広報コンサルティング企業のエデルマン・ジャパンは22日、「ブログと政治的活動」をテーマにしたブログ利用動向調査の結果を発表した。この調査は、公職選挙法の規定により候補者がインターネット利用を自粛しているという現状の中、その一方で昨今のブログの隆盛により、ブログを通じた政策論争や世論形成を行おうという動きが一般市民の間にも見られはじめている、という状況を踏まえたものとなっている。 まず、「ブログを閲覧した結果、何らかの政治的行動を起こしたことがあるか」という質問には、約2割（18％）がブログの閲覧後に何らかの行動を起こしたと回答。この数字は韓国（19％）に近いが、イギリス（28％）、フランス（27％）、米国（28％）等と比較すると非常に少ないと言える、と同社ではしている。 また、全体質問として「過去12か月間で参加したことがある活動は」という問いには、「署名にサインした」（18％）が最も多く、次いで「市民集会に参加した」（9％）が挙がっている。同じ質問に対し、ブログ閲覧者のみでカテゴライズした場合には、それぞれ「署名にサインした」（21％）、「市民集会に参加した」（11％）と回答しており、ブログ閲覧者が政治的活動に参加した割合は、非閲覧者に比べ高いという結果となった。これについて同社は、「同様の傾向は海外でも見られ、フランスではブログ閲覧者の56％が『署名にサインした』ことがあり、ブログを閲覧していない回答者の37％を大きく上回る結果が得られた」としている。 次に同調査の回答者についてでは、回答者の約4分の3（74％）が毎週最低1日はブログを閲覧していると回答。この数字は半数未満の韓国（43％）、4分の1強の米国（27％）、4分の1未満のイギリス（23％）、フランス（22％）と比較して圧倒的に高い数値といえるとしている。ただし、日本での調査はオンラインで実施されたため、一般調査で行った他国と比較して、ブログの閲読率が高いなど、調査結果の一部に影響を及ぼしている可能性がある、と同社ではしている。 年齢および性別によるブログ閲覧頻度では、回答者が若ければ若いほど（特に35歳以下）ブログを閲覧する頻度が高く、18〜24歳の世代では平均的に週5日以上ブログを閲覧しているという結果が出ており、年齢が強く影響していることが見受けられる。なお、同様の状況は他国でも見られるといい、世界共通の傾向であるといえると同社ではしている。特に、18〜24歳のグループの約4割（38％）は毎日ブログを閲覧していると回答しているほか、閲覧頻度に関しては日本では女性が男性より高いという結果も得られているという。 再度、ブログ閲覧と社会的活動に目を向けると、ブログを見たことにより何らかの政治的行動を起こしているのは「若年層ほど積極的」という結果が出ている。年代別では、18〜34歳が22％、35〜54歳が20％、55歳以上が11％となっており、これはアメリカでは年代が高くなるほど政治活動への参加率が高くなっている（18〜34歳が25％、35〜54歳が29％、55歳以上が32％）のとは逆の傾向にあるとしている。 この結果について同社のデピュティ マネージングディレクターである熊澤啓三氏は、「昨今日本においては、無党派層に代表されるような若年層の取り込み重要性が高まっています。その意味においては、政治的活動に関心の高いブログ閲覧者への積極的な働きかけは重要であり、今後の選挙結果を左右する大きな要因になりうることも予想されます。また春の統一地方選挙や夏の参議院選挙などにおけるブログやインターネット上のコミュニケーションがどのような影響を及ぼすか、特に政治に携わるすべてのコミュニケーション担当者は注視する必要があります」とコメントしている。 なお、ここでいう政治的活動とは以下のようなものが挙げられている。・政治家に手紙・電話したことがある・政治集会・討論・集団抗議に参加したことがある・地域問題に関する市民集会に参加したことがある・政党事務局を開催・運営したことがある・地域団体の運営委員会に参画したことがある・政治的組織の役員・幹事を務めたことがある・新聞・雑誌・ラジオ放送・テレビ番組などに投書したことがある・署名にサインしたことがある・政党のために働いたことがある・公衆演説を行ったことがある・雑誌もしくは新聞に記事を書いたことがある・政府・行政に働きかけを行う団体で活動したことがある
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