦点当てたデマンドコントロール

 宇宙技術開発のブースでは、環境&設備モニター「E2Moni」を出展。もともと同社は、文字どおり宇宙・衛星関連技術を中心に展開している企業だが、JAXAの依頼によりエネルギー関連の製品も開発してきた経緯がある。E2Moniは、職場の電力状況を無線LANでリアルタイムにモニタリングし、デマンド電力が許容値を超えると予測された場合に、画面やチャイムで警告を発したり、警報灯で知らせたりするものだ。電力計の測定にはタケモトデンキのクランプ型電流センサーを採用。データ収集ができるように変更を加えた東芝製のPLCも用いる。

 ただし、このような見える化だけでは無駄な電力を減らすことはできない。そこで電力を大きく消費する空調機の自動制御を行える「同 空調制御」も用意。こちらはデマンド監視情報(電力だけでなく、水質、水道計、ガス管、温室時計などのセンサー情報にも対応)をベースに、空調機にコントロール信号を出して、運転パターン率を40%や80%などに変えられる機能を追加したものだ。また漏電監視用機器もあり、電力の見える化と併用することが可能だ。

 大陽工業のブースでも、デマンド・コントローラーを展示していた。「NaCoa」は、電力ピークを予測して電気料金を抑えられるものだが、他社製品より短いスパンでデマンド・コントロールに対応できる特徴をもつ。有線あるいは無線によって、1台のNaCoaで52台までの室外機などを制御できる。業界初となるマルチセレクトコントロール方式を採用しており、優先順位をつけて装置を遮断・復帰させたり、装置の遮断数を均等化させたり、装置の遮断と復帰を一定サイクルで動作させる方式を選べる。たとえばビル全体をコントロールする際に、優先順位をつけて細やかな制御が行える点が特徴だ。他社では15分、30分単位で遮断・復帰を行うことが多い。しかし、NaCoaではグループごとに3分間隔で遮断・復帰する限界制御が可能だ。また同社では、前編で紹介した東京都の中小企業助成金制度の認定を得られるようにユーザーをサポートしているという。

■近接する建物間でエネルギーを融通する、近未来のエネルギーネットワーク

 エネルギー自体をより大きな視点で捉え、近未来のエコオフィスの在り方を提唱していたのが鹿島だ。単なるエコの概念を超えて、省エネ、省CO2、事業継続性、安全安心、資産価値の向上を実現させようというコンセプトだ。「KAJIMAスマート電力マネジメントシステム」では、過去の電力需要と天気・気温予測を組み合わせ、ビルの電力需要を学習し、さらに時間帯別に建物の電力消費動向を蓄積する。そして変動する外気条件に合わせてデマンド値を予測し、目標値に合わせて照明・空調・コンセント電力などのピーク消費を自動制御することができる。このシステムでは、ピーク電力を抑えるデマンド・レスポンスモードだけでなく、年間にわたる消費電力を抑える省エネ節電モードに切り替えて運用することも可能だ。これらは、実際に鹿島赤坂別館に導入されているという。

 また同社の既存ビルをZEB(Zero Energy Building)改修し、CO2排出量50%削減を目標に実証実験を行ったそうだ。夏季休暇の9日間を用い、事業を止めずに「居ながらリニューアル工事」を実施。たとえば照明をLEDに変更する、省エネ側の空調機を導入する、ミーティングスペースを窓際の明るい場所に配置換えするなど、空調・照明・電力管理・ワークスタイルを工夫することで、50%のエネルギー消費量の削減に取り組んだ。

 もう1つは、ビル単体ではなく、近接する建物間でエネルギーを融通しあうスマートエネルギーネットワークの推進だ。これはエネルギーの面的利用と、電源の自立性を確立するものだ。たとえば。オフィス、商業施設、ホテルなどの建物間で廃熱エネルギーを無駄なく融通しあいながら、電力と熱を有用活用する。次に停電時でも起動できるガスコージェネレーションシステムをビジネス棟の屋上に設置し、浸水リスクを回避する。いざというときのために、オフィス棟の自立電源を担保し、事業の継続性と安全安心を確立。加えて、電力の需要状況を館内のモニターでリアルタイムに表示させ、省エネの意識を高める。そして太陽光発電や蓄電池を組み合わせ、再生可能エネルギーをつくり出すことで、スマートエネルギーネットワークを構築する。

■まだまだ工夫の余地、改善の可能性があるエネルギーマネジメント・ソリューション

 見える化/デマンドコントロール/BEMSなど、オフィスや工場のエネルギーマネジメントの需要は高まり、今回の展示会にも出展していたような様々なソリューションが登場している。以前、大塚商会のBEMS担当者にインタビューした際も、エネルギーマネジメントでは、ビルごと、業種ごとの特性を活かしたシステム構成や運用が重要で、実際には導入コンサルティングのような作業が不可欠だと話していた。今後、さらにその必要性が増すとともに、まだまだ工夫・改良の余地がある企業のエネルギーマネジメント・省エネへの取組み。企業活動にも、環境にもプラスに働くこの市場のさらなる活性化に期待したい。
《井上猛雄》

関連ニュース

特集

page top