【ショートコラム】NHKオンデマンド——放送局によるVOD事業の試金石となるか | RBB TODAY

【ショートコラム】NHKオンデマンド——放送局によるVOD事業の試金石となるか

 NHKオンデマンドのサービスが12月から開始される予定だ。NHKの行うこのVOD事業については、否定的な意見も少なくない。

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 NHKオンデマンドのサービスが12月から開始される予定だ。NHKの行うこのVOD事業については、否定的な意見も少なくない。51万本以上ある番組ライブラリのうち配信可能なのはサービス開始当初で千程度しかない。受信料(税金ではない)で成り立つ公共放送がそのライブラリの配信に課金することの是非。DRMで保護され録画ができない。といった批判だ。また、民放各社からも、配信による著作権者への許諾料や課金金額、あるいはサービスそのものの成否が悪しき前例にならないかといった懸念もあがっている。

 公共放送による番組配信事業についてのこれらの議論は、事業コンセプトが発表された2006年後半から各所で行われている。12月のサービス開始を控えた現在も、NHKオンデマンド当事者によるセミナーなども開かれている。

 このように課題も多く政治的な背景事情もからむサービスだが、放送局による番組配信事業という点は注目したい。「放送と通信の融合」といった場合、これまで放送局側は否定的な立場ととっていることが多いが、受信料を含む公共放送事業のあり方が問われ、民放の広告収入が減っている現状において、そうもいっていられない事情もある。民放と公共放送という違いを除けば、業界関係者としては、放送事業での新しいビジネスモデルになるかという点で重要だからだ。

 前述のような批判はもっともだし、民放側の懸念もしかりだ。しかし、放送局側が本格的に取り組むという姿勢だけは評価したいと思う。たとえば、今回、NHKがサービス開始時に配信可能とする番組数はおよし1,400本という。このうち9月時点で権利者の許諾が得られているのは、300本前後だそうだ。番組の制作に関わった当事者だけでなく、出演者全員に配信の許諾をとっているため時間がかかっているともいわれている。このような地道な作業が、関係者の意識改革につながる可能性に期待したい。これは、放送局や権利者の配信事業に対する不要な拒否反応を排除することと、配信事業者やユーザー側の不当な著作権軽視を戒める意味の両方からであることはいうまでもない。

※訂正:用語「国営放送」>「公共放送」に訂正しました。
《RBB TODAY》

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