人物で振り返るFPSの歴史(2) | RBB TODAY
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人物で振り返るFPSの歴史(2)

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先日に続いて「FPSの歴史シリーズ」第2弾は「人で振り返る」です。FPSを生み出し、進化させてきた人物で外せないのは『Doom』や『Quake』でジャンルの礎を築いたid Softwareの創業者ジョン・カーマック(John Carmack)でしょう。



ジョン・カーマック(John D. Carmack II, 41歳)は、米国の開発会社id Softwareの共同創設者でもあるゲームプログラマー。『Wolfenstein 3D』『Doom』『Quake』といった数々の伝説的FPS作品の開発に携わり、宇宙開発会社Armadillo Aerospaceの創業者も兼ねるなど新たな分野にも関心を示す人物。本記事では、そんな彼の経歴を紐解いていきたいと思います。

カーマックの生まれはカンザス郊外のShawnee Mission。幼少期から化学実験セットと模型ロケット、そしてSF小説や「Dungeons & Dragons」に夢中のオタク少年で現在の片鱗は垣間見えていました。パソコンの時代が始まると自然にプログラミングオタクへと変貌していきます。

18歳になったカーマック青年はミズーリ大学に進学。しかしコンピューターのクラスを取ったのみで2学期で退学。アップルの契約社員として働いた後、Softdiskでプログラミングの仕事に就き、一緒に伝説を作ることになるジョン・ロメロとエイドリアン・カーマックに出会うことになります。



意気投合した3人は仕事が終わった後も朝までプログラミングに明け暮れる日々。仕事そっちのけで開発したアクションゲーム『Commander Keen』はシェアウェアとして発売され、発売初月だけで数万ドルの利益を3人にもたらし、Softdisk退職を決意。ウィスコンシン州マディソンにid Softwareを設立することになります。

その後の偉業は皆さんご存知の通り。処女作となった『Wolfenstein 3D』は大ヒットし、翌年の『Doom』によってFPSの地位は確立されます。さらに『Doom II』『Quake』『Quake II』と立て続けに大幅に進化した作品を連発。ジョン・カーマックとジョン・ロメロは伝説のゲームクリエイターへと上り詰めていきます。様々な賞を受賞してきたカーマックは2010年のGame Developers Conferenceにおいて生涯功労賞(Lifetime Achievement)を獲得。名実ともに世界を代表するゲームクリエイターとなりました。

(GDC 生涯功労賞 その他の受賞者)
2010年 John Carmack
2009年 小島秀夫
2008年 Sid Meier
2007年 宮本茂
2006年 Richard Garriott
2005年 Eugene Javis
2004年 Mark Cerny
2003年 横井軍平
2002年 中裕司
2001年 Will Wright

カーマックは現在、民間航空宇宙開発会社Armadillo Aerospaceの創業者兼チーフエンジニアを務め、宇宙事業にも着手します。幼少期から宇宙に興味を抱き、ゲームクリエイターとして成功を収めた後は、地元のアマチュア研究家を資金面でサポートしていきました。そんなカーマックは2000年、Armadillo Aerospaceを設立し本格的な事業とし、容易な宇宙へのアクセスを確保する輸送手段の開発に尽力しています。同社はNASAのコンテストに参加し、何度も入賞するなど着実な前進を続けています。



また、カーマックはオープンソースソフトウェアへのコミットメントで知られます。この分野では度々発言を行っているほか、自身でも『Woldestein 3D』や『Doom』のソースコードを公開しています。また、『Quake』のソースコードが流出した際には、それを元にユーザーがソースを改善したものを公式に取り入れるという対応をして注目されました。最新作の『Rage』で採用されているゲームエンジン「id Tech 5」の前身「id Tech 4」もオープンソースとして公開されています。id Softwareは現在多くの企業が参入しているゲームエンジンの他社提供というビジネスの先駆けでもありますが、カーマックのこうしたオープンな姿勢が影響していると言えそうです。

むろんゲームクリエイターとしての才能も衰えません。id Softwareは2010年にZenimax Media/Bethesda Softworksによって買収されましたが、引き続きテクニカルディレクターとしてゲーム開発を指揮。現在は久しぶりの完全新作となる『Rage』の発売を待つ身となっています。カーマックは開発したゲームに対しては発売までは沈黙を守るというポリシーを貫いていて、現段階ではどのような思いを持っているかは不明ですが、待望の新作に相応しい出来が期待できます。

次回の記事では、「テクノロジーの観点」からFPSの歴史に迫るので、お楽しみに!!
《Game*Spark@INSIDE》
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