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【レビュー】初代のDNAを継承したスマホ版INFOBAR 「C01」

IT・デジタル スマートフォン
INFOBAR「C01」
  • INFOBAR「C01」
  • 裏面にはカメラのレンズとLEDフラッシュ。見えにくいがその間に赤外線通信の機器がある。それにしても、SIMカードの入れ方などを説明する巨大なシールはなんとも無粋。
  • 最近のスマートフォンとしては分厚いが、持ちやすさの面から必要な厚さといえる。
  • 本体下部にはUSB端子がある。フタに爪をかけるための切り欠きがあるが、ここに爪を立てて上に弾けばUSBの蓋が開き、下にぐいと押せば本体の裏蓋が開く。
  • 本体上部には何もない。この端末はとにかく省けるものは省いてシンプルさを貫いている。ヘッドホン端子さえ省略するなど、清々しいまでの割り切りだ。
  • 左側面は電源とマナーモードを兼ねた音量のボタン。これも必要最小限の大きさだ。
  • 右側面も何もない。INFOBARのロゴが「文句あるか」と主張するのみ。
  • 裏蓋をあけてSIMカード、MicroSDカードを出したところ。極めてやりにくく、MicroSDカードはピンセット等を使わないと取り出せないほど。
 INFOBARはauが展開するスタイリッシュな端末のシリーズだ。初代モデルが登場したのは2003年と10年も前だが、あの市松模様のキーは今でも多くの人の記憶に焼き付いているに違いない。ニューヨーク近代美術館にも収蔵されたというからたいしたものだ。

 その初代モデルをスマートフォンで蘇らせたのがこのC01だといっていいだろう。INFOBARの端末はほかに2代目のINFOBAR2、スマートフォンになったINFOBAR「A01」があるが、初代モデルのDNAを最も色濃く受け継いでいるのは間違いなくこの「C01」だ。


■手に持つと評価が一変する

 この外観を一目見て、テンキーがあって細長いスマートフォンなどキワモノだと考える人も多いだろう。実を言えば筆者もあまりいい印象は抱いていなかった。先代モデルの「A01」はスマートフォンの体裁を保っていたが、この「C01」はデザイン優先の度が過ぎて本質を見失っているのではないか。どんなにかっこよくてもさぞ使いにくいだろう。そんなふうに思っていたのだ。

 しかし、この本体を手に持った瞬間、おやっと思った。とにかく持ちやすく、手に馴染むのだ。細長いだけでなく、ほかのスマートフォンが薄さを競いあうなかでずんぐりと分厚いボディが手のひらにフィットする。この持ちやすさには、細長い形状にもそれなりの意味があるのだという説得力がある。となると、他の部分についても頭をリセットしてニュートラルに評価したほうがよさそうだ。

 最初にスペックをおさらいしておこう。本機はスマートフォン版INFOBARとして最初に発売されたINFOBAR「A01」の実質的な後継モデルとして、2月に発売された。ちなみに、「C01」の“C”はクラシックを意味するという。本体サイズは高さが130ミリと長く、幅は52ミリと極端に細く、厚みは12.3ミリと分厚い。重さは106グラムと軽い部類だ。ディスプレイサイズは3.2インチで解像度は480×854。言うまでもなくスマートフォンとしては小さい。

 プロセッサは1.4GHzのシングルコア。メモリは512MBを搭載する。カメラは804万画素のアウトのみで、インカメラは搭載しない。また、赤外線、おサイフケータイ、ワンセグといった日本独自機能を搭載する、いわゆる「ガラスマ」(ガラパゴススマートフォン)となっている。話の順序が逆だったかもしれないが、製造メーカーはINFOBAR「A01」と同じくシャープ。ちなみに初代のINFOBARと後継のINFOBAR2は鳥取三洋電機(現・三洋電機コンシューマエレクトロニクス)が製造している。

 プロセッサやメモリについては、今年のモデルとしては物足りないと言わざるをえない。極めて好意的な言い方をしても、「平凡」といったレベルだろう。また、Androidのバージョンは2.3となっている。こういったスペックが使用感にどう出るかは後述するとして、とりあえず電源を入れてみる。起動するのは見慣れたAndroidのホーム画面ではなく、INFOBARだけのiida UIだ。


■ハードウエアの特性にあわせチューニングされたiida UI

 iida UIは要するにメーカーが作ったホームアプリのようなもので、AndroidのUIをほとんど根本的に別物にしている。ほかのアンドロイド端末を使える人でも、説明なしでいきなり本機を使いこなすのは難しいだろう。筆者も最初はどうにも使いにくく、じれったい思いをした。

 しかし、ひと通り使い方を覚えると、なるほどと思えてくる。さすがにメーカーが作り込んだUIだけあって、よくできているのだ。タイル(iida UIではパネルという)を並べたようなデザインの基本ベースはWindows 8を先取りしているようにも見える。横ではなく縦にスクロールするのが特徴で、しかもページごとのスクロールではなく、パネル単位で好きなところで止められる。もちろんパネルのカスタマイズは自在だ。

