【インテルプラットフォーム技術セミナー 06 Vol.1】インテルが進める研究開発とは? | RBB TODAY
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【インテルプラットフォーム技術セミナー 06 Vol.1】インテルが進める研究開発とは?

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インテル・シニア・フェロー兼最高技術責任者(CTO)兼コーポレート・テクノロジー統括本部長のジャスティン・ラトナー氏
  • インテル・シニア・フェロー兼最高技術責任者(CTO)兼コーポレート・テクノロジー統括本部長のジャスティン・ラトナー氏
  • 3つの研究開発テーマ
  • 無線の小型チップ
  • LINKsecの概念
 インテルの研究開発は、「Directed research」と「Exploratory research」の2つに大きく分けられ、小型の無線チップ、「LINKsec」や「テラコンピューティング」などを進めているという。14日に開催された、「インテル プラットフォーム技術セミナー2006」で明らかにされた。

 「インテル プラットフォーム技術セミナー2006」は、企業や大学、政府研究機関などで技術研究開発や標準化策定に関わるユーザーおよび報道関係者を対象として開催されたセミナー。メインテーマとして掲げられたのは、「〜セキュアなコンピューティング・プラットフォームの実現に向けた研究開発〜」で、インテルが現在推進している研究開発の動向や、研究開発の成果としてまもなく市場投入される新技術の紹介、そしてそれらの技術が「セキュアなコンピューティング・プラットフォーム実現」にどう寄与するか、といった内容の講演が行われた。

 インテル・シニア・フェロー兼最高技術責任者(CTO)兼コーポレート・テクノロジー統括本部長のジャスティン・ラトナー氏は、「インテルの研究開発戦略」と題する講演を行なった。

 同氏はまず、インテル社内で研究開発がどのような体制で進められているかの概要を紹介した。研究開発プロジェクトは、「Directed researchと、Exploratory researchの大きく2種類に分類できる」という。Directed researchは特定テーマに沿った研究開発で、製品化に直結するものだ。一方、Exploratory researchは探索型の研究で、製品化に直結する成果が生まれるとは限らないが、こうした取り組みが実際にはさまざまな革新をもたらしてきたという。直近では、最近インテルが力を入れている「Digital Health」の取り組みは、Exploratory researchの研究成果を製品化に繋げたものだという。

 続いて同氏は、現在インテルが注力している3つの研究開発テーマとして

・Mixed-Network Wireless
・End-to-End Security
・Tera-Scale Computing

を挙げた。

 無線通信技術については、「現在一般的なノートPCでは、無線LANとBluetoothの2種類の無線を2,500cc程度のサイズの筐体に納めているだけだが、将来のウルトラ・モバイル・デバイスでは7種類以上の無線技術を500cc程度のサイズの筐体に詰め込むことになるだろう」という。その際の課題は、相互干渉、消費電力、設置面積、コストなどだ。研究開発としては、近接した場所に設置しても相互干渉を起こさないアンテナの開発や、無線の送受信機能をワンチップに詰め込んだCMOSトランシーバの試作などが行なわれていることが紹介された。

 セキュリティに関しては、IPsecというノード間での暗号化技術が既にあるが、これは実導入があまり進んでいないことから、LINKsec(IEEE 802.1ae/af)に取り組んでいるという。LINKsecは現在は有線LANのみを対象とした規格だが、今後無線への拡張も検討されているという。また、仮想マシン関連では、Immutable Memory(イミュータブル・メモリ)と呼ばれる技術も開発しているという。これは、メモリの一部を保護し、不正なプロセスがメモリの内容を変更することを禁止するというものだ。

 最後に、テラスケール・コンピューティングについても紹介した。インテルがテラスケール・コンピューティングの対象アプリケーションとして想定しているのは、Recognition(認知)、Mining(マイニング)、Synthesis(合成)という3つの分野だという。認知では、生体情報や画像、動画などの情報を正しく認識すること、マイニングでは、データベースのような文字情報だけでなく、画像などからも意味のある情報を取り出せるようにすること、そして合成では、フォトリアリスティックなレンダリングなどがターゲットになる。どれも画像処理がターゲットになっているようだが、とりあえず現状では上手く扱えない領域で、かつイメージが分かりやすいために例として挙げられたようだ。サンプルとして紹介されたビデオでは、4台のカメラで人の動きを撮影し、その画像から人体の3Dモデルを生成して人物の動きをそのままトレースしてみせる、という処理が紹介された。このサンプルのポイントは、既存のモーション・キャプチャリングとは異なり、人物は特別な服を着ているわけではない点だ。コンピュータに認識しやすいデータを作ってやるのではなく、自然なデータを理解できるようにコンピュータの方を進化させるのがテーマなのである。

 さらに、将来のマルチコア・プロセッサのプロトタイプとして試作された80コア・プロセッサや、シリコン・フォトニクス(光通信技術)といった先端テーマについても現状を紹介した。

 最後に同氏は「無線技術、セキュリティ、テラスケール・コンピューティングに関する研究をすべて組み合わせていくことで、次世代のコンピューティング・プラットフォームを確立していく」という大方針を明らかにして、話を締めくくった。
《渡邉利和》
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