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ITSスポット体験試乗会…オールインワンと縦割り行政

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ITSスポット体験試乗会の模様。マイクロバスに乗車後、首都高速を走行して実施された
  • ITSスポット体験試乗会の模様。マイクロバスに乗車後、首都高速を走行して実施された
  • ITSスポットについて解説する国土交通省道路局ITS推進室企画専門官 西尾 崇氏
  • 首都高速・道路交通管制センター。巨大なスクリーン上に管内の状況がリアルタイムで表示され監視にあたる
  • 道路上に敷設されたカメラの映像は必要に応じてスクリーン上に表示できる
  • とくに気を配っているのが10km以上の長さとなる山手トンネル。25m単位で情報の管理ができ、万一の火災に対しても遠隔操作で消火活動ができる
  • ITSスポットの広域情報を表示した例(三菱・NR-MZ50)
  • 高速道路と一般道の情報比較を行え、情報は音声でもガイドされる(パナソニック・H500)
  • カーブの先が渋滞している時はその継続を事前に提供(パナソニック・H500)
13日に国土交通省の主催で行われたITSスポットの体験試乗会。同試乗会では、国土交通省道路局の西尾崇ITS推進室企画専門官との意見交換も実施された。

体験試乗会では、ITSスポットの情報発信源である首都高速・道路交通管制センターを見学、その首都高でのITSスポットを体験し、その後、意見交換会が開かれた。

意見交換会の中で西尾氏は、ITSについて「人と道路と車両とを一体システムとして構築し、交通渋滞や交通事故、環境の悪化などの諸問題を、最先端の情報通信技術を使って解決を図っていくものとして、日本では官民一体で研究開発、普及を促進している」と説明。

また、「官としては国土交通省、警察庁、総務省、経済産業省が一体となって推進し、国土交通省は“ナビゲーションの高度化”、“自動料金収受システム”、“安全運転の支援”、“道路管理の効率化”、”公共交通の支援”の5つを担当している」とも説明した。

ITSスポット約1600か所はすでに整備が完了。敷設箇所は高速道路が中心となっているが、「すでに一部では一般道にも敷設を開始しており、今後は一般道への敷設をさらに拡大することで情報提供エリアの充実に努めていく」という。

ITSスポットの利用には、ETC車載器を高機能化したDSRC車載器が必要となるのだが、一般道へ拡大する理由としてあるのが、利用シーンを広げスマートウェイに向けた様々なサービスをDSRCに一本化し、車両に搭載するシステムをシンプルなものにしたい狙いがある。

ならば、“車載器の今後の販売をETCからDSRCに切り換えてはどうか?”と質問すると、「むしろメディア側でそのことをどんどん盛り上げて欲しい。我々もそれを望んでいる」と回答した。

国土交通省としては、スマートウェイの実現に向けてオールインワンの形を望んでいるのだ。ただ、現状ではITSスポットを受信するためのDSRC車載器は3万円以上と、ETC車載器の3倍もする。仮にDSRCに切り換えて販売すれば車載器の価格がおのずと下がっていくと予想されるが、現在の状況がよいとは見ていないようだ。

国土交通省側も「VICSセンターによる謝礼金という形でDSRC車載器の購入者には2万円が支払われている(12年2月末まで、先着1万5000台が対象)」と話す。これはカーナビとのセットでの購入が条件。DSRC車載器は各サービスの実現のためにカーナビとの併用が求められているからだ。

これについては「DSRC車載器単体での利用も検討していきたい」と説明した。

国土交通省はDSRC車載器の搭載によるシンプルなシステム構成を望んでいるようだが、一方、警察庁は、光ビーコンを使うDSSS(安全運転支援システム)を実用化。すでに東京都と神奈川県の一部でサービスの提供を開始している。

DSSSの普及を進めようとすればDSRC車載器とは別に光ビーコンレシーバーの搭載も必要になり、システムのシンプル化は望めない。これについては「省庁間でそれぞれに考えがある」と、VICSスタート時と同様な縦割り行政がいまだに蔓延していることを暗に認めた。

また、“ITSスポットの情報は必ずしもDSRCに頼らなくてもいいのではないか?”との質問に対しては「スマートフォンの普及状況をみれば、通信によって情報提供する方法も考えられる」と回答。最近の車載器からスマートフォンをコントロールしてナビ機能を利用するシステムについても言及した。
《会田肇@レスポンス》
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