オンライン詐欺による被害額は1,304億円 -若年層に広がる被害浮き彫りに | RBB TODAY
※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

オンライン詐欺による被害額は1,304億円 -若年層に広がる被害浮き彫りに

ブロードバンド その他
 ソフトバンクBBによって設立され、ブロードバンドの普及・啓発活動を行う有限責任中間法人ブロードバンド推進協議会は本日、「オンライン詐欺に関するユーザー調査」の調査結果を発表するプレスカンファレンスを都内で開いた。
  •  ソフトバンクBBによって設立され、ブロードバンドの普及・啓発活動を行う有限責任中間法人ブロードバンド推進協議会は本日、「オンライン詐欺に関するユーザー調査」の調査結果を発表するプレスカンファレンスを都内で開いた。
  • オンライン詐欺種類別被害経験
  • 世代別・オンライン詐欺種類別被害経験
  • オンライン詐欺被害後の連絡先・相談先
  • 被害後の相談・連絡をしなかった理由
 ソフトバンクBBによって設立され、ブロードバンドの普及・啓発活動を行う有限責任中間法人ブロードバンド推進協議会は本日、「オンライン詐欺に関するユーザー調査」の調査結果を発表するプレスカンファレンスを都内で開いた。

 カンファレンスの冒頭で、今回の調査の監修にあたった千葉大学教授の坂田史郎氏は、「オレオレ詐欺」に対する法的措置は整いつつあるのに、「ワンクリック詐欺」に代表されるオンライン詐欺に対する政府のアクションが取られていないことを指摘した上で、「政府による具体的な法規制を早急に望む」と訴えた。

 今回の調査は、インターネットの一般的利用層を対象とする一次調査とオンライン詐欺の被害者を対象とする二次調査の2段階で行われた。一次調査は、Yahoo!リサーチモニターを通じて全国のインターネットユーザーを対象に7月11〜13日の間に実施されたもの。有効回答数は1140。二次調査は、Yahoo!リサーチモニターを通じて全国のオンライン詐欺被害者に対して7月21〜24日の間に行われた。有効回答数は479。

 なお、今回の調査ではワンクリック詐欺、フィッシング、オークション詐欺、不正請求メール、スパイウェアによる銀行・クレジットカード番号盗難での不正請求の5つをオンライン詐欺として定義している。

 予備調査では、仕事以外のインターネット利用時間が1時間を超えるユーザーが調査対象全体の7割を超えたほか、自宅にいる時間が長いシニア層と若年層のインターネット利用時間が長く、すでにインターネットが生活の一部として定着している様子をうかがわせる。

 セキュリティ対策の状況については、ほとんどのユーザーがWindows XPを利用しているにもかかわらず、無償・かつ半自動で行われるOSのセキュリティアップデートよりも、有償のウイルス対策ソフトを導入しているユーザーの方が多いという結果になった。また、女性と若年層ではセキュリティに関する知識の低さが目立ち、30代・40代の男性は企業でのセキュリティ教育が効果を上げているのか家庭でもセキュリティ対策を行っている割合が多かった。さらに、米国と比較したうえで、日本でのセキュリティ対策の遅れを指摘し、特にスパイウェア対策が米国の半分以下となる28.9%でしか実施されていないとした。

 オンライン詐欺に関する認知度では、回答者の70〜90%近くが「オークション詐欺」、「フィッシング」、「スパイウェア」、「ワンクリック詐欺」、「架空請求メール」、60%強が「スパム」という用語を知っていると答えるなど高い認知度を示した。ただし、唯一、オンライン詐欺の中でも比較的新しい概念となる「ファーミング」のみ全体の6%というきわめて低い数字となった。30代・40代の男性は仕事以外でのインターネットの利用率が低い傾向にあるにもかかわらず、これらの単語に高い認知度を示していることから、企業内でのセキュリティ教育が一定の効果を上げていると考えられる。

 オンライン詐欺の被害については、全体の4.7%が実際に被害に遭ったとしている。パーセンテージで見ると被害率は低いと感じるかもしれないが、被害金額を試算すると累計総額1,304億円、中でももっとも被害金額が大きいオークション詐欺をのぞいても485億円という莫大な数字となる。

 被害にあったオンライン詐欺の種類は、オークション詐欺が46.1%ともっとも高く、28.9%で次点となるワンクリック請求詐欺の内訳は女性が23.4%、男性が34.5%。この男女差からワンクリック詐欺は主に男性が利用するアダルトサイトを中心に行われている詐欺行為だと予想できる。ワンクリック詐欺の被害回数では、15〜19歳の50%、50歳代の35%が複数回以上の被害に遭っていた。

 オンライン詐欺における1回あたりの実害金額の平均は、カード番号盗難が9万3,756円、オークション詐欺が5万124円、フィッシングが2万7,389円、不正請求メールが2万5,134円、ワンクリック詐欺が1万5,373円。ワンクリック詐欺や不正請求メールなど実際に金銭の振り込みを行わなければ具体的な実害が発生しないオンライン詐欺についても、約半数が振り込みをしてしまって金銭的被害を受けている。ただし、30歳代ではワンクリック詐欺に引っかかっても72.4%が実際の支払いを行わず、メディアによる啓蒙活動や企業内でのセキュリティ教育の影響が見られた。

 オンライン詐欺の被害に遭った際に個人情報の盗難があったかの設問に対して、15〜19歳の64.9%が「盗難はなかった」と認識している。また、15〜19歳の59.5%がオンライン詐欺の被害を受けた後に「連絡・相談はしなかった」としている一方、15〜19歳で「連絡・相談した」と回答しているうちの53.3%が「相談して注意することや今後の対策を教えてもらった」とし、相談することで必要な知識を学んだことがうかがえる。連絡・相談をしなかった理由としては、40歳代の60.4%が「無駄だと思った」と答え、比較的少額となりやすいオンライン詐欺の金銭的被害を勉強代としてとらえていると想定されるほか、15〜19歳では平均の倍以上となる22.7%が「被害にあったことを知られたくないから」を選択し、羞恥心から要求された通りに支払いをしてしまうことで人知れず事態の収拾をはかろうとしたことがうかがえる。

 最後にまとめとして、オンライン詐欺の被害者は被害額の少なさから泣き寝入りする傾向があることを挙げたほか、15〜19歳のインターネットユーザーは利用時間が長いにもかかわらず、セキュリティ教育が不十分でオンライン詐欺に引っかかりやすい傾向にあるため、若年層に対するオンライン詐欺についての周知が最重要課題であるとした。
《富永ジュン》
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

page top