【IC CARD WORLD 2007 Vol.6】決済は手段、目的ではない——FeliCaワークショップ | RBB TODAY

【IC CARD WORLD 2007 Vol.6】決済は手段、目的ではない——FeliCaワークショップ

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JR東日本のSuica事業の展開戦略と「駅ソト」への取り組み
  • JR東日本のSuica事業の展開戦略と「駅ソト」への取り組み
  • JR東日本のSuica事業の展開戦略と「駅ソト」への取り組み
  • Edyは面展開しやすい
  • 沖縄はEdyの普及率が高い
  • ソニー、NXPとの合弁事業でセキュアなICチップを開発
  • 宮崎県でのCHORUCAの事例。「ホット」戦略のひとつ
  • モバイルFeilCaをもっと簡単に。インスタンティーノの説明
  • win-winの実証実験(ディズニーのアート展)
 ソニー、JR東日本、ビットワレット、フェリカネットワークスの4社が一同に会した「FeliCaワークショップでは、電子マネー市場の今後と課題についても活発な意見交換がなされた。

 まず、Suica事業を展開するJR東日本(鉄道事業本部 Suica事業部長 椎橋章夫氏)としての課題は、やはりユーザーの拡大を挙げていた。カード発行数も右上がりで、PASMOとの乗り入れというマーケットの追い風も吹いているのだが、この風を逃さず乗っていきたいということだろう。

 Suicaはもともとが切符や定期の代わりといった側面を持つが、今後はイオンとの提携に見られたような事業展開が重要になってくるという。同時に、インフラとしての信頼性が根本にあることが大前提との認識も示した。

 チャージ可能なプリペイド電子マネーのEdyのビットワレット(執行役員常務 宮沢和正氏)は、まだユーザー層と地域的な広がりに「ムラ」があるので、これを改善していきたいと述べた。そのためには、「だれでも」と「いつでも」といった利用の敷居やシーンを広げていきたいとのことだ。小売店での電子マネー機能だけでなく会員証や学生証との連携(ポイント管理や出欠管理)でユーザー層を広げ、ピンポイントでは導入効果の高いEdyをタクシーや高速道路、航空券など「どこでも」という展開もしていく。

 注意したいのは、地方でEdyが成功しにくいということはなく、むしろ地方での成功例が多いということだ。沖縄などは実験的な導入も早かったのでEdy先進国といってよい。地元のスーパーや商店街などで導入すると、顧客から周辺にも導入圧力がかかるらしい。使ってみると手放せないといった利便性の高さの証左かもしれない。

 ソニー(FeliCa事業部門 事業開発部 統括部長 納村哲二氏)は、マルチリーダ/ライタとそのためのアプリケーション、地方や小規模店舗、さらに家庭の中(家中—いえなか)へのロングテールマーケットへの浸透、逆方向ではチップやプラットフォームのアジア、欧米へのグローバル展開など、各論的な課題を挙げていた。

 対策としては、利用シーンについてDailyなものとそうでないものへの展開していく戦略があるという。日用品の購入や交通機関などのDailyなシーンと、趣味やコミュニティに特化した「Hot」なニーズにも応えるサービスだ。例えば、多数の野球チームやJリーグチームがキャンプを張る宮崎では、ファンや報道陣向けにスタンプラリー(CHORUCA)を実施したり、プロバスケットリーグの会員証をFeliCa対応させたりといった施策だ。グローバル展開については、これまでむしろ競合相手であったNXP社との合弁会社によるチップ開発や「マイフェアOS」とのマルチプラットフォーム化を進めている。

 フェリカネットワークス(企画部 統括部長 丸子秀策氏)は、高速・大容量の第2世代チップにみあったサービスの創出、おサイフケータイもi-mode並みの簡易性の実現、決済だけでなくパートナーとのwin-win関係(集客、販促、顧客管理、市場データ他)の構築の重要性を説いていた。そのためにはキャリアや端末メーカーとも協力していきたいとのことだ。

 パートナーとの関係という点では、「The Art of Disney」というディズニーキャラクターのアート展のチケットをFeliCa対応し、Disney Mobileのサイトからアプリをダウンロードできるようにした。その入場者に対して、会場売店での割り引きや各ディズニーストアでのクーポンなどをつけるというイベントの成功例を示していた。結果としては、アプリをダウンロードしたFeliCaチケットを購入したユーザーの30%が館内クーポンを利用し、約20%のユーザーが首都圏のディズニーストアでクーポンを利用したという。

 どの企業も一様に持っていた認識は、まず決済は手段であって目的ではない。電子マネーで決済させる、してもよいと思わせるサービス提供やライフスタイルの提案が重要であるという点だ。
《中尾真二》

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