WVGAタッチパネルにGPS「全部入り」汎用組込み開発プラットフォーム——SandgateMID | RBB TODAY

WVGAタッチパネルにGPS「全部入り」汎用組込み開発プラットフォーム——SandgateMID

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ソフィアシステムズ 開発本部 モバイルソリューション開発部 次長 保坂一宏氏
  • ソフィアシステムズ 開発本部 モバイルソリューション開発部 次長 保坂一宏氏
  • ソフィアシステムズ 開発本部 モバイルソリューション開発部 次長 保坂一宏氏
  • SandgateMID本体外観。液晶パネルはタッチスクリーンになっており、WVGA対応
  • SandgateMID側面。向かって左奥にSDカードスロットが見える。WM9713LによるCODECを内蔵したオーディオ入出力ポート(スピーカ、マイク、ヘッドフォン)も内蔵
  • SandgateMIDのコンソール部分。携帯電話風だが、汎用端末も意識したつくりになっている
  • :本体にデバッグ用インターフェイスボードを装着したところ、JTAGエミュレータなどはこのボードを経由して接続する。下の箱はソフィアシステムズのエミュレータEJSCATT。セット販売も予定されている
  • ソフィアシステムズのロングセラー製品、EJSCATT。汎用JTAGエミュレータ。ケーブルやエミュレーションソフトを入れ替えれば、さまざまなプロセッサのボードのデバッグに利用できる
  • デバッグ用インターフェイスボード。JTAGエミュレータやLANインターフェイスなどが実装されている
 ソフィアシステムズは20日、組込み機器向けの開発プラットフォームの新製品「SandgateMID」を発表した。ソフィアシステムズのSandgateシリーズは、これまで携帯情報端末の開発プラットフォームとして多数のラインナップを展開し、市場でも評価の高い製品だ。今回その最新モデル発表にあわせて、開発担当者にSandgateMIDの特徴などを聞いてみた。インタビューに対応してくれたのは、ソフィアシステムズ 開発本部 モバイルソリューション開発部 次長 保坂一宏氏だ。

 Sandgateシリーズは、2003年のSandgateから始まる製品だ。その後、Wi-Fiモジュールを内蔵したSandgateVP、W-SIMに対応したSandgateWPといった実機型の開発プラットフォームも発表されたのだが、これらは外観も携帯電話やPDAをイメージさせるハンディ端末型の形状をしていた。VPは、Wi-Fiを搭載したデュアル端末の開発を意識したプラットフォームであり、WPはウィルコムPHS対応のスマートフォンの開発を意識したものだ。このモデルはさらにSandgateIII-Pへ進化し、Wi-FiとW-SIMの両方のモジュールを搭載し、OSもWindows CE 6.0とLinuxをサポートしている。

 また、汎用的な開発ボートとしては、SandgateIIIという製品もラインナップされている。こちらは、SD、USB等の汎用のインターフェースを搭載しているが、開発ターゲット固有のモジュールやセンサ類などの周辺装置が必要な場合は拡張用のインターフェースを経由して接続する形になる。

 このように、汎用端末と携帯電話向けのプラットフォームを用意して組込み開発市場に対応していたのだが、GPSや各種センサを搭載した情報端末が当たり前のようになってきている。とくに、デジタルサイネージ、ゲーム機、カーナビ、各種スマートフォンなど、PCや携帯電話以外の機器への浸透がめざましい。産業用、民生機器を問わずこのような端末が増えるなら、組込み機器用の開発プラットフォームも、高解像度の液晶タッチパネルやGPS、モーションセンサなどすべて搭載しておくべきだろう。

 Sandgateシリーズは組込み業界、とくに携帯端末の開発に係わる人たちにとっては隠れたヒット商品なのだが、保坂氏によれば、本来Sandgateシリーズも携帯電話に特化したプラットフォームではないのとのことだ。しかし、上記のような市場動向を受け、多機能な汎用端末向けの開発プラットフォームを提供することの価値は高いという。これが、新しいSandgateMIDのコンセプトの背景にある。

