【特集・グリーンIT】環境を無視するような企業は社会に受け入れられない——「大塚エコ・アクションプラン」インタビュー | RBB TODAY
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【特集・グリーンIT】環境を無視するような企業は社会に受け入れられない——「大塚エコ・アクションプラン」インタビュー

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本社入り口付近に展示されているパネル
  • 本社入り口付近に展示されているパネル
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 大塚商会が進める環境マネジメントシステム「大塚エコ・アクションプラン」。他社に先駆けて、環境マネジメントシステムを進めるに当たってどんな苦労があったのだろうか。なぜ大塚エコ・アクションプランを進めているのか。大塚商会のマーケティング本部 ODSプロモーション部次長の村田守氏にお話を伺った。

——大塚エコ・アクションプランを実施するにあたり苦労された点は何ですか

 大塚商会では、大塚エコ・アクションプランの一環として「ISO14001」の取得に向け2000年から取り組みを初めました。当時、ISO14001を取得するのは製造メーカーが中心で、大塚商会のような商社が取得するのは珍しかったです。

 ISO14001の取得には目標の設定が必要です。製造メーカーですと、紙、ゴミ、電気の削減目標を設定するのですが、大塚商会は商社なので商品やサービスを売ることに合致させることにしました。そこで、ペーパーレスシステムや再生紙をどれくらい販売するかを目標に取り組んできました。ペーパーレスシステムを目標に選んだのは、本業とはかい離しない環境活動という意味があります。環境活動は環境活動、本業は本業でと分けますと、なかなか長続きがしないでしょうし、社員もたちも身が入らないと思います。大塚商会が販売をするペーパーレスシステムは、このISO14001を取得するために社内で構築したシステムの経験を生かしています。

——ペーパーレスシステムとは、どのようなソリューションでしょうか

 一般的なオフィスでは、表計算やワープロソフトを使って文書を作成しますが、これをわざわざ印刷をして、いろいろな部署が保管をしていることがあります。これでは、紙がかさばります。

 大塚商会も以前は同じような状況でした。ペパーレスシステムを本格的に導入したきっかけは、2003年に今の本社ビルに移る時です。新しい本社ビルでは、資料の保管スペースが4割に削減されるというのです。新しい本社ビルに入りきらない6割の資料は、捨てるか電子化をするかどちらかです。そこで、複合機を利用して紙の電子化を進めました。

——新しい本社ビルはどんな環境対策が施されているのでしょうか

 本社ビルは、「インテリジェントビル」と呼んでいます。地球環境に与える影響をなるべく少なくした造りになっており、大塚エコ・アクションプランというコンセプトがどこまで実践できるのかを追求して建てました。

 例えば、北側の窓はすべて発熱ガラスになっています。ガラスそのものが電気で暖まるというものでエアコンの節電につながります。設置した2003年当時は、これだけ大規模な発熱ガラスは日本にはありませんでした。またロビーの一部では、照明にLEDを採用しており、消費電力は白熱灯と比べて7分の1から8分の1に削減できます。

 このLED照明や発熱ガラスは、ひと目では普通の照明やガラスと見分けが付きません。“環境に考慮をしています”と見せつけますと、下心があるように思われるかもしれません。インテリジェントビルのPRポイントは目に見えないですが、内在するところは強いと思います。

 テレビ会議システムもインテリジェントビルの特徴です。昔はテレビ会議は、人が動かないことによる人件費や交通費が削減できるということがメリットして掲げられていました。しかし最近では、人件費や交通費の削減がCO2削減にもつながるという考え方もあるため導入しました。昔のテレビ会議システムは、回線や処理速度が遅かったため、スローモーションになっていましたが、今はとてもスムーズで違和感がありません。もちろん、人が行かないと伝わらないこともありますが、テレビ会議システムに慣れてしまうとわざわざ出張に行く必要がないと考えるようになりました。

——オフィスで実践している具体的な環境対策を教えてください

 このビルには、数千台のPCが入っています。席を立つときにはこまめに電源を切るという当たり前の教育はしていますが、しばらくすると社員はそのことを忘れて電源を付けたまま席を立つということもあります。

 これは、抜き打ちでエコパトロールが社内を巡回し取り締まります。電源を入れっぱなしにしているのが見つかると1回目はイエローカード、2回目はレッドカードを渡します。ちなみにレッドカードを渡されますと、総務や社会貢献委員会の社員と一緒にビルの前の清掃をすることになります。

 省電力は、仕組みだけでは徹底できないところもあります。“環境に配慮というのはこんなことなんだ”と教育の一環を含めてやっているのです。

 また全社的に、レーザプリンタで印刷をするときにトナーの量を間引いてくれるソフト「トナーセーバー」を使っています。トナーセーバーを使うと最大で50%のトナーが節約できます。

 トナーを間引く量は個別で設置ができます。社内向けの資料だと50%の削減に設定しますが、社外用のプレゼンテーション資料でも同じように削減すると見た目が悪いので25%といった具合です。大塚商会では、セミナーで配付をしている資料は25%に設定しています。25%の削減ですと、4本使っていたトナーが自然に3本に減らせます。目に見える削減効果ですね。

——環境活動に取り組み社会的意義は具体的に何がありますか

 環境活動は、リクルート対策にも関わってくると思います。われわれの時代はなかったのですが、最近では学校で環境に関する授業を受けているようです。新入社員の面接をすると肌で感じるのですが、環境を分かっている人たちが入社をする時代になりましたね。小学校から環境の教育を受けている世代の受け皿というか、入りたいなと思ってもらえる会社にしなければならないと思います。

 このような考えは、どの会社の経営者にもあるようです。ISO14001を取得したいという会社に伺ったことがあります。その会社の経営企画室の人に、ISO14001を取得する理由を聞いてみると「自分の子どもに、お父さんの会社はこんな会社だと言えるようにしたい」との答えが返ってきました。今の時代、環境を無視するような企業は社会に受け入れられないということです。
《RBB TODAY》
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