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移動体通信事業への参入認可で、ソフトバンク孫社長が慎重な発言の中に見せた自信

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移動体通信事業への参入免許取得を語る孫正義ソフトバンク社長
  • 移動体通信事業への参入免許取得を語る孫正義ソフトバンク社長
  • 固定ブロードバンドと移動体通信の市場規模の比較
 ソフトバンクは10日に第2四半期ならびに中間期決算を発表したが、その席上、9日にグループ企業のBBモバイルが総務省から認可された移動体通信事業への参入についても語られた。

 孫正義社長は決算発表の冒頭「今日はうれしいお知らせが2つある」と切り出し、参入の免許を示しつつ「3代前の大臣の時から参入を希望し、7、8年かかってやっとここまで来た」とにこやかに語った。なお「うれしいお知らせ」のもう1つは営業損益で4年半ぶりに半期黒字化を達成したことだが、そちらについては別記事を参照されたい。

 孫社長は移動体通信事業の市場規模を、同社が従来取り組んで来た固定ブロードバンド回線の市場と比較して見せた。固定ブロードバンド市場が売上高7,600億円の市場に約500社がひしめいているのに対し、これまでの移動体通信事業は約11倍にあたる8.5兆円の市場規模がありながら、わずか3社によって寡占されていると指摘。続いて営業利益ベースで同じ比較を行うと、固定ブロードバンド市場が数百億円規模であるのに対し、移動体通信事業は1.3兆円に上ると述べた。

 こうした市場規模の違いについて孫社長は「我々はこの厳しい固定ブロードバンド回線の市場で、自由競争を勝ち抜いて来た。それに対して移動体通信事業はたった3社に対しての許認可事業だった。そういう意味では利益を上げやすい市場であると考えている」と自負をうかがわせた。

 その一方、事業の成長目標については「彼ら(既存3社)の10年の蓄積に対して、我々は新規参入。一気呵成にシェアを取れるとは思っていない」として、具体的な期限や数字を示さなかった。ADSL事業での経験を反映してか「最も高いのは顧客獲得コストである」とし「1、2年で無理して追い込むということではなく、5年、10年かけてじっくり育てる」「連結での利益を出しながら進める」と慎重な発言を繰り返した。

 ただし実際の顧客獲得については、同社が固定回線で個人・法人を合わせて約1,100万回線の顧客基盤を持っていることを挙げて「まっさらからの新規参入ではない」と述べ、この顧客基盤を活用していきたいとした。とりわけ世帯単位で利用される固定回線に対し、個人単位の移動体通信では1世帯あたり複数ユーザーが期待できるとし「この約3000万人のお客様をいわば基礎票として、サービスをパッケージで提供して行きたい」と語った。

 提供サービスについても「まだ企業秘密」として具体的な内容は語らなかったが、その鍵となるのは、モバイルのブロードバンド化によるコンテンツ提供基盤の拡大であるとした。自宅では固定回線と無線LANを利用しつつ、外出先ではWi-Fi、携帯(3G HSDPA)、WiMAXなどを利用するという、固定とモバイルとの融合(FMC)により、いつでも、どこでもアクセスでき、接続を気にせず移動できることが重要であると述べた。

 そして、それを実現する技術として、先ごろ実験に成功した、W-CDMA(3G HSDPA)とWi-Fi、WiMAX間でのシームレスなトリプルハンドオーバーに言及。「これは世界で初めて成功したもので、大きく胸を張って申し上げたい」とし、さらに「深い洞察力のある人なら、これがいかに画期的な、しかも驚異的な成功であるか理解できるはず」「これが今の第3世代携帯電話の次、実質的な第4世代の成功を意味するもの」と、その意義を強調した。また、この実験の成功を受け、来月にも開始される、WiMAXの事業免許申請受付に対して申請を行う方針であることを明らかにした。

 事業展開についての慎重な姿勢の一方で、最先端の技術を生かした成功への青写真がすでに描かれているという自信も垣間見えた。ADSL事業で日本のブロードバンド化を一気に促進して見せた孫社長は、移動体通信事業では何をやってくれるのだろうか。
《小笠原陽介》
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