 続いて、SandgateMIDの詳細についても聞いてみた。特徴的な機能は、まず4.3インチの大型液晶タッチパネルだろう。800×480ドットの解像度でWVGAに対応する。そしてGPSモジュール、3軸加速度センサ、地磁気センサ、Wi-Fiモジュール、赤外線通信、SDカードスロットなども標準で搭載している。CMOSカメラはオプションとなっているが、これだけオンボードに搭載された開発プラットフォームなら、携帯電話だけでなくポータブルカーナビやあらゆる産業用端末へと応用が可能だ。

 大型液晶のタッチパネルは、コンビニ、ファミリーレストランを始め、各種のチケットシステムなど多くの端末でも採用が多い。また、WVGA対応ということで、ハイビジョンなどの高画質の再生端末の開発にも対応できる。加速度センサなどはタッチパネルの動作と組み合わせたスマートフォンやゲーム機のユーザーインターフェイスのデザインも可能であり、GPSモジュールや地磁気センサはポータブルナビゲーション端末への応用が考えられる。これらの機能は民生機器だけでなく、産業用の端末にも採用、応用が進んでいる。GPSやモーションセンサ内蔵の業務用端末といった製品も考えられるだろう。

 プロセッサとしてはMarvellのPXA310を搭載し、対応するOSは現在のところWindows CE 6.0とLinux Kernel 2.6.xだ。ソフィア製品のユーザーなら扱い慣れているCPUとOSの組み合わせでリソースの有効活用が期待できる。最近ではARM系のプロセッサにAndroidという組み合わせの評価ボードが増えてきているが、VMの処理速度がネックとなって製品レベルのパフォーマンスを出しにくいという声もある。安定して実績のあるプラットフォームは、パフォーマンスチューニングやトータルコストの面でも有利になるだろう。

 SandgateMIDのもうひとつの特徴は、198,000円という本体価格だ。BSP(Board Support Package:開発に必要なソフト、ドライバなどの入ったCD)は、LCDドライバ等簡易的なものが添付され、標準BSPは別売となるが、GPSやWi-Fiモジュールなど標準搭載であることを考えるとコストパフォーマンスは高いといえる。また、本体が低価格なため開発ボードを複数のエンジニアやプロジェクトで共有せず、並行開発もしやすくなる。デバッグ用ボードも同梱されているので、JTAGエミュレータなど手持ちのツールをそのまま繋ぐこともできるが、同社のエミュレータ、EJSCATTとのセット販売の設定もあるそうだ。

 最後にサポート体制についても聞いてみた。ソフィアシステムズの製品として通常のテクニカルサポートの他、各種センサやモジュールのドライバなどは、パートナー企業のソリューションを提供できるそうだ。具体的には、ヤマハによる地磁気センサのドライバ、村田製作所のWi-Fiドライバなどのサポートが予定されている。また、KDDIの通信モジュールについては安川情報がソリューションを提供する。

 さらに、ソフィアシステムズでも、各種デバイスドライバからカスタム製品の設計・開発を受託で請け負うことも可能だとしている。事例としては、鉄道運行の支援システムとして電車向けのGPSナビ端末があるそうだ。産業分野だけでなく、サービスプロバイダやベンチャー企業が、こういうアイデアでこういうサービスを展開したいが、そのための端末も開発したい、といったとき、このような企業では、上位レイヤのHTTPサービスを開発するエンジニアはいるが、ハードウェアや下位レイヤの開発の専門家がいない場合もある。このようなニーズにも応えていくそうだ。

 IPネットワークがあらゆる業界に浸透し、現在のインターネットは、通信料以外は無料モデルが一般的になってしまった。そのため、PCや携帯電話以外の端末(テレビ、サイネージ、専用端末、その他)でのサービスが新しいビジネスモデルを生み出すのでは、と注目されている。SandgateMIDのような、次世代汎用端末の開発プラットフォームの重要性はさらに増してくるかもしれない。
《中尾真二》

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