注目のモバイルWiMAX!実証実験の現場をレポート(後編)〜電測車やストリーミングデモを公開〜 | RBB TODAY

注目のモバイルWiMAX!実証実験の現場をレポート(後編)〜電測車やストリーミングデモを公開〜

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電界強度などの測定には、専用の電測車が使われている。これでエリア内を走り回る
  • 電界強度などの測定には、専用の電測車が使われている。これでエリア内を走り回る
  • クルマの後部には、とても高価な測定器が搭載されている。カローラに載せるには高価すぎてちょっとアンバランスか!?
  • クルマの上には、モバイルWiMAX用の受信アンテナと、GPS用のアンテナが立っている
  • アンリツのフィールド用ケーブルアンテナアナライザ「site master s332c」。オプションでGPS信号受信機能をサポート。測定結果を地図上にマッピングできる
  • site master s332cの操作。移動通信などの無線通信システム基地局の敷設・保守時などに、リターンロスを測定したり、障害の位置を探索できる
  • Agilent E4440A PSAは、最高26.5GHzの複雑なRF信号やマイクロ波信号を測定・モニタリングできる。価格はなんと600万円以上。あなたならアペアナ買いますか? それてもベンツ2台買いますか?
  • E4440Aで測定した結果をノートパソコンに表示し、モバイルWiMAXの電波を解析しているところ
  • モバイルWiMAX通信カードを挿入し、ノートパソコンで、インターネットとストリーミングの試験を実施
●電波マニア必見!? 電界強度を測定する珍しい電測車も見学!

 アッカネットワークスは、モバイルWiMAX(IEEE802.16e)の実現に向けて、この7月から着実に実証実験を推進してきた。前回はこの実証実験のインフラ環境を中心に説明した。今回のレポートでは、具体的な実証実験の内容について紹介しよう。

 モバイルWiMAXの基本特性確認試験は、まず電界強度の測定から始めなければならない。ある地点に対して、どのように電波が届いているのか、その状況を把握する必要があるからだ。そして電波がどのくらい減衰するのか、伝播スループットも測定し、エリアのカバレッジを明確にしていく。

 電界強度などの測定には、専用の電測車が使われている。これは普段ではなかなかお目にかかれない貴重!? な代物だろう。クルマにたいへん高価な測定機材を載せ、信号強度を増幅させるアンプや、必要な電力を供給するために改造された電源装置なども用意されている。また、クルマの上には、モバイルWiMAX用の受信アンテナと、GPS用のアンテナ、さらにジャイロなどが設置されている。この電測車で実験エリア内を何度も走りながら、電界強度を測定してデータの信頼度を高めていく。

 なお、位置情報のマッピングについては、GPSから得られたデータを用いている。測定された電界強度のデータと組み合わせて、地図を作っていくかたちだ。アンリツのデジタル移動無線送信機テスタ 「site master s332c」は、フィールドでの使用を考慮して、GPS信号受信機能(オプション)もサポートしており、電界強度の測定データと、測定位置を同時に記憶できるようになっている。

 モバイルWiMAXの信号を詳しく解析する専用装置としては、Agilent社の高性能スペクトラムアナライザ「E4440A」が用いられている。この種の測定ではデファクトスタンダードになっている製品で、ベンツの2倍ほどの値段にもなる高価な測定器だ。「カローラにベンツ2台分の価格のする測定器が載っているという状況は、かなりアンバランスな印象を与えると思う」(WiMAX推進室担当部長、岡崎浩治氏)と笑う。

●もっと速くなる! モバイルWiMAXでストリーミングのデモを実施

 次に、ストリーミングの実験の様子を見てみよう。実験環境ではモバイルWiMAX通信カード+ノートパソコンで通信を行い、YRP一番館の屋上に設置された基地局を中継し、コアネットワークを抜けて、外部ネットワーク(インターネット)に接続されている。残念ながら具体的なビットレートは明かせないとの事だが、同社の小松直人氏(WiMAX推進室のシニアエキスパート)は、「弊社の実験は帯域幅5MHzで行っています。他社では10MHz幅で実験を行っているため、我々の場合も実運用時には少なくとも現在の値の2倍以上のパフォーマンスが出るでしょう」と語る。この値は他社の結果と遜色はないはずという。

 

 映像ストリームの再生実験では、Windows Media Playerをいくつか起動し、ストリームを再生できるかどうか確認した。パケットロスがなく同時に映像を再生できるのは4つぐらいまでだったが、これを超えない限り、映像の乱れや再バッファが発生することもなく、安定したストリーミング映像を再生する事ができた。これだけのパフォーマンスが出れば、モバイル環境でも十分に映像を楽しめるだろう。

 同社では今後、アプリケーション検証試験を中心に、WiMAX以外のアクセス回線とのシームレスな接続試験やノートパソコン以外のいろいろな端末を使った試験も、ステージ2の実証実験として実施する予定だ。さらにステージ3では、総合ネットワーク試験として、実運用ネットワークでのサービス総合試験やスマートフォンを用いた試験を行い、総仕上げとする方向だという。

 まだまだモバイルWIMAXについては、これから検証すべき項目がたくさんある。たとえば今後サポートされる予定のMIMOにしても、ビームフォーミングにしてもそうだ。こういった本来のサービスに必要となる機能は、今後の検証に譲ることになるが、それを除いて考えたとしても、同社ではモバイルWiMAXという技術に対して、かなり大きな手応えを現時点で感じているという。総務省の電波割り付けが決まり、サービスインが始まる日がいまから待ち遠しいかぎりだ。
《井上猛雄》

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