 しかも、本機のiida UIはINFOBAR「A01」のそれとも違い、このハードウエアに合わせたチューニングがなされている。パネルの配置など見た目もそうだが、実に効果的なのがテンキーとの連携だ。電源ボタンの代わりに「5」を押すとスリープから復帰してロック画面表示。「8」を押せばロック解除される。「4」を押せばメール、「2」はカメラ起動と、Android 4.0ではないのにロック画面からよく使う機能を直接起動できるのは便利だ。ロック解除後もテンキー操作は有効で、1~9までのキーに好きなアプリを割り当ててダイレクトに起動することができる。

 このテンキーによる操作を覚えたところで、最初に感じた使いにくさは完全に消えた。それどころか非常に快適だ。なんといっても、本機は片手で持って親指1本だけでほとんどの操作ができてしまう。ほかのスマートフォンでも片手で操作できないことはないが、使いやすいように使えば結局は両手操作になってしまう。しかし、本機なら片手で持って親指がどのキーにも無理なく届く。心地良いクリック感を感じながらメールを打っていると、かつてフィーチャーフォンのストレート端末を使っていた頃の感覚が蘇ってきて懐かしい。


■小さなボディに詰め込まれた機能はどれも及第点

 これだけ小さなボディに804万画素のカメラ、ワンセグ、おサイフ、赤外線などを詰め込んでいる。そのあたりの使い心地についても報告したいのだが、どれもいい意味で普通。無難に働いてくれるのであまり特筆すべきことはない。

 それでもいくつか気になったことを書けば、本機はワンセグ機能を搭載していながら、ロッドアンテナがない。なんと、同梱されている短いケーブルのようなものをUSB端子に挿すと、それがアンテナとして機能するのだ。アンテナを収納するスペースさえもなかったのか、それとも外観をシンプルにしたいデザイン上の理由なのか、おそらく両方だろうが、とにかく思い切った仕様だ。

 ワンセグの性能自体は問題なく、こんなアンテナでも意外と感度は高い。本機はスピーカーもなかなかの大パワーで、テレビの声が明瞭に聞き取れるのもいいところだ。だが、ついでに書いておくと、本機にはヘッドホンジャックもなく、前述の短いケーブルがUSB端子をヘッドホンジャックに変換するアダプターの役割をする。

 カメラについてはよく頑張っていて、この端末にここまで必要かと思うほど高画質だ。本体が小さいので縦に構えても横に構えても片手で無理なく撮影できるのもいいところ。たとえばiPhoneを片手で持って横位置で撮影しようとするとかなり奇妙な持ち方にならざるを得ず、落としそうになるが、本機は実に自然に構えることができる。また、テンキーに様々な機能が割り当てられているので(割り当てを暗記すれば)素早く操作できる。


■スマートフォンとして使ってはいけない?

 独特の操作に慣れ、メールを送ったりカメラを使ったりしていると、なんとも言えない使い心地の良よさを感じる。しかし、それが長続きしなかったこともまた事実として報告しておかなければならない。気に入ったので本格的に使い込もうとしたら、とたんに腰砕けになってしまった。

 まずプロセッサの実力。決して遅いとは思わないが、デュアルコアに慣れた感覚で使うと、動きが頻繁に引っかかるのはやはり気になる。せっかくのiida UIもカクカク、もっさりで魅力半減だ。次にディスプレイ。専用に作りこまれたiida UIを使う分には不満はないのだが、色々なアプリを使うとやはり狭さを痛感する。しかもこのディスプレイはなぜか暗い。最大の明るさに設定してもなお暗く、メリハリもない。シャープ製だけに残念な感は否めない。

 小型化の弊害でヘッドホン端子とワンセグのアンテナがないのは前述のとおり。充電しながらワンセグを見ることができないのは困った。そのほか、バッテリーの持ちが悪いこと、iida UIのパネルにはウィジェットを配置できず、別のページに追いやられてしまうことも弱点として挙げておかなければならないだろう。

 総じて、本機は通話、メール、カメラといったフィーチャーフォン的な使い方をする限りは至極快適。しかしスマートフォンとして使おうとすると残念なことになってしまう印象だ。極端な話、これはフィーチャーフォンなんだと思って使えばディスプレイも気にならないしバッテリーも長持ちし、これ以上ないほど快適な端末となる。


■スペック信者は近寄るな!使う人を選ぶ端末

 本音を言えば、プロセッサやディスプレイの画質はもうちょっと何とかして欲しかったという気が、しないでもない。プロセッサなどは先代モデルのINFOBAR 「A01」と全く同じでスペックアップしていないのだからなんとも歯がゆく、これでデュアルコアなら、と思わずにはいられないのだ。しかし、それを言ったらある意味で負けなのかもしれない。そもそもそういうスペック云々を考えない人のための端末なのだ。その意味では使う人を選ぶ端末だともいえる。
《山田 正昭》
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