トレンドマイクロは10日、2005年12月度の国内におけるコンピュータウイルス感染被害に関するレポートを発表した。 同社に入った12月度のウイルス感染被害の総報告数は7,363件と、先月の8,065件からわずかに減少したが、ランキング的には先月の傾向とあまり変わりがない結果となっている。同社では報告の減少について、「昨年報道されたスパイウェアによる不正振込み事件などの影響により、さまざまな場面でスパイウェアという言葉が目に触れるようになり、スパイウェアに対する一般ユーザの認識が高まってきていることが伺えます」とコメントしている。 あらたな動向では、Linux OSを標的とする「ELF_KAITEN」や「ELF_KAIGENT」と呼ばれるBOTネットワークの存在が明らかとなった。「KAITEN」は2002年後半にWindowsをプラットフォームとするバックドアツールとして登場したが、現在ではIRCでリモートコントロールできる機能などが追加されたBOTエージェントに進化しているという。 同社によると、今までの不正プログラム作者は愉快犯であるがゆえにマスを標的にする傾向が強く、Windowsに比較するとLinux/UNIX環境を狙うプログラムは多くはなかったという。しかし、作者の目的が「金銭の搾取」や「情報の盗用」に変化してきている現在ではWindowsだけが狙われる訳ではなく、Linux/NIX環境も安全とは言えなくなってきている。逆に、ウイルス作者の視点からは、今まで標的になりにくく、Windows環境に比べて不正プログラムへの防御が不十分であるケースも多いため、狙い易い対象であるとも言える、としている。これについて同社では、「企業などではメールサーバやWebサーバといったゲートウェイのプラットフォームとしてLinuxを利用していることも多いため、現在の対策状態が十分なのかどうかを一度確認することをお勧めします」とコメントしている。 2005年12月度のウイルス感染被害ランキングは以下のとおり(末尾は先月度順位)。[1位] SPYW_GATOR(スパイウェア):363件(1位)[2位] ADW_SHOPNAV(アドウェア):128件(2位)[3位] TROJ_AGENT(トロイの木馬型):89件(圏外)[4位] TROJ_ROOTKIT(トロイの木馬型):70件(5位)[5位] WORM_RBOT(ワーム型):69件(4位)[6位] ADW_HOTBAR.H(アドウェア):57件(6位)[7位] JAVA_BYTEVER(その他):47件(圏外)[8位] ADW_FIXER.A(アドウェア):43件(圏外)[9位] TROJ_ISTBAR(トロイの木馬型):39件(3位)[10位]TROJ_SMALL(トロイの木馬型):38件(7位)