バイオメトリクス認証の現在と将来 第2回「ATMベンダ、生体認証をめぐる技術と競争」(ダイジェスト版) | RBB TODAY

バイオメトリクス認証の現在と将来 第2回「ATMベンダ、生体認証をめぐる技術と競争」(ダイジェスト版)

 ATMベンダ2社ではバイオメトリクス認証の必要性、そしてその中でも静脈を用いた認証を採用する意義、といった点では共通している。だが、手のひらと指のどちらを使うかについては、それぞれがメリットを主張しつつ、相互に互換性のない2方式が実際の運用に入りつつある。

エンタープライズ その他
 バイオメトリクス認証自体は決して昨日今日のものではなく、歴史と蓄積がある技術だ。すでに入退室管理システムなどにおいて採用されて来た実績もある。それにもかかわらず、昨今バイオメトリクス認証がとりわけ大きく注目されているのは、金融機関のATM(現金自動預け払い機)という生活に密着した場所で採用されたり、あるいは間もなく採用されようとしていたりするからだ。

 ただ、ATMという用途は個人認証技術に対して非常にシビアな要求を突きつけてくる。非常に高い安全性を求められると同時に、多くの顧客に対して連続的にサービスを提供する上での利便性や快適さも維持しなければならないからである。そのATMを製造し、金融機関に提供しているベンダーにとって、こうした要求を満たすバイオメトリクス認証技術の開発は、どのようなものであったのだろうか。

■富士通の場合

 すでに東京三菱銀行などで採用され、実際に稼動し始めている手のひら静脈認証対応のATMは、富士通によるものだ。手のひら静脈認証方式を選んだ理由について、富士通 広報IR室の渡辺氏は「静脈が体内の情報であるため、盗みにくい」点を第一に挙げた。

 その静脈パターンによる場合にも、認証に用いる部位として手の甲を使うものや、指を使うものがある。その中で手のひらが有利な点としては、情報量の多さがあるという。たとえば指に比べれば認証に利用する面積が広く、また手の甲に比べるとメラニンが少ない上、毛が生えないために静脈を読み取る障害が少なく、安定した情報が得られる。こうして情報量が多ければ、精度向上が可能なのだという。

■日立オムロンターミナルソリューションズの場合

 日本郵政公社などで採用が決定しており、間もなく実際に導入が始まる指静脈認証のATMは、日立製作所とオムロンの共同出資による日立オムロンターミナルソリューションズ(以下、日立オムロン)が開発したものだ。同社の経営戦略室 経営企画部 長束氏によると、指静脈認証技術を選択した理由の第一は、やはり「体内の情報である静脈パターンを使用するため、偽造が極めて困難であること」にあるという。

 では、静脈パターンの中でも、特に「指」を採用した理由は何だろうか。日立オムロンの採用した指静脈認証の基幹となる技術は、1997年に日立製作所の中央研究所によって開発されたもので、近赤外線を指に透過して静脈パターンの画像を得るもの。非常にコントラストが高い画像データが得られるため、認証精度が高いのが特徴だという。

 また、指先という限られた部分だけを見るため、認証装置を非常にコンパクトにできる。同時にデータ量も少なくて済み、高速処理が可能な上、ICカード内のメモリも小さくできるという。データ量が少ないと聞くと、素人にはいささか不安に思えるところだが、身体の部位によって静脈の太さや分布などは異なるので、認証に使う面積が広い(=データ量が多い)ことと認証精度が単純に比例するわけではないようだ。そして言うまでもなく、精度の高さを維持した上であれば、高速で処理でき、ICカード内のメモリも節約できる方が好都合なことは誰の目にも明らかだ。

 認証精度の高さと、認証に要する時間の短さは、金融機関ATMという利用場面においては、いずれも決定的に重要な意味を持つ。大事な財産を守る鍵である以上、精確さが求められるのは当然のことだが、毎日多数の利用者を捌くATMでは、わずかな時間差も、積み上げれば大きな効率差となって来るからだ。また、開放型の指静脈認証は、装置もデータも小さいため、既存ATMへの搭載も比較的容易だ。


 今回取り上げたATMベンダの両社とも、バイオメトリクス認証の必要性、そしてその中でも静脈を用いた認証を採用する意義、といった点では共通している。だが、手のひらと指のどちらを使うかについては、それぞれがメリットを主張しつつ、相互に互換性のない2方式が実際の運用に入りつつある……

(記事全文はRBB TODAYにて掲載)
《RBB TODAY》

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