【クラウドEXPO(Vol.8)】「このままでは日本はヤバイ」……マイクロソフト樋口社長 | RBB TODAY

【クラウドEXPO(Vol.8)】「このままでは日本はヤバイ」……マイクロソフト樋口社長

 10日、「クラウドコンピューティングEXPO 2010」の基調講演にて、マイクロソフトの代表執行役 社長 樋口泰行氏は、「クラウドコンピューティング―超競争時代のビジネスインフラ―」と題した講演を行った。

エンタープライズ ソフトウェア・サービス
マイクロソフト 代表執行役 社長 樋口泰行氏
  • マイクロソフト 代表執行役 社長 樋口泰行氏
  • マイクロソフトと他社のクラウドアプリケーションサービスの画面比較。Windowsクラウドならば、Officeツールをフル機能で使える
  • Widowsクラウドのポータル画面でFacebookと連携させることも可能
  • 片方が数値を変更すると、もう一方のユーザの画面も更新される
  • Dynamics CRMの概要
  • Sydneyプロジェクトについて
  • コードネーム・ダラスは、クラウドデータベース+配信プラットフォーム
  • Lightswicthで簡単Webアプリ開発
 10日、「クラウドコンピューティングEXPO 2010」の基調講演にて、マイクロソフトの代表執行役 社長 樋口泰行氏は、「クラウドコンピューティング―超競争時代のビジネスインフラ―」と題した講演を行った。

 リーマンショック後、回復するかと思われた景気だが日本においては円高や不安定な政情から、企業はますますコストダウンや合理化など「守り」の経営を余儀なくされている。贅肉をそぎ落とした筋肉質な経営が求められると同時に、「攻め」の要素も必要だ、と樋口氏は現状の企業動向の話から講演を始めた。

 そのうえで、これまで通用していた日本のビジネスモデルが過去のものとなり、国際競争力のコンテキストが変わってきたという。以前は、日本で開発し日本で成功した商品が、高品質な日本ブランドとして世界市場で通用していたが、新興国が台頭するにつれ、その市場で受け入れられる商品やサービスの開発が重要となっている。つまり、内需発想のビジネスではなく、現地に合わせる外需発想のビジネスに転換する時期にきていると樋口氏はいう。

■「このままではヤバイ」日本に関して、3つの視点を強調

 このような国内事情を反映してか、日本では若者だけでなく企業やビジネスも草食系となり、高品質な製品や独自の経営手法もガラパゴスと揶揄されてしまう。樋口氏いわく、「このままでは日本はヤバイ」とのことだ。そして、この難局に対抗するには、1)グローバルで通用するコミュニケーションインフラ、2)営業力とコミュニケーションを高めるCRM、3)グローバル規模の拡張性と柔軟性を持つクラウドプラットフォームの3つの視点を強調したいとした。さらに若干宣伝めいた自社のソリューションの話になると断りながら、3つのアプローチの考え方と具体的なソリューションについて紹介した。

 まず、クラウドを利用したコミュニケーションインフラは、統合的なオフィス環境として、Officeツール・メール・予定表・オンライン会議・コミュニケーションツール・企業ポータルなどをクラウド上で連携させる必要があるとした。統一的なビジネスコミュニケーションは、作業効率を上げ、グローバルな共同作業や意思疎通を助けるからだ。なお、この場合、統合できるビジネスリソースはオンプレミスのバックオフィスシステムなどとも連携できなければならないと付け加えた。

 実例として、クラウド版のOffice Suiteである「Office 365」のデモを交えながら、企業内文書の共有や共同作業を実演してみせた。Office365のポータル画面から、Excelなどのファイルを簡単にクラウドに移動する様子や、複数での同時編集などが披露された。また、FacebookやOutlookといった外部サービスや内部サービスとの連携も実演された。

 2番めの国際競争力のための営業力強化については、Dynamics CRMが紹介された。これは、マーケティング活動、SFA、コールセンターなどの業務ツールをクラウドサービスとして提供するもの。機能の例として、Outlookのメールや予定表と営業活動情報とを直接同期させるといったソリューションが紹介された。冒頭に述べたような「超競争時代」においては、顧客は国内とは限らず、海外ともシームレスに活動しなければならない。クラウドソリューションによって、グローバルに情報共有できるCRMの重要性を説いた。

 そして、これらを実現するため、マイクロソフトはクラウドプラットフォームに積極的に投資を行い、データセンター建設に5億ドルを投入し、サーバーは10,000サーバ/月のペースで増設しているという。データセンター自体もコンテナ型からモジュラー型に移行し、拡張性、柔軟性を確保し、PUE(DC施設の電力効率)も1.22を実現しているそうだ。前述の2つのようなサービスを実現するには、このような強固なクラウドプラットフォームの構築が欠かせないということだ。

■自社プラットフォームをパートナーに開放

 さらにこのプラットフォームは自社サービスのためだけでなく、パートナー企業にも開放するという。先般発表された富士通とのアライアンスでは、富士通がWindows Azureを独自クラウドサービスを展開するためのプラットフォームとして利用する。また、他社のクラウドサービスとの協業も可能だとして、NTTコミュニケーションズの事例を紹介した。こちらは、バックエンド処理の基板にWindows Azureなどマイクロソフトのクラウド技術を利用し、フロントエンドにはNTTコミュニケーションズのBizホスティングサービスを利用できるように、サービス監視、構成管理、プロビジョニング、ビリングなど、あらゆるレベルの業務サービスをワンストップで提供するというものだ。

■開発中のクラウドサービスの紹介

 最後に、開発中のクラウドサービスとして「Sydneyプロジェクト」「Dallas(コードネーム)」「Visual Studio LightSwitch」の紹介と一部のデモが行われた。SydneyはWindows Azureとオンプレミスネットワーク間のVPN技術で、現在はベータ版の開発が進んでいる。これにより、パブリッククラウドとプライベートクラウド間のセキュアな通信が可能になる。

 Dallasは、クラウド上のデータプラットフォームである。Dallasには2つの側面がある。ひとつはエンドユーザーから見たものであり、この場合、Dallasは、世界中のさまざまなデータベースのレポジトリとして見える。すべてのデータはExcelのアドオンから直接アクセスすることができる。デモでは、アメリカの年度別犯罪発生データを検索し、そのデータをExcelに読み込んだり、実アプリに危険地域をプロットしたりする操作が行われた。

 Dallasのもうひとつの側面は、プロバイダからみたもので、プロバイダからは自社のデータをエンドユーザに提供するマーケットプレイス(市場)として利用することができるものだ。Dallasに登録されたデータは、効率よくカタログ化・標準化され、課金処理も行われる。データ販売ビジネスに新しい可能性を提示するかもしれない。

 LightSwitchは、簡単なデータベースアプリをだれでも作れるようにした開発環境である。既存の開発環境には、すでにクラウド上のアプリを直接開発できるような機能が備わっているが、それをもっと簡略化し、インタラクティブにデータ登録や作表プログラムを生成できるようになっている。デモでは、社員番号、名前などの簡単なフィールドのデータベースの登録画面を生成していた。フィールドの名前、整数や文字列といったデータの型などを指定するだけで、登録画面とアプリが生成できる。

 講演を終えるにあたって、樋口氏は、これからもクラウドビジネスを強化するとして、いくつかのコミットメント(人材強化、サポート、パートナー支援など)を示し、2011年に25周年を迎える同社が、その年の2月1日に本社と都内の拠点を品川に集約するとともに社名を「日本マイクロソフト」に変更すると述べた。
《中尾真二》

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