【新連載・木暮祐一のモバイルウォッチ】第1回「今夏のトレンドはスマートフォンの電源対策か」 | RBB TODAY
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【新連載・木暮祐一のモバイルウォッチ】第1回「今夏のトレンドはスマートフォンの電源対策か」

IT・デジタル スマートフォン
木暮祐一氏。武蔵野学院大学准教授で携帯電話研究家/博士(工学)
  • 木暮祐一氏。武蔵野学院大学准教授で携帯電話研究家/博士(工学)
  • パナソニックがこのほどラインアップを充実させたモバイル電源シリーズ
  • 学生こそ、スマホのヘビーユーザー。電池残量確保のために涙ぐましい節電努力をしながらスマホを使っている。
 スマホ(スマートフォン)利用者が着々と増えている。筆者が独自に取り組んでいる首都圏の主要大学での調査でも、現在70%を超える学生がスマートフォンを所持している。持ち歩けるコンピュータともいうべきスマホは、活用すれば活用するほど便利なのだが、しかし使いこなすほど頭を悩ませるのがバッテリーの消費だ。朝からソーシャルメディアなどでコミュニケーションを取っていたら、下手をすれば昼過ぎには電池切れを起こしてしまう。

 そんなバッテリーの浪費対策について学生にヒアリングしてみると、「照明をなるべく暗めに設定して使っている」(iPhoneユーザー)なんていうのは当たり前、「位置情報サービスはなるべくOFF、WiFiもなるべく切る」(Androidユーザー)、「通話やメールができなくなると大変なので、バッテリー残量が減ってきたら、アプリをなるべく使わないようにする。バッテリー残量が18%を切ったら端末もなるべく触らないようにする」(Androidユーザー)、などなど、便利なスマホなのに電池を気にしてしまって「使い控え」までしているような状況である。

 そんなこともあって、今夏のスマホ関連のトレンドは各種「電源対策」に注目が集まっている。たとえば、NTTドコモのスマートフォン夏モデルではWireless Power Consortium(WPC)の規格「Qi(チー)」に準拠したワイヤレス充電機能「おくだけ充電」対応機種をリリースした。Qi規格の充電設備を設置した飲食店や店舗等が今後街中に登場していけば、たとえば食事中などにスマートフォンを置いておくだけでバッテリーの継ぎ足しができるようになっていく。

 実際にスマホの電源対策は多くのユーザーが頭を抱えているところだけに、こうした充電設備を備えた飲食店等にとっては、来店客を増やすための格好のアイテムにもなりえるだろう。

 また、パナソニックは5月28日に、モバイル用補助電源の新製品の発表を行った。これまでも様々なモバイル用補助電源は市販されてきたが、パナソニックは用途やユーザー層を考慮した多様なラインアップを今後続々と発売開始するという。気軽に利用できるペン型のものから、ヘビーユーザー用の大容量パックまで、容量や形状も多様である。

 実際にこうしたモバイル電源を学生たちに試用してもらったが、非常に評判は良かった。過度な節電をしなくてよくなっただけでなく、カラーやデザインへの評価も高かった。また、筆者自身も鞄の中に数台のスマートフォンを忍ばせているヘビーユーザーであるが、パナソニックが近く発売を予定しているモバイル電源の中で最も容量が大きいQE-QL301を試用させていただくことができた。従来からよくある“ようかん”型の大容量バッテリーでは鞄の中で収まりが悪かったが、QE-QL301は教科書程度のサイズ、厚さでビジネスバックの中にすっきり収まり、それでいて数台のスマートフォンをフル充電できる余裕があって大変気に入った。

 スマホだけに限らず、身の回りは充電を必要とする電子機器にあふれている。デジカメやミュージックプレーヤーなど、充電式の電子機器が何台かはバッグの中に入っているもの。おかげさまでそれらの多くは充電端子がマイクロUSBに統一されつつある。したがって、こうした電子機器を愛用するユーザーは予備電源も一緒に持ち歩くと、万が一の場合の備えになる。

 節電を求められる昨今、電気を貯められるときに十分にチャージしておき、それを必要に応じて持ち歩き、蓄えた電気を臨機応変に活用するという使い方が一般化していくのだろう。携帯電話の普及により、誰もが通話やメールというコミュニケーションを場所を問わず利用できるようになった。さらにスマートフォンの普及により、いつでもどこでもインターネットにアクセスし、ネットワークにつながるという環境を持ち歩くようになった。しかし、電池が無くなってしまっては糸の切れた凧状態になってしまう。自己責任での電源の確保ももちろん必要だが、場所を問わず電気の供給を受けられるような、街中における充電環境の整備も同時に図られて行くことを期待したい。NTTドコモが「おくだけ充電」でQi規格を採用したことは、Qi規格対応機器や対応充電設備の浸透に大きな役割を果たすことになるのだろう。便利なスマホを惜しみなく活用できるよう、電源に不安を感じない社会環境が整うことを願いたい。
《木暮祐一》
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