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光インフラ事業者らが示す危機感……ケイ・オプティコムらが光ファイバ接続料に関して意見表明

ブロードバンド 回線・サービス
「分岐回線単位」の接続料設定を含めた接続料金算定方式では、一部しか設備コストを負担しない接続事業者を利することなり、インフラ事業者が不利な条件になってしまうという
  • 「分岐回線単位」の接続料設定を含めた接続料金算定方式では、一部しか設備コストを負担しない接続事業者を利することなり、インフラ事業者が不利な条件になってしまうという
  • ケイ・オプティコムが提唱するブロードバンドの利活用例
  • シェアドアクセス方式の仕組み
 ケイ・オプティコムをはじめとする地域アクセス系通信事業者9社は3日、NTT東西が1月に改定を申請した新たな加入光ファイバ接続料などに関して、合同で意見を表明した。

 NTT東西は1月に、平成25年度の接続料を現時点より約30%値下げするという内容の申請を総務省に提出。関西圏の光インフラ事業者であるケイ・オプティコム 経営戦略グループ部長 橘俊郎氏は、この新しい接続料について「この接続料の合理性を我々だけでチェックするのは難しいが、しかるべき場所での議論で合理的だと判断されれば、それに向けて努力する」と述べつつも、接続料の低廉化は適正に設備コストを反映した結果であるべきであると主張した。

 接続料の設定方法を巡っては、ケイ・オプティコムをはじめとするインフラ事業者と、ソフトバンクやイー・アクセスなどの接続事業者などとの間で意見が分かれている。双方とも、事業者間の競争によって接続料が下がることに異論はないものの、どのように競争を促進するべきかという点で相違が見られる。

 光ファイバは一本の芯線を通る光信号を分岐させることで、一芯を複数のユーザー(最大8ユーザー)が同時に利用できるようにしているが、現行の接続料の設定方法である「一芯単位の接続料設定」では、一つの事業者は一芯(8ユーザー分)を一社で利用しサービスを提供する。

 一方ソフトバンクなどの接続事業者は、この方式が設備コストを負担できない新規事業者の参入を妨げ、接続料の高止まりを招いているとする。光ファイバーを1ユーザー分ごとにNTT東西から借りられるようにする「分岐回線単位の接続料設定」を採用することで、新規の参入を促し最終的には月額1,400円で光回線を提供していくとする。

 この意見に対して橘氏は、このように設備競争をないがしろにし、サービス競争に偏った政策をとることで、国全体の情報通信基盤の脆弱化を招きかねないと主張する。たとえばブロードバンドサービスは、「静止画転送」から「動画転送」「動画ストリーミング」などと進化してきたが、これは全て設備競争の結果アクセス網の進化があったからこそ可能になったとして、「高度なサービスは、健全な設備競争があってこそ可能になる」と語る。

 またソフトバンクの主張する月額1,400円での光サービス提供について、ケイ・オプティコム 常務取締役 久保忠敏氏は「我々は今まで光ファイバに先行投資してきたため、大きな借金を抱えた状態。現在やっと黒字に届きそうなところにきたが、ここでコストにもとづかない値下げをされると借金が返せず立ち行かなくなる」と述べた。同社をはじめとするインフラ事業者は、「不当に安い料金」でサービスが提供されることで、事業者によるインフラへの投資が損なわれ、市場が停滞することを危惧する。

 さらにそもそもソフトバンクが主張する「分岐回線単位の接続料設定」で示される、アクセス方式の仕組みはメタル回線時代のもので、「実際の光ファイバの設備実態とは異なる」(橘氏)という。これらの企業が主張するように、1本の芯線の中に8本の分岐が収まっているわけではなく、実際は1本の芯線に複数の情報が流れている形になるのだという(※図「シェアドアクセス方式の仕組み」参照)。

 またブロードバンド普及を促進する要素として、利用料金の低廉化だけではなく、利活用の促進による需要創出の重要性を説く。一例として橘氏は、携帯電話の場合月額利用料金が約5,000円~10,000円で、光サービスより負担が大きいにも関わらず圧倒的に普及している点をあげ、「ブロードバンド利用へのインセンティブを高めていくことが重要」(橘氏)だとする。橘氏は、ケイ・オプティコムが進めるブロードバンドの利活用促進のための具体的な取り組みとして、中小の病院を対象とした医療クラウドの導入などをあげる。

 またNTT東西に関しては、認可制の導入により、本来の原則と反する県内通信以外の業務(活用業務)が拡大しているとして、NTT東西への規制の見直しを求めている。
《RBB TODAY》
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