【MS tech・days】MSのクラウド戦略——Windows Azureの全貌が明らかに | RBB TODAY

【MS tech・days】MSのクラウド戦略——Windows Azureの全貌が明らかに

エンタープライズ その他

マイクロソフトの執行役デベロッパー&プラットフォーム統括本部長である大場章弘氏
  • マイクロソフトの執行役デベロッパー&プラットフォーム統括本部長である大場章弘氏
  • 開発者が手にするWindows Azureの価値。大規模なデータセンターが利用できる、拡張性や可用性が安価に確保できる、Visual Studioによる開発ができるため使い慣れたスキルが活用できる、という3点を挙げる
  • マイクロソフトのクラウドで利用するデータセンター。1か月で1万台のペースでサーバを増設している
  • Windows Azureのロードマップ。2009年中盤には価格やSLAを発表し、日本では1年から1年半後に商用サービスを開始する計画だ
  • JTBのオンラインアルバム「Toripoto」。クライアントにはSilverlightを採用し、Webブラウザ上で写真の加工ができる
  • 東証コンピュータシステムの計画。クラウド上のストレージに全取引データを保存し、活用するというもの
  • グレープシティの計画。学校法人向けのASPをマイクロソフトのクラウドに移行させる
  • 米マイクロソフトのWindows Live Platform Senior DirectorであるJohn Richards氏
 マイクロソフトが開発を進めている「Windows Azure」は、相互運用性、実績のあるLiveサービス群やデータセンターの採用、開発のしやすさ、マルチデバイス対応などの特徴があるクラウドOSだ。マイクロソフトの開発者向けイベント「Microsoft tech・days Japan 2009」で27日に開催されたキーノート「マイクロソフトのクラウドコンピューティング戦略」では、「Windows Azure」の全貌が明かされた。

 このキーノートは、2008年10月にロサンゼルスで開催されたマイクロソフトの開発者向けイベント「Microsoft Professional Developers Conference 2008」(PDC)を日本向けにアップデートした内容であった。

 Windows Azureは、マイクロソフトが提供するクラウドプラットフォーム「Azure Service Platform」の基盤となるOSだ。Azure Service Platformでは、「Live Services」「.NET Services」「SQL Services」「SharePoint Services」「Dynamic CRM Services」などのアプリケーションが動作し、開発者はHTTPやRESTなどのプロトコルによりこれらの機能が利用できる。

 マイクロソフトの執行役デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の大場章弘氏は、「ITはクラウドに向かって流れていて、これは否定できない。マイクロソフトもそれを認識して、大きな戦略を立てている」とする考えを示した。

 そのうえで「1日や一晩で、すべてのシステムがクラウドに変わるということはあり得ない。これまでのテクノロジーの変遷でも、古いテクノロジーからの移行や相互接続、互換性などの継続性があった。クラウドでも同じだ」とした。そのためWindows Azureでは、相互運用性やこれまでの開発環境が生かせることを重視している。

 Azure Service Platformは、世界中に展開しすでに実績のあるデータセンターを利用できるというメリットもある。データセンターの建設には5億ドルを投資し、月間1万台のサーバを増強している。このデータセンターでは、Live Searchの検索は20億回、MSNは100億ページビュー、Live IDの認証件数は300億回、メッセンジャーは2,400億通を、1か月間に処理している。これらの実績をあげ、「Windows Azureでは、拡張性や可用性の高いマイクロソフトの大規模データセンターが活用できる」とアピールした。

 今後の予定だが、2009年中頃にCTP(Community Technology Preview)の展開範囲を拡大し商用サービスの価格やSLA(Service Level Agreement)などを発表。「日本では、1年から1年半後に商用展開する」という。

 Azure Service Platformの商用サービスに先駆けて、先行導入や検討を行っている企業がある。JTBは、オンラインアルバム「Toripoto」を開設。クライアントにはSilverlightを採用し、オンライン上で写真の編集ができる。写真のデータは大容量になるが、マイクロソフトのクラウド上に保存することでコストが削減できた。また、ユーザ認証にはLive IDを用いている。

 東証コンピュータシステムでは、株価情報サービスの提供などでの採用を計画している。株価の動きのデータは非常に膨大でこれまですべてを保存できなかったが、Windows Azureではこれを可能とする。この株価データは、東京証券取引所はもとより証券会社などのシステムとも連動。既存のシステムとも接続する必要があるため、Windows Azureの特徴である相互運用性が生かせるシステムだ。

 学校法人向け業務管理ASPを提供するグレープシティでは、Windows Azureにソフトウェアを移行させることで、スケールアウトを狙う。

 米マイクロソフト(Microsoft)のWindows Live Platform Senior DirectorであるJohn Richards氏は、Azure Service Platformのアプリケーションの1つであるLiveプラットフォームをBBC.comの「iPlayer」を例に紹介した。iPlayerは、テレビ放送の24時間後から動画がダウンロードできるVODサービス。特徴的なのは、プレイリストをほかのユーザと共有したり、PC以外のデバイスでも動画が楽しめたりすること。ログインやユーザ間の連携はLive IDやコンタクトリストを採用。デバイス間の連携は、Live Meshで実現している。

 米マイクロソフトのDPE Senior ArchitectのEugenio Pace氏は、Azure Service Platformでは、相互運用性への考慮やさまざまなプログラム言語が使えるため、開発がしやすいとアピールした。

 たとえばAzure Service Platformには「.NET Services」が含まれており、この中にはユーザの認証と権限を管理する「Access Control」がある。認証にはLive IDのほかに、ActiveDirectもサポートしているため、既存の社内システムとの相互運用が容易だ。.NET Servicesには、そのほかに、汎用のアプリケーションバス「Service Bus」も含んでいる。複数のドメインやプロトコルが異なっていてもシステムが接続できるサービスで「AS400(IBMのオフコン)ともつながる」というほどだ。

 Azure Service Platformの開発には、基本的にはVisual Studioを使用するため、「新しい開発言語を覚える必要がない」とする。C#やVisual Basicなどのほかに、JavaやRubyなどの言語が利用できるという利点がある。

 Pace氏は、先のiPlayerの例をあげ「同様のサービスは、これまでも可能だった。しかし、Liveではこれを使うことでさらにリッチな体験ができる。これはデジタルデバイスとクラウドで可能になった」と説明した。
《安達崇徳》

関連ニュース

特集

page top